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    fuji_u2dch

    「藤浪」名義で支部をメインに活動しています。此処には支部に置かない/置けないものをぽいぽいしていきます多分
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    fuji_u2dch

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    「一族シリーズ」の青さんおこおこSS
    (なお書きたいところしか書いていないし文章化していないところも一部ある虫食い文である)

    ##一族シリーズ

    「亡霊の再臨、或いは死神の登壇」鬱、と呼ばれる青年の過去は、およそ謎に包まれている。
    出身はもちろん、家族構成や身の上話などを彼が口にすることは殆どない。
    せいぜい、現総統であるグルッペンと昔からの知り合いであることと、そのグルッペン直々にヘッドハンティングされたこと、そしてこの軍に所属してからのことしか明確なことはわかっていない。

    煙に巻いたように掴み所のない冗談を重ね、嘘だと笑い、揶揄う彼。
    噂は噂を呼び、実はとある国からのスパイであるとか、某国の元首相であるとか、凄腕の暗殺者であるとか、果ては宇宙人説まで出てくる始末。けれども、まぁ最後には、彼に関わった全ての人間は「そんなわけないだろうけど」と笑っていた。
    ——そう、そのときまでは。

    「——へえ、生きとったんや?」
    常ならは眠たげに伏せられたその瞳の中の瞳孔を見開き、ギラギラと強烈な殺意を宿して彼は笑っていた。
    その仲間の一人の姿に、ほとんどのメンバーは呆気にとられた。
    彼の強い感情の発露を、初めて目の当たりにしたからだ。
    映像に映っているのはただの壮年の男性だった。鬱以外の誰も、その男のことを知らない。なんの情報もない。だが濃紺の瞳が、冷え冷えするほどの殺意を乗せて男を睨め付けている。
    穏やかに彼らを見守り、いつもへらりと笑っている男とは思えないほど鋭い気を纏う彼に、誰かが戸惑いの声を漏らした。

    「——鬱」

    低い声が、彼を呼ぶ。激情に瞳をぎらつかせながら、彼は濃紺の瞳を声の主に向けた。
    「……なんや、グルッペン」
    懐かしい瞳だ、と目を細めた。
    まだ自分も彼も、今よりもっと若かった頃。
    別離から再開したとき。彼の足首にまだ無骨な金属の足枷があった時の瞳。
    殺意を飼い慣らし、怨嗟を押し込み、ただ復讐することを胸に生き延びていた彼が、自分の手を取ったときに捨てた「才能」。それが、今の瞳には見え隠れしている。
    ならば——邪魔をするのは、野暮である。
    彼の怨敵は、同じく自身の仇であるのだから。
    「鬱、説明は後でいい。やらねばならないことがあるのだろう?——私が許す。自由に動け」
    「っはぁ⁈何言うとりますのグルさん!」
    傍の書記官が唖然として叫ぶ。ほかのメンバーも似たり寄ったりの顔だった。
    彼の瞳から一緒、瞬きとともに殺意が消える。あどけないほどの顔つきで、青い瞳を瞬かせた彼は、暫しの沈黙の後くつりと笑って、片手で態とらしく敬礼の形をとった。

    「ハイル、マインフューラー。さいっこうやで。これだからグルちゃんに着いていくのはやめられんわ。時間もないからさっさと仕事してくるわ。
    ま、開戦の準備でもして待っててな」
    へら、といつものように笑い、彼は言う。会議の途中にも関わらず円卓の席から立った彼を引き止めるものは、もういなかった。



    「これは推測でしかないが……、おそらく彼は我が国の前身であった国の、中枢にいた生き残りだろう。あぁオスマン、お前が見覚えないのも無理はない。中枢と言ってもそれは内政の中枢ではなく——国の裏側、諜報機関の中枢だ」
    「……それが、なんで大先生だけ分かったん?」
    「……さて、それは本人に直接聞くしかないな。尤も、素直に話してくれるかは知らんが。
    まぁいい。ロボロ、全軍に通達。鬱から情報が入り次第、我々は開戦に入る。それまで英気を蓄えるなりしておけ」




    目の前の壮年の男から溢れた赤にまみれた彼は、静かに銃を男に向けた。
    「馬鹿やなぁ。知らんの?『良い子にしてなきゃ死神が来るよ』って、そこらのチビっ子でも教えられとるで」
    「っお、まえ……!やはり生きていたのか!」
    「いいや、いいや。此処にいるのは亡霊だ。かつてお前たちが火刑にかけた狗の亡霊。首刈りから鎌を取り上げるには、あの炎は些かぬるすぎたんだよ、元長官殿」
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    fuji_u2dch

    MOURNINGホシクジラ(宇宙鯨)という種族の青さんのお話を書こうとしてあまりのファンタジー感の強さにやめたもの

    ホシクジラ(宇宙鯨)とは?
    宇宙を泳ぐ鯨。幻想種のうちの一つ。海の鯨と似た身体をもつが、これまで関わったことのある種族のカタチを借りることもでき、言葉を交わすことも出来るらしい。
    生き物の夢を餌とする。これまで食べてきた夢を身体に貯蓄することで、透明な身体の中で星が瞬くようにも見える。
    宇宙飛ぶクジラは夢をみない 潮騒の音と月の静けさ。宵闇の安寧と夜風のせせらぎ。それらに浮かされて、すいと尾鰭で静まり返った星海を蹴った。
     人型をしていたならばきっと、鼻歌を奏でたであろうぐらいには、ホシクジラの鬱は上機嫌だった。このような夜には、美味しい食事が摂れる。事実、先ほどの海辺近くの家で眠っていたニンゲンの夢は、少しばかり食んだ瞬間にすぅと融けるような心地よいものだった。きっと水晶を食べた時は、あんな味だ。無味のようでいて、しかし爽やかで。後味の引かない涼しさに、それから少しばかりのうらさびしさをアクセントに添えて。見事にホシクジラとしての鬱が好む夢だった。
     腹ごなしも済んで、なんとはなしに人の多い都市部へ方向を変える。文明の灯りが灯された建物の聳え立つ空へ。泳ぎにくいけれども、どうせ自身を気にするイキモノは少ないからホシクジラは悠々と尾鰭を上下させ、身体を泳がす。時計塔だかなんだか知らないが、邪魔な建物を目印に。夜なのによおやるわと胸のうちで呟いて、目下のいくつもの光を眺める。月夜の海面より、地上はよっぽど眩しかった。
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    fuji_u2dch

    MEMOCharles、Charles!血濡れた一族、国の番犬!

    ——ああ、割れた鐘は、二度とその音を鳴らされない。

    彼らの作品としてまず最初に考えた結果性癖の福袋みたいな設定になりすぎてお蔵入りした「一族シリーズ」について。なお藤浪の初期の作品は大抵ここから着想を得ています。
    「一族シリーズ」メモ『とある一族の話』

    シャルル、と名付けられたその青い瞳の少年は、国が有する優秀な技術者である二人の両親の元に生まれました。

    機械工学を専攻し国のマザーコンピュータの開発にすら関わった父親と、国の諜報機関の第一線で働く母親の間に生まれた彼は、類稀なる頭脳を持った明晰な子供でした。
    乾いた大地に雨が染み込むように、父親からは機械に関する知識を、母親からは諜報のイロハの手ほどきを受けて育った少年は、国が欲する「人材」として育っていきました。
    彼は優秀でした。彼の父親も母親も彼を慈しみ、愛を持って彼を育てました。彼はそれを良く享受しながら、優秀なる人材へと育ちました。
    少年はいつか自分もお国のため、国民のために働くのだと理解していました。そこに疑問などはありません。痛いのも苦しいのも嫌いですが、そういうものなのだと受け入れておりました。大きくなったら、父と母のようになるのだと、信じていたのです。
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    fuji_u2dch

    MOURNING亡国の死神のおはなし。或いは何処かの国にいる情報を一手に担った、爪を出さない鷹のおはなし。

    完成させる未来が一切見えないので供養しておきます。古参ふぉろわが覚えているか分かりませんが一応説明すると「一族シリーズ」です。なお文章ではないです。文章ではない。これは(書きたいところしか書いていない)箇条書きと言うんだ
    亡霊の墓を暴く夢の中だ。
    そう、これは夢の中だ。或いは過去の懐かしき記憶の回想。
    自分も彼も、今よりほんの少しだけ背丈が低くて、今よりもっと若いときなのだろう。
    対面する彼の顔は見えない。長い前髪が目を覆い隠してしまっているのだ。深い深い海の底のような瞳を。
    彼が口を開く。
    常の軽々しい声とは異なり、それは重く、決意に満ちた声だった。
    「これだけは、譲れへん。例えグルちゃんの頼みでも、僕は絶対にこれだけは曲げん」
    思えば、彼が明確な意思表示をするのはとても珍しいものだった。確固たる意思なんて持ち合わせていないように見えて、その実、磐石とした決意とプライドを持ち合わせている彼は、それを他者から隠す。何枚ものヴェールを重ね、煙に巻いて、その中身を決してわからせない。性分なのか、誰かからの教えなのか。まぁそんなことはどうでもいいのだ。大切なのは、そんな彼が自分に言い放った内容。
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