本当の『きょうだい』の末っ子ってのはたぶんこういうことなんだと思う。
『クッキー焼けたぞ。ほら、先に好きなの食べろよ』
『雨に濡れたのか。拭くからそこにいてくれ。タオル持ってくる』
『風邪か?大丈夫か?咳き込んだだけ?なんだよ脅かすなよ』
『疲れたろ。イファはほっといてシャワーに入ろう』
こうやって甘やかされるのも悪くない。実際にこの『きょうだい』になったのも俺が最後なのは確かな訳だ。
と言い訳しながら享受する。
イファが好きだ。オロルンも好きだ。
でもちょっとこの二人の関係が変わってからは俺も変わらないといけなくなった。
キスするのは良いことだ。親愛の証ってやつだ。オロルンもイファも三人でいる時にだって俺にしてくれる。ニコニコして、俺もニコニコする。
でもイファはなんだかオロルンに対しては恥ずかしいのか俺の前ではしてくれない。オロルンはしたそうでも俺がいるとイヤみたいだ。
イファに抱っこされてる時にキスする時は俺の目を隠してきやがる。
でも知ってるんだ。イファ、凄く幸せそうな顔する。イファの幸せ俺にも分けて欲しい。だから見ていたいのに意地悪だ。でもイファの気持ちは尊重しなきゃいけないから。
だから、
「イファ…」
「ばかカクークが」
「寝てるよ」
すやすやと、狸寝入りでたまに空気も読んだりする。…たまにガチで寝てるときもあるけどな。
だって大好きな二人が仲良くしてるなら俺も嬉しい。だから堂々としてくれていいと俺は思ってる。
「ちょ、まてって…ぁ、」
まぁ、たまーにそのままおっぱじめようとする時は
「…きょ、だい?」
「ぅわーほらばか!」
「寝に行こうか」
「うん…」
なんて技も使ったりする。
…なんとなく、俺が邪魔なのか?とも思うこともあるから、そういう時は眠くなったフリをしたり、自分から遊びに出かけたり、二人の時間をつくってやったりもするんだ。
イファもオロルンも、幸せそうで。二人の幸せは俺の幸せでもあるから。
それでも、俺がいないことで二人が幸せになれるってのは正直言うと、ちょっと寂しい。
でも、でもね。
◆
朝起きて、目がまだしっかり開かないままに藁からフラフラと飛び立つ。
居間にはまだ誰もいない。
イファの寝室にそっと入ると二人でくっついて眠ってた。
「まったくこいつらは!」
そんな所を見れるのも俺の幸せ。特権だから。
でも、でもね
本当は、
「んぁ…カクーク、起きたのか?」
「ふぁ…おはようカクーク」
「おはよう!」
「まだ眠ぃ…おら来い」
「うん!」
イファの左腕とオロルンの右腕が俺を迎え入れてくれる。
「はーもふもふ」
「ふふ、あったかい」
「幸せ!幸せ!」
「なーにいっちょ前に言ってんだ?」
こうやって、二人の真ん中に挟まれるのが大好きだ!