もしかして、私はナワーブから好意を向けられているのでは?
荘園と呼ばれるこの場所では、生死を賭した凄惨なゲームが日夜開かれており、集められた様々な罪と欲望を抱えた者たちが各々の願いのためにその中に身を投じている。
その参加者のうちのひとりであるイライ・クラークがそんな考えを抱くようになったのは、なにも非現実的な日々に疲弊した末に気が違ったから、という訳ではない。
荘園に訪れる以前は、イライは占い師として生計を立ててきた。町人の失せ物探しや恋占い、人生相談から、時には上流階級の者を相手に大きな商談の道行きを示してやることもあった。それらと渡り歩いて来られたのは、ひとえに持ち前の天眼なる力と、洞察力のおかげだったと言えるだろう。
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