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    シュウ

    @Wgamesyuu

    ワーフリとシロを愛してます。
    シロマグ、シロアル、シロクロ何でもござれのごちゃ混ぜ注意。

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    POIPOI 17

    シュウ

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    ワーフリのシロとマグノスの妄想二次創作(SS)です。
    マグノス視点。
    アルクも少し出てきます。
    ※捏造・キャラ崩壊注意
    ※同性の恋愛に偏見がないと言う設定です
    ※マグノスがやや乙女
    ※エロはありません

    白虎に告白してしまう獅子世界を遠望する街——か。
    テオ達に連れられ、ここに来てから半年が経った。
    空一面に浮かぶ世界。
    異世界への跳躍を可能にするワールドフリッパーと呼ばれる装置。
    そこから世界を行き来する毛皮がない人間。
    機人と呼ばれる鉄で出来た生命体。
    魔族と呼ばれる青い肌と角を持つ人間……?
    何もかも……理解が追いつかなかった。

    「マグノスは考え過ぎなんだよ」

    幼き獅子、テオはそう言うが、こんな常識はずれな街を素直に受け入れられる程、柔軟な頭ではないと自覚している。
    しかし……今はもう、そんな事は些細な問題だった。今、俺の頭を悩ます存在は——


    「がぁ〜……ごぉ〜……ぐごぉ〜……」
    芝生の上で大の字になり、豪快なイビキをかきながら寝ている獣人にゆっくりと近付く。
    全身を覆う白い被毛に特徴的な縞模様の入った大きな身体。
    惜しげもなく晒された逞しい上半身には幾つもの傷跡が見える。
    腕、肩、脇腹だけではなく、脚にも刻まれたそれはこの男の半生を表しているようだった。

    ———
    「兄貴はガキの頃に異世界に流されてずっと奴隷の扱いだったって話っすよ」
    「馬鹿を言うな!あの男は白虎だぞ!?
    そんなふざけた話、あるわけが……!」
    「一面、砂ばかりのヤベー世界っすよ。
    そこには猫族も犬族も居ねえ。
    ……あの人は、たった一人だった」
    ———

    黒豹の男——クロの言葉が脳裏に蘇った。
    白虎も……俺と同じ“痛み”を知る男だった。
    なぜ……こんな単純な事に“あの時”気付かなかったのだろうか。
    いや、しかし……。
    白虎の顔を覗き込む。
    こんな穏やかな顔で寝ている男が——

    「んぁ……?」
    「!?!?」
    唐突に目を覚ました白虎と目が合ってしまい、飛び退いて距離を取る。

    「いや……ビビり過ぎだろ……」
    「貴様白虎ぉ!?寝たフリとは卑怯な……!!」
    「フリじゃねーよ。
    てめえが妙な気配出しながら近付いて来るから目が覚めちまったんだよ」
    白虎は欠伸をしながら上半身を起こすと、不機嫌そうに尻尾を振り回す。

    「……昼寝の邪魔しやがって……。
    ライオン野郎が俺に何の用だよ?」
    「『マグノス』、だ。ライオン野郎ではない。いい加減その呼び方はやめろ」
    俺は眉間にシワを寄せながら白虎を睨みつける。
    「ほお?それなら俺にも『シロ』って名前があんだよ。てめえこそ、いい加減覚えろよな?」
    白虎——シロは揶揄うようにニヤリと笑うと、胡座をかいて座り込んだ。
    「む、ぐぅう……!
    お、覚えていない訳ではない……!
    ただ、その——」

    「ま、別にどっちでもいいけどな。
    ——それで、俺に何の用だよ?
    『マグノス』さんよ」
    言い淀んでいると、したり顔で話を戻され、俺の顔をじっと見つめてくる。
    ——この男はいつもそうだ。
    琥珀色をした鋭い瞳に見据えられると、何もかも見透かされているような気分になる。
    ペースを乱されるのが気に食わないと思いながらも冷静さを取り戻す為に一度深く息を吐く。

    「ふぅー……。
    その……少し、話をしたい。
    場所を変えても良いだろうか?」
    「あん?ここじゃダメなのか?」
    「ああ……。ここでは人目がある。
    どこか別の場所で何か飲みながら、ゆっくり話がしたいのだが……」
    その言葉を聞いた瞬間、白虎の表情が一変した。

    「へぇ〜……珍しいじゃねぇか。
    てめえが俺を誘うなんてよ。
    いいぜ、この間クロから貰った酒でも飲みながら聞いてやるよ。
    食堂に行くぞ」
    白虎は立ち上がって大きく伸びをすると、尻尾を振りながら歩き出した。
    ——なぜ急に上機嫌になったのだ……?
    疑問を抱きつつも、その後を追った。



    「ぐぅう……!
    こん、な……はずでは……」
    ——星見の街の食堂。
    酒を飲むつもりではなかった。
    だが、「お前もイケる口だとは思わなかったぜ。まぁ飲めよ」と、嬉しそうに酒を注ぎ差し出す白虎を見てしまえば断る事など出来なかった。
    それに、酒の力を借りれば多少は伝えやすくなると——そんな浅はかな考えで飲んだ結果がこれだ。
    まさかグラス1杯でここまでとは……。

    「おいおい……大丈夫かよ。
    飲めねえなら先にそう言えよ……」
    白虎は困ったように眉根を寄せ
    額に手を当てている。

    「ふ、普段からこんな強い酒ばかり飲んでいるのか?貴様の身体はどうなっているのだ……」
    「知らねーよ……。別に普通だろ?」
    平然と答え、グラスの酒を飲み干す白虎に苛立ちが募っていく。

    「普通な訳がないだろうッ!
    やはり貴様に……俺の気持ちなど……!」

    「………」
    白虎は無言で立ち上がると、コップに水を注いで持って来てくれた。
    「ほれ、少し落ち着けよ」
    「ッ……!誰のせいだと……!!」
    「………」
    何も言わず、ただ俺を心配そうに見つめる白虎の視線に気が付き、思わず口を閉ざした。

    ——何をしている……俺は。
    差し出された水を一気に飲み干し、深呼吸をして心を鎮めようとする。

    「……お前とはいつかこうしてサシで飲んでみてえと思ってたんだよ」

    ……違う。

    「だから、俺もつい調子に乗っちまった」

    何を言わせようとしている……?

    「……無理させちまったなら、悪かっ——」
    「違うッ!!!」

    白虎の言葉を遮るように大声を出してしまう。
    少し驚くも、白虎は何も言わず黙って続きを促してきた。

    「……貴様は悪くなどない。
    あの時もそうだ……。
    俺は、貴様を……俺とは違うと決め付けて……」
    「……?話が見えねえな」
    怪訝そうな顔で首を傾げる白虎に、再び苛立ちが湧き上がる。
    なぜこんな時ばかり察しが悪いのだ……!
    ……ダメだ、落ち着け。

    「き、貴様に襲いかかり、返り討ちにあった時のことだ!
    目の前の貴様をろくに見ずに、勝手に決め付け、傷付けて……俺は……。
    すまなかった……!」
    頭を深く下げ、謝罪の言葉を口にする。

    「………」

    時間にして数秒か。
    だが、これほど長いと感じる沈黙は初めてだった。

    「…… まだそんなことウダウダ
    考えてたのかよ……」
    呆れたような白虎の声が沈黙を破り
    頭を上げる。
    白虎は面倒臭そうに頭を掻きながら
    ため息を吐く。

    「き、貴様ァッ!俺がどれほど——」
    カッと顔が熱くなっていくのを感じる。
    羞恥心と怒りに身を任せて立ち上がりかけるが
    白虎に肩を押さえられて止められた。

    「……んなこと最初から気にしてねーよ」

    「は……?」
    白虎の予想外の返答に力が抜ける。

    「“傷付けた”?誰をだよ。
    『白虎サマ』と崇め奉られる事には
    慣れてるからな。
    お前……『考え過ぎ』だってテオにもよく言われてねえか?」
    苦笑しながらそう言う白虎に、俺の怒りはどこかへ行ってしまった。

    「だ、だが……俺は実際貴様を——
    うぐっ!?」
    額をどつかれ、言葉が途切れる。
    「妄想癖がつえーんだよ。
    相変わらず勝手に浸りやがって……」
    「ぬ……!言わせておけば貴様はまた——」

    反論しようとするも、その鋭い琥珀色の瞳と目が合い、息を呑む。
    慌てて目を逸らすが、心臓が激しく脈打ち、頬が紅潮していくのが分かった。

    「ま、少しは見れるようになっただけ以前よりはマシにはなったけどな」
    「そ、それはどういう意味だ……?」
    「さあな。てめえで考えろよ」
    白虎はニヤリと笑うと、酒瓶ごと掴み中身を飲み始める。

    「——俺もてめえも“同じ傷”を知ってた。
    ……それだけだろ?
    後はてめえがどう思おうが勝手だ。
    好きにしろよ」
    「——ッ!」

    その言葉を聞いた瞬間、胸に熱いものが込み上げてきて、視界が滲んでいく。

    「おい、なんで泣いて——」
    白虎は戸惑ったように目を見開きながら、俺の顔を覗き込んでくる。

    「黙れッ!貴様はいつもそうやって……!」

    俺の心の内を全て見透かすかのような眼差し。
    そして、俺自身でさえ気付かなかったことまで見抜いてしまう洞察力。
    全てにおいて気に食わない男だが、それでも——。

    「俺の心の中に土足でズカズカと入り込むッ!本当に腹立たしい奴だ……!」

    なぜか惹かれてしまう。
    理解不能な感情に振り回される。

    「泣いたりキレたり忙しい奴だなてめーは……。
    よくわかんねーが悪かったよ」
    白虎は困ったように眉根を寄せ頭を掻いている。

    「謝るな……!余計惨めになるだろう……!貴様でもこの苦しみはわかるまい……!」
    「いやわからねえよ!?
    急になんなんだてめえは……。
    どうして欲しいんだよ……?」

    白虎は辟易とした様子で俺に問いかけてくる。
    俺自身、どうしたいのかわからず
    顔を伏せてしまう。
    そんな様子を見かねてか、白虎が大きなため息を吐き、立ち上がる音と気配を感じた。

    その直後、白虎に手首を掴まれ引っ張られたかと思うと、気付いた時には抱きしめられていた。

    「——ッ!?な、なにをッ!?」
    突然の事に動揺し、離れようと藻掻くが
    、白虎はさせんとばかりにさらに強く抱き寄せてくる。

    「うるせえ。黙ってろ」

    耳元で囁かれた低い声に身体が硬直する。
    柔らかい毛並みと発達した筋肉の感触。
    鼻腔をくすぐる獣特有の臭いと雄の匂いに、身体が熱くなるのを感じ、胸が締め付けられるような感覚に襲われる。

    「……直感だよ。こうするべきだと
    思っただけだ」
    そう言いながら、白虎は俺の背中を優しく撫でてくれる。
    すると不思議なことに、先ほどまでの焦燥感が消えていく。

    ……敵わないな。
    俺は抵抗をやめ、白虎に身を預けることに
    した。

    同時に、理解した。
    好きなんだと気付いた。
    この羨望は憎しみではなく、恋慕から来るものだったのだと……理解してしまった。

    「……俺も酔ってるのかもしれねーな。
    なぁ、これやっぱ変じゃねえか……?」
    そう言い、俺から離れようとする白虎の背に腕を回し、力を込める。
    「お、おい!?」
    困惑する白虎を無視して、そのまま白虎の胸へと顔を埋める。

    「もう少し……このままではダメか……?」

    「——しょうがねえなあ……」
    白虎は小さくため息を吐くと、再び俺を抱き寄せてくれた。


    「……」
    「……」
    それから暫くの間、俺達は無言で抱き合っていた。
    互いの心音が聞こえるほどの距離。
    しかし不思議と心地好く感じていた。

    「——好きだ」

    気付けば、口から想いが溢れ出ていた。
    「……あぁ?」
    「俺は貴様を……愛している」
    「……は?いや、待て——」
    「初めは憎しみだったのかもしれない……。
    だが今は違う。
    俺の心に土足で踏み入り込み、居座っている
    貴様に俺は——」
    「待て待て待てッ!落ち着け!」
    白虎は慌てた様子で俺の口を手で塞ぐと
    ゆっくりと俺を引き剥がす。

    「うし……。もう1度聞くぜ。
    お前……俺のことが好きなのか?」
    「……そうだと言っているが?」
    「さっきまでウジウジしてたくせに
    急に吹っ切れてんじゃねーぞ!?」
    白虎は「マジか……」と呟きながら頭をガシガシと掻く。

    「あー……あれだ。
    酔ってるとこに俺が妙な事をしちまったから、変な気になっちまってるだけだと思うぜ?
    だからよ……その気持ちは一時の迷い——」

    「……違う!
    この気持ちに嘘などない!俺の心は……貴様に支配されているッ!」

    「……」
    白虎はしばらく黙り込むと、
    「あー……クソっ」と悪態をつく。
    そして観念したかのように大きく深呼吸をする。
    「わかった。
    俺ももう逃げ道は探さねえ」
    白虎は真剣な表情を浮かべ、真っ直ぐに俺を見つめてきた。

    「だが、俺を求めて束縛するつもりなら……
    相応の覚悟を持てよ」

    鋭い琥珀色の瞳に射抜かれ、思わず息を呑む。
    「ッ……!ああ、望むところだ……!」
    「おう。その言葉、忘れんなよ」
    白虎はそう言うと、ニヤリと笑いながら
    俺の尻尾を掴む。

    「おぅッ!?な、何をッ……!」
    「なに嬉しそうに尻尾ぶん回してんだよ。
    俺もてめえのことが好きだとは一言も
    言ってねえだろ」
    「なッ!?貴様も俺のことが好きだと言う流れではなかったのかッ!?」
    俺は愕然としながら叫ぶ。

    「お得意の思い込みで勝手に
    決め付けてただけだろ。
    ——ま、別に嫌いじゃねーけどな」

    白虎はそう言い、意地の悪い笑みを浮かべた。
    やはりこの男……!
    どこまでも腹立たしい……!

    「き、貴様ァ!謀ったなッ!」
    「ははっ、そう怒るなって。
    付き合ってやらねーとは言ってねえだろ?
    俺の気持ちは今後のてめえ次第ってことだ。
    せいぜい気張れよ?」
    白虎は俺の肩を叩き、上機嫌で酒瓶を煽る。

    「ぬ……!き、貴様ぁ……!」
    俺はまだ言い足りない文句を飲み込み
    ため息を吐く。
    ……まったく本当に気に食わん。
    だが……そんな男に惚れてしまったのも
    また事実なのだ。

    「いいだろう……。
    俺がどれほど貴様を愛しているか、嫌という程教え込んでやるッ!!!」
    「うおっ!?」
    白虎は突然飛びかかってきた俺を
    慌てて受け止める。
    「おい!?その急に吹っ切れて襲ってくる癖を——」

    ガチャ!
    食堂の扉が開く。
    「————」

    アホ毛が特徴的な、青年になろうとしてる少年——
    アルクと目が合う。

    「——2人っていつの間にかそう言う関係に……?
    えっと……ごゆっくり」

    そう言いUターンするアルクを目にも止まらぬ速さで捕まえ、扉を閉める白虎。
    「うわぁ!?!?」
    「おいアルク。
    俺が言いてえ事……わかるよな?」
    白虎は冷や汗をかいた笑みで、だが有無を言わせぬ迫力で詰め寄る。
    「——ソーヴィに言っていい?」
    「はぁッ!?バカやめろバカ!
    死人が出るだろーが!?
    いや……マジでやめろよ?
    わかるよな?な??」
    必死の形相で懇願する白虎。

    「ハハハハハ!大丈夫だよ。
    今見た事は黙っておくからさ」
    「……はぁ〜……。
    見られたのがお前で助かったぜ、親友」
    「んー……でもさ。
    シロも僕のこと、言えなくなって
    きたんじゃない?」
    「あぁ?」
    「そろそろ決着、つけないとね?」
    「うるっせえな!わかってるよ!
    余計な気ぃ回すんじゃねえ!
    ——おいマグノス、外に出るぞ」
    そう言い、俺の腕を引く白虎。
    「あ、ああ……」
    俺は戸惑いながらも白虎と共に部屋を出た。
    背後には笑いながら手を振るアルクの姿があった。

    「クソ……最低な気分だぜ」
    白虎は苦虫を噛み潰したような顔で呟く。
    「あいつと随分と仲が良いのだな」
    「あぁ?なんだ?
    ——まさか嫉妬してんのか?」
    「違う!ただ……少し羨ましいと
    思っただけだ」
    俺と白虎の間にはない、強い絆のようなものを
    感じた。
    それがどうしようもなく羨ましく感じた。

    「そうかよ。
    なら、尚更気張らねーとな?
    愛しの白虎サマが他の野郎に取られる前によ?」
    白虎はそう言いながら
    俺の腰に手を回し抱き寄せる。
    「ッ……!貴様はまたそうやって……!」
    「ははっ、満更でもねえくせによ。
    ま、期待せずに待っててやるよ」

    そう言い、白虎は俺から離れて歩き出す。
    「飲み足りねえからちょっくら街に行かせてもらうぜ。あばよ」
    白虎はヒラヒラと後ろ手に手を振り、俺の視界から消えていった。

    ——白虎にも、想い人がいるのだろうか。
    どうやら俺の恋は前途多難らしい。
    だが、諦めるつもりは微塵もない。
    必ず振り向かせてみせる。
    俺の白虎……!
    白虎に抱かれた感触を反芻しながら、俺は決意を新たにした。

    ——FIN
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