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    utusetu4545

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    ウツシ教官×愛弟子で七夕のおはなし。愛弟子名前出てないけどマイハン♂のセツです。

    #マイハン
    playerToOnesLeft
    #ウツセツ

    七夕逢瀬今日は七夕。天の川の両岸にいるという、古の夫婦が逢瀬を許される日だそうだ。そのためか、ふたりが無事逢瀬できるか、夜空を見上げる人が多い。
    さて、目の前の子も同じかな。
    「やあ、愛弟子」
    声をかけるとはっとしてこちらを向いた。非番だったのだろう、着流しに団扇を仰いでいた。
    「ウツシ教官、おかえりなさい」
    「うん、ただいま。星を見ていたの?」
    はい、と応えて再び愛弟子は夜空を見上げた。
    「今夜は特に綺麗に見えるので」
    夕方まで雨が降っていたから、空気中の塵が少ないのだろう。今夜の空は特に澄んで見えた。
    「教官がいらっしゃるのが分からなくて、さっきはちょっとびっくりしました」
    「驚かせてごめんね」
    諜報員としての訓練を受けていたから、気配を消すのが癖になってしまった。だから声をかけると驚かれることはよくある。里の人に声をかける時は気をつけているのだけれど、愛弟子たちは別だ。なんだったら伝授したいくらいだけど、それはまた別の話。
    謝るとこの子はふるふると首を振った。
    「いいえ、教官の気配を察知出来なくて悔しいなって」
    教官が話しかけるより先に、おかえりなさいと言うのが目標なんだと、愛弟子は言った。
    この子は少し特殊な体質で、光に弱い。光をとらえる力が強すぎて、視力が弱い。その代わり、音で捉え、匂いで判別し、人や物の動いた空気を感じて周りを認識する。視覚以外の感覚をフルに使って、状況確認をする。そのため、かえって人よりも気配察知に優れていた。
    「あは、それは楽しみだなあ」
    愛弟子の成長意欲を感じて嬉しい。百竜夜行の元凶を、王都を苦しめる元凶を、かつてカゲロウさんたちの里を襲った元凶をも討ち果たしても、この子は驕ることなくまだまだ伸びる、伸びようとしている。そのひたむきさが、健気さが、好ましくて愛おしい。
    「それにしても、今夜の空は本当に綺麗だね」
    「はい。天の川も他の星々も良く見えます」
    愛弟子は嬉しそうに目を細めた。ああそうか。夜空の光は、この子にちょうどいいのかもしれない。
    「夜の空は好きです。みんなと同じように見れるから」
    陽の光で肌が焼かれる心配も、日中の強すぎる光も、夜になっても眩い街の光もない。
    みんなと同じ土俵に立つことすら、日常的に苦労しているこの子にとって、みんなと同じように楽しめることは貴重なのだろう。
    「俺たちよりも、君の目にはずっと綺麗に見えてるのかもしれないね。この空」
    そう言うと、愛弟子はそうでしょうか…と言いつつはにかんだ。
    「そういえば教官、お夕飯は」
    「あっ、食べてないや。任務終わってすぐこっち来ちゃったから」
    お腹ぺこぺこ、と笑うとすぐ用意します、と愛弟子が立ち上がった。
    「ああ、いいよ、オテマエさんのとこで…」
    「とってある冷奴がありますから」
    うわあ冷奴。魅力的だなあ。
    「愛弟子、君はご飯は?」
    「もう頂きました。残り物で恐縮ですけど、ご飯と味噌汁もありますので…」
    「ううん、構わないよ。むしろ、ごめんね」
    そう言うと、すぐご用意できますから、待っていてください。とぱたぱたと厨へ行ってしまった。愛弟子の顔を見に来ただけのつもりだったけれど、ご馳走になっちゃったな。
    突然押しかけたけど、あんなに嬉しそうに準備に走ってくれて。ああ、愛されてるなあ、とじわりと体の芯が温かくなる。
    あなた達もこういう心境なのかな。はるか遠くの空で逢瀬を果たす夫婦に、そっと思いを馳せた。

    おしまい
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    手紙に花言葉のような惹句をつけるとすれば「不確実」でしょうか。
    それでも人は手紙を書くのです。
    相手の為より自分の為に。

    そもそも貴男の場合長い間宛先、というか住処が分からなかったですし。
    私も修業の為に世界中を旅していましたからもし貴男が私に手紙を書いたとしても届けようが無かったと思えば…あぁ貴男は鏡にメッセージを書けましたね。
    2222