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    keram00s_05

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    keram00s_05

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    2人が大人になってから出会って、最初だけさん付けで呼び合うの見て~採血して~って思いながら書いたバイクショップ店員×看護師の朱玄です。個人的な趣味です…くんに顎髭があります。ご査収ください。(1/3)

    #朱玄
    zhuXuan
    ##採血

    次会うのは一年後その人とは年に一回だけ会える。
    オレの腕を触る細い指がすすと動いて血の流れを調べる。
    年に一回会えるのはこの病院で、オレは安いスチール椅子に座って彼に腕を見せている。
    長身の彼は腰をかがめて指を動かし血管の太さやら何やらを見ているのも毎年同じだ。
    オールバックの黒い髪、額に傷跡があり、垂れ目がちな灰色の瞳、そして眼鏡をかけている。あ、眼鏡、変えたんだ。去年は黒縁だったのに、アンダーリムになってる。
    細身で背が高くて、顔が整っている彼を見た時モデルかと思ったが、ここは病院。そして首にかけられた名札、彼が身に纏うのは清潔感のある紺色の看護師服。
    そうモデルではなく、彼はここの看護師だ。
    彼はこの病院で勤務する看護師で、勤め先の健康診断の採血のときだけ会える。いや、本当はオレが風邪をひいた時や怪我をした時にはここの病院に必ず来ているのだけれども。勤めているバイクショップからも住んでいるアパートからも近いからと言い訳して、忙しそうに働く彼が廊下を横切る姿や、病院が嫌だと泣く子供に優しく声をかけているのを遠くから見ているだけだ。
    それでも首から下げた名札に書かれた黒野玄武という名前は一度で覚えた。いつか呼びたいと思っているから。

    「太い血管…。うん、今年も左から採りましょう」

    オレの腕にある一際青く太い血管を人差し指が再度確かめるように優しく触れる。彼はオレの腕をアルコール綿で消毒し、無駄のない動きで注射器をセットする。

    「少しチクッとしますよ」

    そう言われてすぐに腕に小さな痛みが走る。
    前は採血も予防接種も嫌いだった。でも今は彼のその整った顔をじっくりと見つめているからこの時間はあっという間に終わってしまう。血が溜まった採血管を空のものに交換した彼と目が合った。

    「もうすぐ終わりますよ、紅井さん」

    見つめ過ぎてオレが不安になっていると誤解したらしい彼はそう優しく微笑んだ。

    オレに笑いかけてくれた。しかも名前まで呼んでくれた。
    受診票を見ずに初めて名前を呼ばれたオレの体温は一気に上昇してしまった。
    すっかり舞い上がっていたため採血はいつも以上に早く終わり、注射針を抜いたオレの腕に止血用の絆創膏が貼られる。いつもはこの別れの印にガッカリさせられていた。でも今日は違う。オレはもう居ても立っても居られなくなっていた。

    「30分くらい経ったら絆創膏外してくださいね」

    採血を受けているのはオレ1人だ。だから今しかないと思った。それに今日はなんだかイケる気がした。それは名前を呼ばれたからというほんの些細なきっかけがあったからかもしれない。返ってきた受診票を受け取りオレは顔をあげる。

    「あの…っ」

    その声は重なっていた。
    目の前には顔を赤らめた彼が驚いている。きっとオレも同じくらい真っ赤な顔で驚いているのだろう。
    オレは続きの言葉を出そうと息を吸った。
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    keram00s_05

    DONE「神秘のAquarium」ガシャで突如として生まれた人魚野くん(頭領)に狂った末に出来上がったもの。ショタ貴族×人魚野くんという派生朱玄。
    愛と海の境界線あの日、俺は海の中に水面を明るく照らす陽の光が落ちてきたのだと思った。


    オレの誕生日になると親父は全国各地の商人を集めて、誕生日プレゼントを持ってこさせ、オレがその場で一番気に入ったものを買ってくれる。今年はオレが10歳だからか、例年になく豪勢だった。可愛くて珍しい動物に始まり、色とりどりの宝石、見たことも着方も分からない洋服、そして、綺麗な女性たち。
    椅子に座ったオレの目の前で商人達はこれはどうだと意気込んで、商品を差し出してくる。オレは膝の上にいる親友のにゃことああでもないこうでもない、これはどうか、あっちの方が好きかと話し合っていた。
    にゃこは偉大な海賊が残した宝の地図か、未知の技術が記録されている金属の円盤が良いのではないかと言うが、オレは正直どちらもとても欲しいとまではいかなかった。というよりも、どんなに珍しい物であろうと毎年毎年たくさん見せられると目新しさが無くなって飽きてしまう。現に去年は「これで良いかな」という気持ちでプレゼントをもらった。
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