kbml書きかけよぉ、来てくれたな。遠くからはるばるありがとな。
まぁ座れよ。キルクスは久しぶりか?はは、そんな薄着じゃ寒いだろ。
え、薄着じゃないって?
あのな、この街ではもう冬なんだよ。他の街より一足早いんだ。
あぁ、おれももう二年になるよ、この街に家を構えてからさ。もう慣れちまってさ、退屈な街さ。
久しぶりだよな、お前とも。忙しくしてるって聞いてたが、元気かよ?
なんだよ、早く本題に入れって?
そんなに急ぐなよ、大して面白くも何ともない話なんだ……ま、話そうと誘ったのは俺サマからだったな。
ま、キルクスの酒おごるからさ、のんびりして行ってくれよ。
ついこないだ、キルクスに初雪が降ったんだ。この街で二度目の冬だ。
それでさ、街歩いてたら、見かけたんだ……あの人に贈ったのによく似た色のマフラー。
……いや、別人だったよ、よく見たら。
あぁ、残念さ、残念だよ。
あぁ、あの人はもうこの街にいない。
あの人は、メロンさんは……旦那が二年前に亡くなってから、この街の家を売って、家族で引っ越しちまった。
お前な、そんなに驚いてるけど、もうそんなに経つんだよ。
ジムリーダーを引退してなお優秀なコーチとして活躍してたあの人に、突然の不幸だった……お前も良く覚えてるだろ、マスコミも騒ぎ立ててたし。
あんなに強かったメロンさんが、オレさまが一度もバトルで勝ったことなくて、バトルコートの外でも何て言うかさ、勝ったことなんかなかったメロンさんが、涙流してさ。
その涙を見ちまった俺サマにさ、謝ったんだよ。
あんなに悲しそうな、寂しそうな、辛そうな涙を、あの人も流すのかって。そう思った。
「ごめん、ごめんねキバナくん、なんだか涙が止まらなくて」
「えっ……いや、こっちこそ、すいません……控室、誰もいないかと」
その訃報から数週間後、いつものようにジムリーダー同士で討ち合った後の控室に、元ジムリーダーのメロンさんが来てたんだ。
「気晴らしになるかと思ってチケット取ってきたの。カブさんとかルリナちゃんとかみんなにも会えた、久しぶりにね。でもダメみたい……旦那もさ、昔はトレーナーだったんだ」
「そ、そう……なんですか」