魔法職の雑談ー元魔王様の講義なにげない旅の途中で
「小僧の閃熱呪文はその程度の威力か」
「うっせぇな、こちとらまだ齢15のガキなんだよ、今に見てろよ」
「まだ産まれて15年だと?!いや確か以前のアバンもそれぐらいだったか?」
「そうだよおれぁ15だよ、ガキで悪かったな。にしても元魔王様はすげえな、格闘も魔法もできるってなんだよ」
「”元”に悪意を感じるが触れないでおいてやろう。貴様も言っていたではないか」
「何が」
「格闘”も”ハンパじゃない、と」
「へ」
「オレは元は魔法が専門だ」
「えぇえええ?そんなムッキムキで?あ、でも極大系も使うし禁呪とかも使えるから魔法職でもおかしくねぇか。あんたの場合は力を極めているうちに魔法だけじゃなくて格闘とか体術もってやつ?実際のところ魔法使いでも要るよなぁ、格闘。おれも実戦をやるまで『格闘なんて必要か?』と思ったけど。敵さんは魔法使いだからって手加減しねぇし近接戦闘を仕掛けてくるから。要ったわ、格闘。先生、教えてくれてありがとう」
「……」
「なんだよ、間違ってっかよ」
「うるさい」
「間違ってはねぇってか」
「貴様もそんな脆弱なようではこれから先が思いやられるな?」
「日々ちゃんと鍛えているから長い目で見ろい。それに少なくとも元魔王様ほど鈍重じゃねぇから」
「ほぉ、今すぐ沈められたいか」
「いや実際のところ、筋肉ダルマになると動きが重くなるし、でもあんたみたいなタフさは必要だと思うし、どうしたら良いと思う?」
「知るか、今は素早さに特化したらどうだ。ちょこまかと身をかわして逃げ回るのは得意だろ」
「そうだよなぁ、やっぱそうなるか。でさぁちょっと聞きたいんだけど。フレイザードの作り方」
「なんだと。人の身で禁呪に興味があるとは。まさか魔王にでもなるつもりか?」
「なんでそーなんだよ?!知識として!純粋な興味!!おれはただの弱っちい人間だから。んなもんになれるかよ」
「貴様の師とやらは素質がありそうだが」
「確かに師匠はその気になったらなれそうだよなぁ。支配とかに興味なさそうだからなんねぇけど。今からその気になってもかなりのジジィだし」
「ではやはり貴様がなるか」
「おれは村のしがない武器屋の息子だっつーの。魔王とかになる意味もねぇわ。いいから教えてくれよ」
「だいたいオレがなぜ貴様に教える必要がある」
「必要はねぇよ、おれの興味だから。あれってさぁ、そこら辺の岩に魔法力とかを籠めた感じ?」
「阿呆か、魔法力を宿しやすい素材があってだな」
「?それって例えばどういうやつ?」
「……この辺では見かけないな。オリハルコンなぞもその類だが」
「そっか、まず素材が大事なんだ」
「当然だろう」
***レクチャー開始~終了***
「すげえな!」
「そうであろう。貴様も飲み込みがいいぞ、素質がある。オレの部下になるか?」
「ならねぇよ、オレはあんたをぶっ倒すんだからな。あんたの部下になっちまうぐらいならおれが魔王になるわ、ならねぇけど!それよかこっちでも使えそうな素材を見つけたら教えてくれよ」
「覚えていたらな」
「よろしく!でさぁ、また質問なんだけど」
「煩いな小僧!沈めるぞ!?」
「あ、格闘の相手もしてくれんの。お手柔らかにたのまぁ」
「……あそこでダイが何やら此方を見ているが」
「おれらがわっかんねぇ会話をしているから、入ろうにも入れなかったのかな。おーいダイ、今から手合わせするからおめぇもこいよ」
-END-