過日の微笑みの意図《1》
夕食後は、各々の自由に過ごしている。スノウとホワイトは早く休んでしまうことが多いようだが、そうであってもなくてもフィガロは構わず好きにしていた。本を読んだり習った術の応用を考えたり、そういったことをして気が済むか飽きるかしたら休むし、何かをする気分でないときは潔く寝床に入る。
今日は少し試してみたいことがあって自室に引きあげてきてからあれこれやっていたが、そろそろ集中力が切れてきた。ここらで終わりにしておこうと広げていた素材や資料を片付けていたそのときだった。
上の階で大きめの物音がした。
嫌な予感しかしない。上はスノウとホワイトの部屋のある階である。この夜更けにそこで物音ときたら、何があったか想像に難くない。ふうと深く息をつきながら、いち、に、さん、と口のなかで数えていれば、よんとごの間で自室のドアが開け放たれた。
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