Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    YUKI

    @anlie00

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 14

    YUKI

    ☆quiet follow

    Twitterに載せてたログ。

    合理的、効率的に物事を進めないと気が済まない、無駄を感じたら見切りが早いという✹と、それをたしなめてる側なのに諦めは✹より早い鳥とか。

    (あ、これは、)

     足元のコンクリートが一瞬でひび割れ、エリジウムが動きを止めた。ビルの屋上に、高い音を響かせながら致命的な溝が走っていく。
     これは駄目だ、と考えるまでもなく分かってしまう。
     逃げる間も無く、がくん、と床が大きく下にずれ、浮いた体がバランスを崩した。衝撃で、通信機が手元から離れて落ちていく。

     崩れ落ちる轟音。驚いたようにこちらを見る仲間たちの顔がぶれ、重力に従って傾いだ視界は青い空を映したあと、目蓋の裏に消えた。

    「うっ、」
     ガツッ、と肩と腕に衝撃が走って目を開ける。

     見えたのは、半端に崩れた壁と、青い空。こちらを掴んだ腕を伝う、赤い液体。
    「ちょ、……っと、何してるのブラザー、危ない……!」
     かろうじて絞り出した声に、崩れた床から身を乗り出してエリジウムを引き留めた男は、眉をひそめて厭そうな声を出した。
    「それは俺のセリフだが」
     崩れた床の断面で切れた腕で、ソーンズはエリジウムの腕を掴む手に強く力を込める。床に接したところから、白いコートが少しずつ、赤く染まっていく。流れる血が掌まで濡らしてしまえば、あとは、滑るだけだ。

    「床、崩れるから、離して」
    「今はお前の小言を聞いている暇はない」
    「君無傷だったのに……怪我してどうするんだよ」
    「肩に力を入れて歯を食いしばれ、上に戻す」

     エリジウムの言葉には耳を貸さないソーンズの、赤く汚れていくコートに胸が詰まる。この男は優しいから、きっとこの手を離さないだろう。それは分かっている、けれど。

    「……通信機落としたんだ、戻っても役に立たないよ。本当にそこもすぐ崩れるから早く、」
    「お前が戻るのはここではなく医務室だな、足から血が出ている」
    「真面目に言ってるんだ! そもそも自分より重いものを片手で上げられるわけないだろ! 無駄と非効率は、嫌いなんじゃなかったの!?」

     叫んだ声は、いっそ悲鳴のようだった。エリジウムには珍しい、マイナスの感情に塗れた声に、しかしソーンズは小さく笑った。

    「お前は案外馬鹿なのか。可能性があるなら試す、そういうものだろ……ッ」

     ぐわっ、と視界が上昇した。肩が抜けるように傷んで、直後地面に投げ出される。ゴロゴロと転がって衝撃を逃がし、エリジウムは慌てて上体を起こした。


     見えたのは、広くなった視界。
     一面に広がる青い空と、僅かに狭くなった、割れた床。

     瓦礫の落ちる音が重く響く。そこに、腕を掴んでいた男は居ない。


     駆け戻ろうとした腕を、医療オペレーターに掴まれた。

    「この、馬鹿……!!」

     ──怒鳴った声に、返る声はなかった。






    下に落ちたソーンズは、ウニシールドと受け身でかすり傷。想定のとおりだ、ってドヤったけど、あとで顔をあわせたエリジウムにぶん殴られます。心配かけたから仕方ないね。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💘👏🙏💖💖🙏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works