目で追う先は1.prologue
「うわあああああああん」
1人の少年に出会った。少年、と言っても小学1年生になったばかりの自分よりは年上であろう。背丈や落ち着きからして恐らく小学5、6年といったところだろうか。
互いに目が合った際、俺が急に泣き出してしまったものだから年上の彼は少し困った様子だった。
なぜ俺がこのように大声で泣いているのか、話を少し前に戻そう。
春はまだ終わらないぞと言わんばかりに桜の花がまだ咲き続けている4月下旬。小学1年生で現在6才、七海龍水は親の仕事の関係で中途半端な時期に今日この街に引っ越してきたばかりだ。
親が業者の人とやりとりをしている様が退屈で、近場の公園に1人向かうことにした。ほぼ目の前にある、というか目の届く距離にある公園だったので親の了承はなんとか得た。退屈そうにしている子供心を察してくれたのだろう。
2537