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    cpenguinc

    @cpenguinc

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    cpenguinc

    MOURNING一緒にご飯を食べる猪七。「報告書、確かに受領いたしました」
     急遽請け負った遠方の調査、討伐任務の報告書を担当の補助監督に手渡して、空の色が青いうちに本日の業務は全て完了した。ここ数週間、偶発的に呪霊の活動が活発になりその対応に追われてまともな休みを取れていなかった。
     昼夜関係なく動き回り、空き時間に次のポイントへ移動する。自宅に帰れたとしても僅かな睡眠を取れるに留まった。一つひとつの呪霊の等級は高くなくても、それが何度も重なれば肉体的にも精神的にも疲労は貯まるものだ。
    「七海さん、お疲れ様でした。明日は終日休暇予定なのでゆっくり休んでくださいね」
    「はい。お疲れ様でした」
     一刻も早く休みたい一心で、挨拶もそこそこに執務室を出る。駐車場の隅に数日間駐めたままにしていた自車に乗り込んで、ようやく帰路についた。

     食材がぎっちりと詰まった買い物袋を両腕にぶら下げながら、やっとのことで自宅の鍵を開ける。帰宅途中にそういえば冷蔵庫の中身がまるっきり空だったことを思い出し、行きつけのスーパーで買い込んだものだ。
     任務の忙しさに反比例するかのように食事の質が低下し携行食ですませてしまうことも多かったから、その反動 6670

    recommended works

    sardine57817

    MAIKING灰七ドロライ用。
    この後特別なときに使おうと思ってときどき練習するんだけど最終的に弔辞を書くっていう鬱展開だったはず。
    プレゼントを貰うということにどうにも自分は不慣れな人間だ。渡すならまだしも、受け取ったらその厚意をどう返せばいいかで頭を悩ましてしまう。備え付けの学習机の抽斗を開け、白い箱を見つめては自然と溜息が洩れる。年齢的にも精神的にも分不相応なそれを持て余し、いまだに箱の中に入ったままであった。
     高専に入学が決まったとき、「入学祝に」と遠くに住む祖父から万年筆が送られてきた。彼の地に足を踏み入れたこともなければ、実際に会ったことすらない肉親というのはどうもピンとこない。年に数回のグリーティングカードのやりとりと金髪碧眼という遺伝子情報だけが彼と自分とをかろうじて繋いでいることを実感する。……そう言えばカードの筆跡は流れるような美しい筆記体だった。

     明くる日の放課後、白い箱を携えて灰原の部屋を訪ねた。
    「もん、とぶらん……く?」
    「モンブランです」
    「あ、ケーキの名前?」
    「いえ、白い山という意味です。アルプス山脈の山の一つ」
    「でもケーキは栗色だよね」
    「それは元々の山の地形を表現していて、白というのは山頂の溶けない雪を表しているんですよ」
    「さすが!七海は博識だね!!」
     このままの調子 711