両片思いなのにラブホに行くことになったラーヒュン(現パロ)「ヒュンケル」
名を呼ばれ顔を上げると、ラーハルトが顔を上気させてこちらを見ていた。
だいぶ酔っているようだ。
「お前、なんで彼女を作らないんだ?モテるのに」
紫煙を燻らせながら何気なく彼が問う。彼にとっては当たり前のことなのだろうが、あいにくオレにとってはそれは当たり前じゃない。確かに女性から好意を向けられることはあるが、それに対しては申し訳ない気持ちしかない。オレはゲイだからだ。恋愛対象は男のみ。しかし、それは今のところ大学の連中には誰にも言っていない。友人であるラーハルトにも。
だから、この手の問いへの答えはいつも同じだ。
「ピンと来る相手がいないんだ」
「ふーん」
ふう、と彼の口から吐き出される煙。真夜中の、街の外れの喫煙所。
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