Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    keram00s_05

    @keram00s_05

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💙 🌟 ☺ ❄
    POIPOI 49

    keram00s_05

    ☆quiet follow

    いつぞやかに呟いた❄️くんのお洋服の中には☔️さんからのお下がりがあるとイイネと思ったツイートのセルフSS化

    #雨玄
    yuXuan

    片想いの彼に俺の服を着てもらう方法 日が暮れても賑やかな事務所の中、雨彦は一人でソファーに座り人を待っていた。約束ではなく、一方的に待っているだけだ。
    「あ。玄武、朱雀、お疲れ」
     扉が開き誰かが戻って来たことに気づいた隼人が声を上げる。
    「黒野、衣替えついでにタンスを整理したら不要な服が何枚かあってな。状態も良いから、欲しかったら譲りたいんだが、どうだ?」
    「良いのかい?」
     玄武は声を弾ませた。ちゃんとアイドルとしての稼ぎがあり服を買う金に困っているというわけではないが、オシャレをしたい年頃だからか服はいくらあっても欲しくなってしまうのだろう。それに加え彼の場合はそもそもサイズの合う服が滅多に見つからないために「飢えている」ことを同じ背丈の雨彦は知っている。
    「ちなみにこの後、予定は?」
    「無いな」
     一応確認するように、予定の書かれたホワイトボードをチラリと見た。つられて雨彦も自分の予定が新しく追加されていないことを確認する。
    「じゃあ、決まりだな。これから俺の家に取りに来ると良い」
    「え?良いのか?」
    「ああ、構わない。試しに着たりしたいだろ?」
     雨彦には似合うが自分には似合わない服もあるはずだし、実際に着たら素材が肌に合わないことだって考えられる。雨彦の言葉に納得した玄武はありがたく伺うすることにした。

     二人で事務所を出て、雨彦の車に玄武は乗せてもらう。帰路の途中でチェーンの飲食店で天丼をテイクアウトし、雨彦の家に着いた。
     玄武をリビングに通し、ちょっと待っててくれと寝室に一度消えた雨彦は段ボールを持って戻って来た。
    「思ったより多いな」
    「全部気に入ったら全部持って帰っても構わないぞ」
     そんなには持って帰れねえと、玄武は楽しそうに笑った。早速キチンと折りたたまれている服を広げて品定めを始めた。衣替えついで、と言っていたので冬物が多いが半袖もあるし、これからの季節に羽織るのに良さそうな上着もある。
    「アニさん、こんなの着てた時あったか?」
     あまり着ているイメージが湧かない紺色の薄手のジャケットを見つけた玄武は雨彦に尋ねる。いつもツナギであったりゆったりした服であったりとカジュアルなものが多いので、フォーマル側のこの上着はより一層目についた。
     現に雨彦の中にも印象が残ってないのか、少し間を開けてそれの存在を思い出していた。
    「撮影の時に一枚あると便利そうだから買い取ったんだ。結局、そんなに着なかったけどな」
     まだ手放してしまうのはおしいのではないかと思いつつ、玄武は試しに袖を通して見た。
    「あっ、見た目より軽いんだな」
     安っぽく無いしっかりとした作りなのに、素材が良いのか軽くて風通しが良い。一番気になる袖と丈の長さもピッタリだ。
    「アニさん、どうだい?」
    「うん。良いんじゃないか?お前さんの方が似合いそうだ」
     雨彦の感想に玄武は嬉しくなり、絶対にこれは譲ってもらおう、と思った。

     目につけた服の着心地の良さと丈が体と合っていることに嬉しくなったのか、パッと腕を広げて見せてくれた黒野に俺は無意識で目尻が下がってしまう。
    「うん。良いんじゃないか?お前さんの方が似合いそうだ」
     タンスからこれを見つけた時に黒野に似合うと思思い、わざと上の方に置いておいた。
     黒野に譲る前提で服を選んでいるわけではないが、彼にこれが良いと選んでもらうと、自分と好いている相手のセンスは似ているのだと嬉しくなる。
     隠しているが、俺は黒野を好いている。だから、こうして今日のようにせっせと口実を作って、黒野を家に招いて時間を共にしている。
     譲る服を色々と試着している黒野はまるで俺だけのためにファッションショーをしているようで、幸せに酔ってしまいそうだ。
    「このインナーの色、アニさんっぽい色だな」
    「そうか?」
     そう言って手に取ったのはなんの変哲もないグレーのカットソーだ。俺からしたらその色はただのグレーで、俺らしさは微塵も感じない。
     黒野は何度かクルクルと翻して服を見ると、着ているいつもの服を脱ぎそれに頭を潜らせた。
    「俺に似合いそうか?」
     そう尋ねる黒野に俺は固まってしまう。
     俺のような色だと言っておきながら、それを本人の目の前で着て見せるだなんて。なんて思わせぶりなことをするのだろうか。もちろん黒野にそんな気がないのも分かってる。分かっているが…。
    「あっ。アニさん、こら!」
     黒野は何かに気付くとさっと胸元を抑えた。こら、と軽く叱られてしまったのも含め、何があったのかと思い尋ねようとする。
    「アニさんの服、胸元がすげーガバガバなの忘れてたけどよ、男の、しかもガキの胸なんて見ても面白くねえだろ…」
    恥ずかしそうに眉間に少し皺を寄せながら、ぽつりぽつりと言われた言葉に、俺はしまった!と思った。
     あまりにもジロジロと見過ぎたせいで、その開いた襟ぐりから、俺が胸を覗こうとしているのだと黒野は勘違いしたようだ。
    「ち、違う。黒野、誤解だ…!」
    「下心があるやつは皆そう言う」
    「皆って…。お前さん、まさか誰かにそういう目で見られたことが…!」
    「話をずらすなよ」
     弁解しようとするが、それ以上に黒野の言ったことが心配で、なんとか聞き出そうとする俺と、それを論点ずらしだと勘違いした黒野。買って来た天丼が冷めきるのも忘れて二人の話は堂々巡りを続けた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😍👏👏👏💴
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works