end point⑥視界が暗い。
静かだ。
どこだろうここは。
─!──っ!
遠くで誰かが声をあげている気がする。
何なんだ。俺は今眠いんだ。静かにしてくれ。
り─ぃ、りゅぅ─い
「龍水ッ!!!」
聞き馴染んだ声が自分の名を呼ぶ。ハッと意識が戻ると俺は口から水を吐き出して咳き込んだ。
まだ視界がハッキリとはしていない。俺の名前を呼んでくれた銀髪の青年は泣きじゃくっていて、俺が意識を戻したのを確認出来て強い抱擁を交わしてくる。お互い身体が少し冷えているように思う。そういえば船員を助けた際に船から落ちたんだったか?いやでも何でここに。
「なぜ羽京がいる」
咳をした後だったから、声が少し枯れているのは自分でもわかった。
「君が、海に落ちたって…」
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