Fragile「これが僕のママ。こっちが、猫のルー。この熊さんは、大きいけれど乱暴はしないんだ。こっちの綺麗な塔は、天空のお城につながってるんだよ」
柔らかな浅葱色の草の上に、きらきら光る宝物が並んでいる。
ヒュンケルは鬱陶しそうなふりをしながら、横目でガラス細工の行列を見やった。
「そんなもの。なんの役にも立たない。大事に取っておいてどうするんだ」
「役に立たなくないよ。僕の友達だ。君に似てるよ、銀色の妖精さん」
少年はにっこり笑って、スライムの形のガラス玉を持ち上げた。
擦り切れたズボンから覗く膝に、新しい擦り傷が見える。
「ママの顔は知らないけど。でも、僕の為に取っておいてくれたお人形なんだ。……旦那様には、秘密だけどね」
2699