Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    葵そら

    mhyk/🔫🍴🔫

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🔫 🍴 💜 💙
    POIPOI 43

    葵そら

    ☆quiet follow

    ❄️🌸ブラネロ♀
    「暖かい」「肩を貸す」のお題で書かせて頂きました!
    弊社の契約結婚ブラネロですが、プロポーズの話の後でめちゃくちゃ甘々な話です。
    誰おま…って感じですがパロディということでご容赦ください🙏

    #ブラネロ
    branello

    ネロが冬の国に来て何度目かの春。年中雪に覆われている冬の国には、ほんのわずかな間だけ訪れる春がある。
    しかし、もう長いことそんな短い春すら訪れないほどひどい寒波に襲われていた冬の国は、ブラッドリーの元に春の国からネロが嫁いで来て以来毎年きちんと春が訪れている。
    国民は「春の女神の奇跡」と呼んでネロのことを崇めているのだが、本人にはそんな自覚はなく、今でも「ただの偶然」と思っている。

    今年の春も問題なく訪れた。数日前にネロ達が住む城の周りの雪も融け、今日はとてもいい天気だ。
    こんな日はバスケットに料理を詰め込んで陽の当たる草原でのんびりピクニックでもしたい気分だ。
    春の国にいた頃なら、城中総出を上げてピクニックに出掛けただろう。
    春の国はそうゆうイベントが大好きなのだ。
    しかしここは冬の国。さすがに城の人間に「今日は天気もいいしピクニックに行こう!」なんて言えるわけがない。

    ブラッドリーは…行かないかな。
    ふと、この城の城主であり、ネロの伴侶であるブラッドリーのことを思い浮かべる。
    最近忙しく働いているようで、ネロが寝付いてから帰ってき、ネロが目覚める前に出ていくという生活が続いている。
    何度もちゃんと起きて帰りを待とうと思ったのだが、ついつい睡魔に負けて一度も成功したことがない。
    起きたらわずかに温もりが残っているから、ベッドではちゃんと寝ているようなのだが、もう1週間は声を聞いていない。
    ちゃんと話したいことがあるのに、なかなか会えない生活が続いていた。
    「会いたいなあ…」と誰もいない部屋にネロの声が響く。

    その時、寝室の扉がバン!と開かれる音が聞こえた。ブラッドリーだ。今の言葉を聞かれていないかドキドキしながら数日ぶりに見たブラッドリーの顔に嬉しさが込み上げてくる。
    「こんな時間にどうしたんだ?」
    びっくり半分、嬉しさ半分といった声色で問いかける。時刻はまだお昼前。こんな時間に帰ってくるのは珍しい。
    「今日は双子と一緒に視察に行くはずだったんだが…」
    ブラッドリーが言うには、今日は双子の先王と共に国内視察の予定だったそうなのたが、突然、朝になって『今日は天気がいいからピクニックに行くね☆ブラッドリーちゃんもたまにはネロちゃんと遊んであげないとダメだよ!』と言ってどこかに行ってしまったらしい。
    「面倒な仕事押し付けて遊ぶ暇を作らせないのはどこのどいつだよ…」と、ブラッドリーはブツブツ文句を言っているが、正直ネロとしてはスノウとホワイトありがとう!という気持ちだった。久しぶりにブラッドリーと過ごせるのだから。
    「ははっ!あんたも大変だな」と言いつつにやける顔が隠せない。
    ブラッドリーも休暇自体は嬉しいようで、あいつらの言う通り天気もいいしどこか出掛けるか、と乗り気である。

    そうと決まれば善は急げだ。
    ネロは慌ててキッチンへ向かいピクニックに持っていく料理を作った。
    卵とチキンのサンドイッチ、カリカリに揚げたフライドチキン、ブラッドリーは食べないかもしれないが細長く切った野菜スティック。
    簡単に出来るものをぱぱっと作り、それらをボックスに詰め込んでいく。
    ウキウキしてつい鼻歌を歌っていたら、後ろから見ていたブラッドリーに「機嫌がいいな」と笑われたので腹にパンチをいれてやった。
    出来上がったランチバスケットを持って向かったのは城の近くにある小高い丘。
    冬の間は雪に覆われて白一色のこの丘は、春になると草木が芽吹き、花もわずかに咲いている。
    毎年、春になったら訪れているネロのお気に入りの場所だ。そこでブラッドリーと一緒に作ってきたランチを食べたらきっと美味しいに違いない。

    ちょうどお昼時に到着したのでさっそく作ってきた料理を広げる。
    美味い美味い、と美味しそうにフライドチキンを頬張るブラッドリーを見ながら幸せを噛み締めていた。
    案の定、野菜スティックを食べようとしないブラッドリーに無理やり食べさせ、食べ終わったら周囲の花を摘んで花冠を作りながら木の影でのんびりしていると、肩にぽん、と重みを感じた。
    隣に座っているブラッドリーがネロの肩に頭を預け、すぅすぅという寝息が聞こえてきた。眠ってしまったらしい。最近忙しくしていたのだから眠たいのだろう。

    ネロの前ではいつも威厳があり偉そうで、疲れたところなんて見せたことのないブラッドリーが、こうやってネロに寄りかかり無防備な姿を晒しているのはとても貴重だ。
    なんだかくすぐったい気持ちになりながら、でも悪い気分ではない。
    この時間がいつまでも続きますように、そう思いながら肩にかかる重みを享受していた。

    ******

    ブラッドリーが目を覚ますと隣でネロが寝ていた。
    あまり覚えてないが、どうやらブラッドリーが先に寝てしまったあと、ネロも一緒になって眠ってしまったらしい。
    なんとも危機感のない光景に、平和ボケしてんな、と思いつつそうゆうのも悪くない。
    頭の上に手をやると寝る直前までネロが作っていた花冠が乗せられていた。
    これを作り終わって手持ち無沙汰になり、ブラッドリーが寄りかかっているから動くに動けずそのまま自分も寝てしまった、というところだろう。
    起こしてしまえばいいのに、と思いつつそんなネロの優しさに胸の奥が暖かくなる。

    まだ陽は高いところにあるが、こんなところでいつまでも寝ていたら風邪を引いてしまうかもしれない。
    悪いと思いつつ「ネロ、起きろ」と声をかける。
    ネロは、うーん、と目を擦り眠たそうにしていたが、ブラッドリーの顔を見たとたん、にっこりと笑顔になり、おはよう、と声をかけた。
    ブラッドリーも微笑みながら「よく眠れたかよ」と聞くと「それはこっちのセリフだよ」とネロに返された。
    二人でクスクス笑いながらそろそろ帰るか、と腰を上げる。

    「今日は楽しかったぜ。また来年の春にも二人でピクニックとやらをしようぜ」
    ブラッドリーは上機嫌な様子でネロに声をかけた。
    しかし、それを聞いたネロはぴたりと動きを止めた。
    なにか変なことを言っただろうか?とブラッドリーが首を傾げていると、言いにくそうにしながらネロが口を開いた。
    「…あのさ、来年は二人きりは無理かもしれないんだ…」
    どうゆう意味だ?と数秒考え込んだブラッドリーは、まさか、とネロを見つめた。
    ネロは自分のお腹の辺りを手で撫でながらブラッドリーを見つめている。
    「おま…!そうゆうことは早く言えよ!!」
    「い、言おうと思ってたよ!でも最近忙しくて全然会えなかったし……」
    ネロが言い終わる前にガバッとブラッドリーがネロを抱き締めた。
    「ネロ、俺は今この世で一番幸せだ」
    「大袈裟だよ、馬鹿」
    そうゆうネロも満更ではない顔をしている。
    「お前と、これから産まれてくる子供をぜってぇ幸せにするから」
    「うん。よろしくねパパ」
    二人は幸せそうな笑顔を浮かべながら唇を寄せた。
    暖かな春の陽は祝福するようにいつまでも二人を照らしていた。

    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭💕❤❤😭👏👏👏👏👏💒🍼💖💗💕💕💕💕💒💗❤❤❤❤💒😭👏
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    44_mhyk

    SPOILERイベスト読了!ブラネロ妄想込み感想!最高でした。スカーフのエピソードからの今回の…クロエの大きな一歩、そしてクロエを見守り、そっと支えるラスティカの気配。優しくて繊細なヒースと、元気で前向きなルチルがクロエに寄り添うような、素敵なお話でした。

    そして何より、特筆したいのはリケの腕を振り解けないボスですよね…なんだかんだ言いつつ、ちっちゃいの、に甘いボスとても好きです。
    リケが、お勤めを最後まで果たさせるために、なのかもしれませんがブラと最後まで一緒にいたみたいなのがとてもニコニコしました。
    「帰ったらネロにもチョコをあげるんです!」と目をキラキラさせて言っているリケを眩しそうにみて、無造作に頭を撫でて「そうかよ」ってほんの少し柔らかい微笑みを浮かべるブラ。
    そんな表情をみて少し考えてから、きらきら真っ直ぐな目でリケが「ブラッドリーも一緒に渡しましょう!」て言うよね…どきっとしつつ、なんで俺様が、っていうブラに「きっとネロも喜びます。日頃たくさんおいしいものを作ってもらっているのだから、お祭りの夜くらい感謝を伝えてもいいでしょう?」って正論を突きつけるリケいませんか?
    ボス、リケの言葉に背中を押されて、深夜、ネロの部屋に 523

    recommended works

    cross_bluesky

    PROGRESSパラロイ本(ブラネロ)の冒頭部分。
    CRITICAL ERROR 鳴り響くエラーメッセージ、動かなくなるボディ。辛うじて稼働していた聴覚センサーが最後に拾ったのは、見知らぬ男の声だった。

     高層ビルの真ん中を薄紅色の花弁が舞い、眩しい光と音に溢れたネオン街──フォルモーントシティ。そこでは人間の他に、アシストロイドと呼ばれる人の手によって作られた機械たちが暮らしている。
     整備と機械化の進んだハイクラス・エリアとは違い、階級社会の底にあるワーキングクラス・エリアには治安の悪い場所も決して少なくない。法の目をかいくぐった非合法な店が立ち並ぶ中、管理者不明のアシストロイドたちはメンテナンスもされず、ただ使い捨ての道具のように各々の役目を全うすべく働かされていた。
     ──フォルモーント・シティポリスのもとに大規模な麻薬取引のタレコミが入ったのは夕方過ぎのことだった。ワーキングクラス・エリアの歓楽街の一角で、違法アシストロイドたちと引き換えに、隣接したシティから大量のドラッグが持ち込まれるという。人の形を精巧に模したアシストロイドは高値でやり取りされるのだ。特に違法アシストロイドは、人の心に取り入りやすいよう愛らしい見目をしているものが多いから尚更。
    5751

    plenluno

    DONE1/14「そういうことにしてるつもり!」8~New Year Party~展示作品②
    読んでいただきありがとうございました!ぜひアフターでもお楽しみください!
    元相棒と野球拳。
    魔法舎です。最後だけ微微えちです。
    まほやく世界にじゃんけんが輸入されてたのを公式で確認した(どのストか忘れた)のでそのあたりを修正したりしています。
    それだけじゃ足りない 「野球拳?」
     とある晩酌の夜、ネロは耳慣れぬ単語を反芻した。グラスの酒をあおって身じろぐと黒塗りのソファが小さく鳴く。隣に居るブラッドリーは酒を呑みながらネロ特製のつまみに舌鼓をうっていた。
    「前の賢者に聞いたんだよ。じゃんけんして、負けた方が服を1枚脱ぐらしい」
    「―っ! はぁ!?」
    ネロは酒を吹き出しそうになって何とか堪えた。
    「だから、負けたら服脱ぐんだよ。」
     ネロは賢者の世界のじゃんけんについて軽く反芻する。握りこぶしの形のグーは石、手を開いたパーは紙、人差し指と中指だけを立てたチョキはハサミを表す。グーにはパーが強く、パーにはチョキが強く、チョキにはグーが強い三つ巴。3種の手の形と関係さえ覚えれば簡単だ。こちらの世界の似た遊びに賢者が反応したのをきっかけに話が盛り上がって以来、魔法舎では賢者にあわせてじゃんけんが使われることが増えた。子ども達が夕飯の献立で揉めたときなどはじゃんけんの勝敗ですんなり決まるのでネロにとっては便利だった。
    1827