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    いぬさんです。

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    いぬさんです。

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    26話目です。またしても短い……

    26数日後、私は退院した。
    両親は先に病院近くのアパートに引っ越してきていた。両親はせっせとハローワークに通いながら私の病院に足を運んでくれていた。私がアパートにつくやいなや、五条家の弁護士という人がやってきて、戸建でも分譲マンションでも用意すると言った。これからかかる私の病院代も全て負担します、と。さらには両親の職も一緒に探してくれるという。

    両親はもう関わりたくなかったようだが、
    「え、いいじゃん。やってくれるっていうんだから」
    と私が笑うとしぶしぶ了承した。
    私は骨折のせいで全身のいたるところにボルトが埋まっていたので、戸建よりはマンションのほうがありがたかった。完全バリアフリーでエレベーター付き。階段の上り下りがないのも良かった。

    私は翌年市内の大学を受験し受かった。21歳で大学一年生になった。
    自分より年下のクラスメートとも意外と仲良くやっていて、21歳で一年生の理由を「頭が悪いから」とか、「事故で意識不明だった」とか、嘘と本当を使ってしゃべっていた。

    せっかく私の為に用意してもらったマンションだったが、大学に入学するのと同時に私は一人暮らしを始めた。
    凪さんからもらった通帳には、目玉が飛び出るような金額が記帳されていた。毎月毎月決まった日に、一定の金額が入金されており、時々どかんと入金されていた。数札ある通帳に大金が入金されている日付を見ると、なんとなく分かった。
    悟と初めて何かをした日、なのだろう。古すぎるものは分からなかったが、あの日の前から遡ると「初めて結ばれた日」や「初めてキスした日」のようだった。これには笑った。
    そのお金を使ってアパートを借りたのだ。

    私がアパートを借りた理由はひとつしかなかった。




    はい。
    これで私の昔話を終わります!
    ご清聴ありがとうございました!
    パチパチパチパチ~!



    「いやいやいやいや。どんだけ中途半端よ」

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