七めめそれは地下鉄の車両に似ていた。
どこまでも続く蚯蚓の穴。終点の無い、存在しない車線を走る、地下鉄の幽霊。
「この列車は、乗客の想像力で姿を変えるんだよ」
いつの間にか隣に座っている「それ」が微笑む。
「その姿も、私の頭の中を覗いて作っているのですか」
「悪趣味だと思った?」
「ええ、とても」
私の愛した女性の姿をしたそれが困ったように眉を下げる。
「ごめんね、でもこの姿も私にはどうしようも無いんだ。だって君のイメージによって作られているからね」
「ここに来たのは、私を退治でもするためかい?呪術師」
「いいえ、あなたと取引をするために」
●●線最終電車が出た44分44秒後にやってくる銀河鉄道。そこに乗っている人物は全て死者だが、自分と、もう一人だけ“例外”がいる。それを見つけ出すと、どんな願いも叶えてくれる。
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