幼児審神者本丸のソが子育てのためにパンツを売る話※いつも以上に推敲してないので誤字脱字口調全部やばい
プロット状態
※設定が重いけどギャグ
※蜂須賀折れてます
君かわいいね、と小さな子供に声がかかる。人通りの少ない道で、数えで3つほどの子供が60は過ぎていそうな醜悪な男に声をかけられた。子供はきょとんと無垢な顔で男を見る。まだ世間のことを何も知らないのだ。
男が続ける。君の本丸はお金に困っているのだろう、そうだ、君の今履いているパンツをくれたら1ヶ月分の食費を払って---
「俺の主に下衆な提案をするんじゃねぇよ」
子供に手が伸びる瞬間、ソハヤノツルキが男の手を掴んで阻止した。
主の耳を塞いで、ソハヤは口を開く
「……なぁ、写しのパンツならいくらになるんだよ」
ソハヤは握らされた金子を数えてほっとする。これで主は1ヶ月は食いっぱぐれない。腕の中の子供は何もわからずきゃらきゃらと笑っている。
少しの食べ物を右手に、主を左手に抱えてソハヤは自分の本丸に帰る。
「今帰った」
シン、とした本丸内。審神者の霊力に比例した本丸は子供ながらに審神者にえらばれるだけあって敷地面積は広い。でもそれだけだ。刀はソハヤしかいない。おかえり、と帰ってくる言葉はないのだ。
「ほら、主も。ただいま、って言うんだ」
舌足らずなそれにソハヤはおかえりと返した。こうやって返ってくるものだとこの子供に教えなければならないと思ったからだ、
ソハヤは主の唯一の守り刀である。この本丸でたった一振りの。主の靴を脱がせると、まだまだ元気いっぱいなのか奥へとかけていく。目を離すとすぐこうなる。本丸内だから良いのだが。ソハヤもサンダルを脱いで主の後をおう。
内番着の方が子育てはしやすくて、最近はもっぱら内番着だ。そもそも、鍛刀された時以来、戦闘服に身を包んでいない。
がちゃん、と音が聞こえて、ソハヤは慌てて音の方向に向かう。
主が床の間に飾られた桐の箱をひっくり返してしまったらしい。桐の箱は蓋が開いて、砕けた刃物溢れてきていた。
子供が好奇心に任せて手を触れようとするのを間一髪でソハヤが止める。
「主、危ないからダメだ。大丈夫、アイツはちゃんと見守ってくれてるだろうから。だからこの箱の蓋は開けちゃだめだ」
きらきら?と子供が言う。
「そうだ。きらきらが眠ってる。起こしちゃだめだ」
きらきらと呼ばれた折れた刀身を拾って箱の中に戻していく。ソハヤの唯一の同僚で、先輩だった刀。この本丸の初期刀の蜂須賀虎徹であった。
この審神者が今よりもっと舌足らずな時に初期刀の蜂須賀と審神者によってソハヤは顕現された。この本丸は初鍛刀がソハヤであったのだ。ソハヤは顕現した瞬間のことを今でも鮮明に覚えている。口上を述べると子供が走ってきて、きらきらと同じ!と言ったのだ。それに蜂須賀が少し驚いてから、そうだね、同じ色をしている、主は本当に金色が好きだねなんて笑った。
刀派でもなんでもない括りが新鮮で、面白くて、ソハヤも悪い気は起きなかった。
最初はそんな二振と一人の本丸であった。
蜂須賀が言うに、主は当初もっと赤子で、何年も経ってやっと今回一振りだけ、鍛刀できるようになったとのことだった。
「ソハヤが来てくれて助かったよ。これからもこの本丸はまだ出陣には行けず、主の子育てが主な仕事だけどね」
「戦仕事で呼ばれたのに出陣できないとはどういうことだ」
「ほら、」
蜂須賀は内番着の袖をめくる。血の滲む包帯で巻かれた腕が出てくる。
「主は豊富な霊力で無理やり審神者に据え置かれてる。でも何もわかっていない。子供だからね」
「手入れもできないってか」
「そう。だからこの本丸では怪我を負ってはいけない。今のところ手入れできる見込みはないからね」
「……政府のやつらとかはなんとかならねぇのかよ」
ソハヤは本霊に戦仕事の嘆願に来た人間たちを思い出す。蜂須賀は苦笑いをした。
「自分の刀は自分の霊力でしか治せないらしい。あの人間たちはあまり頼りにならないからね」
子育てにも言えることらしく、蜂須賀は子育てが疲れの顔も見せて笑う。
「ソハヤが来てくれたおかげで、一振りが主、一振りが遠征に行けるのはだいぶ大きいよ。まずは主を育てることからよろしく頼むよ」
そうは言っても、蜂須賀はあの日折れてしまった。遠征先に突然現れた時間遡行軍によって。
飛ばせる鳩も無い貧乏な本丸であった。
霊力はあれど、たった二振りで、ろくに出陣もできていない本丸に物資などなかった。
規定の時間、返ってきたのはすでに物言わぬ折れた刀身であったのだ。
それ以来、ソハヤはたった一振りで主を育てている。
先程の外出は、畑仕事は人間を満足に育てるための栄養には足りなくて、政府に嘆願した帰りであった。
各本丸の問題であると門前払いされてしまったが。
「主、今日は肉と米が食えるぜ。好き嫌いすんなよ」
よくわかっていないだろうに、ソハヤが笑って嬉しいのか主もきゃあ!と笑う。
特殊な趣向もいるものだ。それに救われた。ソハヤは買ってきた食材を台所で調理し始めながら思う。
ソハヤは三池の刀である。霊力に自信がある霊刀だし、天下人の愛刀であった自覚と自負、矜恃があった。自身の下着を売るなぞ、下賤な行為であるとも思う。
けれど今の分霊としての自分は主のために降りてきた刀である。
戦働きをするために、この主を立派に育てなければならない。
それは降りた自分の強い意志と、折れた友刀との約束からくる確固たるけついであった。
そのためならば多少の行為など目を瞑るべきなのだ。
「まあ、新しいパンツに買い換えてもらってるし損はしてねぇしな」
主が大きな口で白米を頬張る。健やかに育ってほしい。ソハヤは主の口の端についた米粒を手でとった。
この後平和に本丸を拡張していったところでモブに久々にちょっかいかけられたところを政府の大典太に見つかって、情操教育させられるギャグにしたいけど書き切れるかわからないので励ましてほしい
正直で貪欲なオタクなのでマロください!