祝福玲王が結婚するそうだ。
正直呼ばれないと思っていた玲王の結婚式の招待状を見下ろす。
紙1枚のそれはなんでか重く感じて、潔は机に置いて溜息を吐いた。
昔、ブルーロックの中にいた頃から、潔は玲王の事が好きだった。
面倒だし、よく分からない事を考えてる奴だったけど、宝物である凪へ向ける笑顔とは違った優しい笑顔や意外にも優しい一面を知ってしまえばもうダメだった。
告げる気のない想いは雪のように軽いのに、積もれば積もるほど重たくて抱えきれないほどになっていた。
例えば、千切と仲良さげに話してる時。
例えば、凪をおんぶしてる時。
例えば、こっちを向いた時。
馬鹿みたいに心臓は正直に跳ねる。
それを押さえつけて生きてく日々は思ったよりも辛かった。
サッカーをしている時は問題ない。
けれど、それ以外の時間はもうボロボロだった。
終いには夢で玲王と付き合う夢を見てしまう程。
潔は想いを打ち明ける気は更々なかった。
例え、玲王が潔と同じ思いを持っていても。
潔にとっての恋は、温厚な性格をそのまま注ぎ込んだ優しい優しい恋だったから。
笑顔でいて欲しい。
幸せでいて欲しい。
玲王思う理想を、そのままに過ごして欲しい。
それを叶えられない。
潔は男で、玲王も男。
世間には受け入れられない関係
後ろ指さされる関係。
子供も、一般的な幸せも与えられない。
玲王に、何にもあげることができない。
潔は、玲王から取り上げる事しか出来ないのだ。
だから潔は黙った。
だから潔は玲王の想いを無視した。
鈍感な振りをして、笑った。
心が玲王を求めても、嫉妬心で狂いそうになっても、応えてやれなくて泣きそうになっても、笑って自分の想いに蓋をし続けた。
それが正しいんだと自分の心に言い聞かせて、甘くて醜い我儘な恋心は自分だけの秘密にした。
正しいと、信じた結果が、これ。
男としての幸せを掴み、永遠を誓う式への招待状を見て、潔は安心と共に、泣きたい気持ちになった。
今まで図太く、大切に育っていた恋心が音を立てた。
ばきり。