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    Kuon_ao3

    @Kuon_ao3

    覚え書き、感想まとめ等に使いたいなと思ってます。

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    Kuon_ao3

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    #ハートの国のアリス
    aliceInTheCountryOfHearts
    #スペードの国のアリス
    aliceInTheLandOfSpades

    [2/30] 30話後、次元を超えるエースとアリス 警備をしていた男性に会釈し、アリスは門を後にした。無意識のうちに緊張していたのだろう、途端に肩が弛緩して呼吸もしやすくなる。
     ソロプレイヤーだと明言していた領主ハンニバル=ゴールドは、カードだけでなくボードゲームでも強者であった。彼の都合で今回は一ラウンドのみで解散する流れになったが、ルールを把握出来たこともあり、次回は是非とも勝つまで挑みたい。
    「なんだ、せっかく来たのに俺とは遊んでくれないのか?」
     正面に見える小道の先からではなく、声は頭上から降ってきた。続けて、ガサガサと葉が音を立て、紅い男が眼前に降り立つ。片膝をついた姿はまさに騎士然としているにも関わらず、笑う瞳はアリスが帰路についたことを言外に責めている。
    「……? だってエース、居なかったじゃない」
    「居なかったんなら君が探してくれたら良いじゃないか」
    「悪いけど世界はそんなにあなた中心に回っちゃいないわよ」
    「君くらいは、俺を中心に据えてぐるぐる回ってくれたって良いと思うけどなあ」
     分かりやすく機嫌を損ねたようで、爽やかな顔とは逆に言葉はねちねちと高い粘度を保っている。責任転嫁も良いところだ。アリスが何か一言言い返そうと口を開いたところで一転、今度はエースにぐいぐいと背中を押され始めた。
    「まあそうだよね、君は忙しいんだもんな。さあ帰った帰った」
     あれは酸っぱい葡萄なんだと告げる狐を思わせるその仕草は、明らかに子供じみているのに、アリスの良心をちくりと的確に刺した。
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