双星に寄せて身体を揺さぶられる感覚で重い瞼を持ち上げると、ジョシュアが心配そうに覗き込んでくるのが見えた。
「おはよう、兄さん。珍しいね、兄さんがこんなにぐっすり寝ているなんて」
「おはよう、ジョシュア。すまない、寝坊なんてだらしないところを見せた」
「兄さんは普段から働き過ぎなんだから、たまにはいいじゃないか。体調が悪いのかと思ったけど、顔色は良さそうだし」
楽しい夢でも見た?と問われ、そうだなと返す。確かに、覚め難い夢であったから。
「5年前、だったかな。不思議な夢を見たことがあって。それを思い出していたようだ」
全てを見たわけではないけれど、穏やかな世界だった。ベアラーがいないこともそうだが、頭からドラゴンのような角が生えていたり、獣のような見た目でもヒトとして生きているのが衝撃だった。ヴァリスゼアでは、人間でも人として生きられない者が多いのに。
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