3,寝起き(コニサシャ)「姿が見えないと思ったら、こんな所でサボってやがる」
山盛り積み上げてある飼い葉を枕に、サシャは厩舎裏で居眠りをしていた。
「信じらんねぇ……。こんな暑い所でよく寝られるぜ」
桶に飼い葉を取りに来たコニーは、持っていた桶を左手に持ち替え、汗だくで眠るサシャの肩を揺らした。
「おい、起きろ芋女。また教官にぶっ飛ばされるぞ」
コニーがいくら揺すっても、サシャはゲヘゲヘと不気味な笑顔で眠り続ける。
「なんだよ、気持ち悪ぃな……。おい、マジで起きろって。またメシ食えなくなるぞ?」
「メシっ!?」
「いてェ!!!!」
「……っ!!!?」
急に覚醒し起き上がったサシャの顔が、コニーにぶち当たった。詳しく言うと、サシャの口(歯)がコニーの額にクリティカルヒットしたのだ。
コニーは額を両手で押さえて座り込み、サシャは口元を押さえて前にのめった。
カラコロ……と桶の転がる音がする。
「クッソ痛えな、この芋女っ! なにしやがる!!」
「そっ、そっちこそ、よくも私の干し肉を……!」
「肉なんかねぇ!!」
コニーは額から、サシャは唇から血が滲んでいる。
お互いが痛ぇ……と呟きながら血を拭っていると、遠くで号令が聞こえた。