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    nononoko1996666

    @nononoko1996666

    七灰が好きです。(灰七も好き)
    短編、前置き長めです。
    よろしくお願い致します。

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    nononoko1996666

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    (色々あって夏油さんに生き返らせてもらった。けど容姿は17歳のまま←人を油断させる為)呪詛師灰原✕(色々あってやっぱり戻ってきた27歳)呪術師七海

    明るい灰原くんはいません。書きたいとこだけ!

    #灰七
    ash7

    幕が下がるぐちゃり、と腐った肉が裂ける音がした。
    自らがふるった刃先にも、同じく酷い色をした液体がこびりついている。

    「…はぁ」

    今日何度目かも分からない、溜息を付いてばかりの七海は、いい加減参っていた。
    呪霊の強度は2級ぐらいのものだったが、数が多くて仕方ない。祓っても祓っても、どこからか湧き出たのか次々と七海に向かってくる。
    昼食後からの急な依頼で、時刻はもう19時を回っており、とっくに労働時間外である。
    駅前から一歩路地に入ったこの場所は、昼でも日が当たる事はない店が集まり、まるで時代遅れの繁華街といった所だ。

    「…もう、こいつで終わりでしょう」

    最後の一体を祓う。
    するとその呪霊から血のように流れる黒い液体は、まるでマグマのようにゆっくりと、近くの廃墟のホテルへと戻るように入っていく。

    「…まだ、いるのか」

    重い足取りで、七海は黒い液体を辿っていく。エレベーターは当然壊れ、機能していない。仕方なく底が抜け落ちそうな錆びた階段を上がっていく。

    「あ、…なな、な、みミ。ヒ、さし、ぶリだ、ネ」

    「…は」

    上がった先には、天井まで伸びた巨大な呪霊が目を閉じ眠っていた。その容姿は酷く醜いが、腹の中心が膨らんでおり、そこに4本の腕がまるで胎児を守るかのように置かれている。
    そしてその中心から、聞いたことのある声が耳に入り、七海は冷や汗が止まらない。

    「ご、メな、さイ、げとうさ、ん。……………どうしても会いたくて」

    グチャグチャと不快な音を立てながら、巨大な呪霊の腹の中から、1人の人間が現れた。

    「…は、いばら?」

    黒い制服を着ているのが分かる。
    黒い短い髪を揺らし、黒く吸い込まれそうな大きな瞳を開け、七海を見つめていた。
    それは、10年前に失くした友人に酷く似ていた。

    「僕、本当は人の前には出られないんだ。夏油さんとの約束で。助けてもらって嬉しかったし、夏油さんには感謝してる。だから夏油さんのやる事を手伝ってるんだ…ごめんね。でも、やっぱり七海に一度だけでも会いたくて」

    人好きののする幼い顔、全てが過去の思い出と同じままだった。

    「な、何を言っている」

    灰原雄という青年は10年前に七海の傍で死んだ。呪霊に身体を喰われて、上半身は何とか連れて帰る事ができた。
    灰原の遺体を必死に学校に運んだのは七海自身である。
    忘れるはずがなかった。

    「お前は、…誰だ」

    「七海、」

    「呪霊の、仕業だろう。…正体を見せろ」

    「僕に、会いたくなかった?」

    「やめろっ」

    「七海、僕」

    「灰原は、死んだんだ!」

    「七海、あれは間違いなく灰原だよ。私が蘇らせて、やあっと人の形に出来たというのに。灰原ったら、約束を破ってでも七海に会いたかったんだねぇ?」

    最悪の呪詛師が、隣で愉快そうに声を出して笑っていた。夏油が言葉を発するまで、七海はその存在に気が付かず、目を見開くことしか出来ない。

    「っ…」

    「ごめんなさい、夏油さん」

    「灰原、何度も言っただろう。君は計画の切り札だ。悟と七海を一瞬でも引き止められればって」

    「ごめんなさい」

    「計画が台無しだよ」

    「ごめんなさい」

    「…まあ良いよ、じゃあね、七海」

    「…はっ、待て!くっ」

    『ガァァぁあああ』

    甲高い悲鳴のような呪霊の声と共に、夏油と灰原はその腹の中に入ると、一瞬にして七海の前から消え去った。


    ✳✳✳


    「七海、僕の事軽蔑した?嫌いになった?」

    子ども達を逃がした七海の背後から、懐かしく冷たい音色が響いた。

    「お前は、…灰原じゃあない」

    「七海」

    「呪霊が喋るな!」

    七海は怒りで我を忘れそうになりながら、手に力を込める。
    灰原は人が好きで、人を守る為に死んだというのに。
    目の前の存在は、その真逆の行動をとったのだ。
    到底信じられず、鉈を取り出す。

    「七海が一回呪術師辞めたの知ってるよ。僕のせいだよね?ごめんね、辛いのにまた戻ってきたんだよね?…ごめんね、だからね、今度は」

    「貴様は灰原じゃないっ!」

    「僕が、…守ってあげるよ。七海」

    「ぐっ」

    突然、黒い影が七海の手足に巻き付き、締めあげる。動くことの出来ない七海を見つめながら、灰原は満足そうに微笑んだ。
    そして七海の愛していた、暖かい陽だまりのような笑顔を浮かべながら灰原は、ケタケタと笑いながら、酷く不釣り合いな呪いの言葉を吐き出す。

    「僕だって、辛かったんだ。でも今日でおしまい。これからはずっと………ずっと一緒だからね、七海」

    「は、…い、ばら」

    「好きだよ、七海。…君しかいらないんだ」

    大きな影が2人を包み込むと、そのまま溶けるように地面へと消えた。


    新宿での事件の後、一級術師七海建人の消息は、依然行方不明のままである。
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