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    いぬさんです。

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    いぬさんです。

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    18話目です。

    18「なんでバリアの事教えてくれなかったの?」

    ママからの衝撃の告白を聞いたあと、部屋で悟に聞いた。

    「実が標的になるなんて考えなかったんだよ。考えが浅すぎたわ」
    「それに、俺といる間に睨んだだけで逃げていくような奴らが何人来ても何の問題もない」

    「今もバリアなし?」

    「ない」
    「問題は誰が実に賞金をかけたのかが分からないことなんだよ。俺のは総額が数億ってだけで、賞金を出してるのは複数だけど誰だか分かってる」
    「分からないといつどこで何を警戒したらいいか分かりにくい」

    「悟といてもバリアが出てるように訓練した方がいい感じだよね…?別にバリアがあっても悟にはなんの害もないでしょう?生まれた時からバリアに許可されてるし」

    「んー。俺はあのバリア見てるの好きだけど、バリアが無くなるのは俺への絶対の信頼感の表われだからなー。」

    「あー、なるほどね…」

    「実のバリアが消えると俺が優越感に浸れる」
    「たとえバリアがあっても俺だけは絶対実に触れると思うと勝った感半端ねぇ」

    「はぁ……ていうか誰に勝つのよ」

    「ねー実、そんなことよりさぁ」

    「そんなことって……」

    「夜仲良ししよ?」

    「…………」

    「今すぐでもいいけど」

    「あ!ちょっと!」

    何の迷いもない手が服の上からブラのホックを外す。

    「今すぐして夜もしよ?」

    目の前で天使が微笑んでいる。

    「な_____」

    言葉は全て悟の唇に塞がれた。


    あれから何度か体を重ねてきた。
    何度目かであまり痛みを感じなくなり、私たちは快楽に身を委ねた。


    私たちは若かった。
    若すぎた。
    若く、未熟な魂だった。






    高校3年の初冬。
    私は推薦で大学に受かっていたのでのんびりしていた頃、悟は中学校の制服が届いたが、入学前に丈が短くなってしまうのではと心配されていた頃だ。この時すでに、悟の身長は170センチを越えており、「体がギシギシする」とぼやいていた。しかしまだ小学生。細マッチョとかではなく少年特有の線の細いスラッとした体型だった。
    そんな頃におじいちゃんの三回忌が行われる事になった。
    葬儀の時と同様にたくさんの分家の人や呪術会のお偉いさんたちが来るとかで、本家は準備にてんやわんやしていた。
    ママはお坊さんを迎えに行ってしまって、パパ一人でお客さんの相手をしていて忙しそうだったが私たちはそっと見ないふりをした。
    人が多い事に疲れた私たちはお社まで散歩に行くことにしたのだ。

    私は頑張ったがバリアの出し入れがどうしてもマニュアル操作できず、悟と二人きりになると相変わらず手を繋いでいた。手を離すとすかさず悟が手を繋いでくるのだ。
    「本家の中なら大丈夫だよ」
    というと、
    「ダメ」
    と言われて会話は強制終了させられた。

    お社の手入れはずっと続けていた。
    一人でやる事もあれば、二人でやることもあった。なのでお社は昔から変わらなかった。
    このお社には悟が生まれる前からの思い出がたくさん詰まっている大事な場所だった。

    お社の前に並んで座ってぼーっとしていると、悟が話し始めた。

    「前に、友達の前で俺の事を『世界で一番好きな人』って言ってたよな?」

    「あ、うん?どしたの急に!」
    私は急に照れくさくなってもじもじした。

    「じいちゃんが言ってたんだ」



    『愛は一番恐ろしい呪いだ。愛の言葉は人間を強く縛る。思いが強ければ強いほど強烈に縛り、解けない呪いだ』



    「あ、私宣言しちゃったんだ?!悟の事呪ったってこと?!」

    「そう」

    「え?本当に?どうしたらいい?!」

    「解けない」

    「どうして?思いが強いから?」

    「それもあるけど、解呪は呪いをかけた方とかけられた方、両方の了解がないとできない」

    「えぇ……」

    「俺は実の呪いを解く気がない。解いたところで何も変わらない」

    「まぁ……実害がないなら……」

    「一緒にいる限り害はない」

    「離れたら?」

    「離れるの?」

    「んもぅ…」

    「害は分からないんだよ。いつ何が起こるか分からない」

    「あ、じゃあ悟も言ってくれればイーブンじゃない?」

    「俺は呪術師だから実を呪わない。実のは知らなかったんだから仕方ないし、俺はすげー嬉しかった。そんな呪いなら大歓迎だね」

    「いやあのね…なんか責任感じるんですけど?」

    「だから、これからもずっと、俺が言ってもらって嬉しかった言葉を、実が俺に言って欲しいと思っても言ってあげられない。」

    「……うん。分かった。」

    私は悟が言いたい事を理解した。
    悟はなんて優しいんだろう。


    「ごめんな」

    「謝らなくていいよ。ちゃんと分かるから。」

    「じいちゃんに最後に言われたこと覚えてるか?」

    「もちろん覚えてるよ」



    『二人は魂の対』
    『二人で手を取り合って、生きていけ』



    「これはじいちゃんが俺たち二人にかけた呪いだ。決して離れるな。どちらかが死ぬまで。って感じかな」

    あの時悟は真剣な表情で「はい」とだけ言った。
    呪いを受け止めていたのか______

    「だからじいちゃんの呪いを実への気持ちの代わりにする」

    「呪いが愛の言葉かぁ」

    「他にいい方法が浮かばなかった」

    「ぷっ……いいね」

    「世界で俺たちしか知らない呪いだ」

    私の手を握る手に力が入る。



    _____二人で生きていく_____




    「!!」
    悟は勢いよく空を見上げた。

    「悟?」

    「実、メガネかけとけ」

    「なになに?何かあった?」
    ポケットからメガネケースを出した。

    「本家の帳があがった……!」





    _____どちらかが死ぬまで______




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