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    「新しい人へ 」
    https://poipiku.com/3258321/5717292.html
    と 「ぶどうのつる 」の橋渡しっぽい奴。

    「新しい人へ」は、かなり下品です。
    おじさんとお爺さんについての話だからしょうが無い。

    続きます。

    #新しい人へ
    toNewcomers
    #当たりくじ
    winningTicket
    #ぶどうのつる
    grapevine

    新しい人へ3(閑話)/当たりくじ新しい人へ3・閑話


    ※※※
    四枚一組のカラー写真データが、複合機から出力された。

    午前四時半の経営管理室には誰もいない。

    成城の喫茶店からの帰り際、これを持って行けと差し出された。

    お会いするたび、いつも頼んでいらっしゃるナポリタンの匂いが思い出された。ぼくも好物になっていた。

    フォルダの中身は、動画と写真の束。


    、、、何も服を付けず、床の上で淫行に耽る、2人の姿を捉えている。

    周囲には、こちらも開放的な、若い女性たち。二十代前半といったところか。
    股間と豊かな乳房が丸出しで、涅槃している。......。これはギタリストの彼女だ。

    化粧は薄いが、たしかに僕も見覚えのある顔。
    下生えと同じ色の御髪をゆるく束ねている。細腕に、締まった太腿と柔らかい腹部。浴衣をはだけ、艶絵のようだ。
    グラビアアイドルにはない、肉の匂いと高揚の血の色。お見事。


    三、四十畳はある広い室内で、布団が六枚並べてあった形跡。
    乱れきっている。
    昼間の青い海が、大きな窓に映し出されていた。

    全員、うちで契約している音楽家。おおきなため息が出た。
    どうして御年九十二歳の名誉顧問が所持しているのか。社内サーバに残すことはためらわれる。
    USBから持出し用HDDに転送した。


    腹に夏布団をかけて、愛睦まじく、向かい合って添い寝する。

    但し男性同士だ。

    おやまあ、、、。
    今より少し細い。四年前の記録だという。

    造形の出来はどうでも良い。
    敢えて、好みはどっちといわれたら、猫背のほうかな。実は精悍な顔付きなんだと知る。
    四枚五枚、、次ページ。なぜこの2人ばかり。

    おっと、これは!
    大きいな。大笑いした。ふたり共か。片方は破顔している。ベストショットだがどうしたものか。
    ゴルフや焼肉パーティーの様子なら周囲に見せるが。

    おれは正直、彼女たちのいいところにチェックして、漁り続けている。
    接合が見えているものが何枚かあった。顔が見切れていたり、全身のものも。
    そして、もう一つ。動画。

    うまく撮れてしまっている。思わず音量を絞った。二台使いだった模様。これは腰高の固定。
    ドラムの子。素晴らしい、素晴らしい腰つきじゃないか。
    騎乗位。昼の光。フェラチオ。
    年甲斐もなく催した。一人で処理した。
    こんなことは社内でやらかすのは初めて、でもないかな?ハハハ。

    職業柄、この手のバカンス写真は時々遭遇するのだ。
    大昔だが、現場に連れ込まれた記憶もある。

    だてにディスコやファンクに塗れて生きてる訳じゃあない。




    ※※※
    犯罪ではないのだ。彼女たちも存分に楽しんでいる様子。おかしな顔色はない。
    たのしい海水浴の、思い出の一コマだと。


    自活している成人なのだから、後ろめたくもないだろう。

    さて、男二人はどうする。、、、
    現役時代、わりと不憫な思いをさせたからな。今の基準なら武道館やアリーナツアーくらいやれるのだ。このくらいご褒美をやってもよかろう。

    甘い考えですか?
    それでも、彼らには感謝している。
    ブランドを構築するってこういうことだよな。この二十数年、存分に見せつけてくれる。

    当時上にいた、過小評価した俺らは賭けに負けたほうなのだ。



    幸せそうだ。これは参ってしまう。
    溶け切っている。背面座位のすごい一枚があった。
    声が聴こえそうな。
    着乱れた浴衣、全身で感じている表情。女優さんだ。いや、立派なものがそそり立っているが。

    もうまともに顔は見られないな。あの番組すら。
    2人共、既婚者のはずだが、そういうものであろう。
    確かに、撮りたくもなる。
    ※※※







    当たりくじ





    乱交。湖のほとりで。

    ※※※


    一生に、数え切れぬほど足が向く、勧誘の地。

    千二百年以上、女性を受け入れなかった場所。
    平然と、四つ足、と呼んでいた。

    廃れるべくして――。


    みちのくの、最も古い神様のひとり。

    大洋、八戸湊から、能代ヘ、八郎潟へ、日本海へつながる、因縁の行路。

    僕らの街の方角よりも、大館や、あるいは八幡平、鹿角、弘前に、長い歴史ある町で、湖にまつわる風習は濃淡をつけて残る。

    ここは渓流の行き着く先の運河、小さな集落。





    僕らはいつでも湖に帰りたい。それだけのこと。





    ※※※



    もうすぐ十一月になる。
    家でも、スタジオでも、バンド時代の曲をときどき歌っている。




    彼に、愛しているよって目の前で告げるの、随分時間がかかった。
    最初にエッチして、ボロボロになって帰ったあとも。
    結婚式で会ったときも。

    熊野神社に行くために、温泉のところに行ったときかな

    本局で、僕の無責任な生き方が、厳しく問われたときに。

    導師は、心を尽くしてなぐさめてくれたが。


    ――もうすぐ午後六時。
    今日も、誰とも会えなかった。テレビなんて絶対に点けない。

    たとえどこかで淳ちゃんの曲が流れてても。
    ネットですらしんどくて、今はPS4だけが頼り。

    少し歌っていなければ、どうにも心が持たない。

    ベランダで頬杖を付いていた。
    タバコが一本終わる。



    ※※※


    「本局行って、そのあと熊野に行こう。」

    淳ちゃんは来月、八戸に行くという。
    一緒に帰らないかという誘いがあった。

    僕が子供のいる一家に帯同する訳にもいかないし、どういうことかと思ったが。

    「俺は一人だよ。世話になった学校の先生の退官祝いに行くの。
    行きはバラバラで、駅で合流すれば良いかな、と。」
    「なるほど。じゃあ、日時教えて。」
    彼は、僕が最近東京を離れがちなのを知っているのだろう。
    常に高速道の上にいるか、鉄路や空路の予約を消化している。

    あちこち呼んでいただけるのは本当にありがたいけれど、この時期、空港や乗車内で風邪を貰うのが少し怖かった。

     
    二月が終わる。
    朝七時四十分、東京駅22番ホーム、新函館北斗行はやぶさ6号四号車の席につき、蓋付きのコーヒーをホルダーに据えサンドイッチの包みを開け、漫画の続きを読み、そういえば前日寝ずの番で、二時間爆睡した。

    盛岡より長く続くトンネルを抜け、暗灰色の天に晴れ間覗く。
    北風、粉雪打ち付く八戸の入口が車窓に映る。


    午前十時。頬杖を外した。タバコを吸いたい。
    襟巻きをつけ、マスクをかける。
    これは経費を精算できない移動だと気づいたのは、降車後である。

    エスカレータに乗る時。
    あれ、持ち上げたカバンが軽い。

    うわっしまった!!
    今日ぼくは仕事のPC持ってきてない!!
    そういやどこの現場に行けば良いんだっけ??


    ...。問題はなかった。寝ぼけていた。靴箱の上にPC置いてきたんだよな。
    デートをするんだという自覚がないまま、予備日含め5日間のカレンダーを埋めてしまった。


    外で一服し、今トイレを出たところ。

    見上げると種差海岸の大きな観光写真。コンコースの電子案内板に目を移す。現在、外気はゼロ度。内陸はもっと冷え込んでいる。

    コートの懐中でチャイムが鳴る。東口へ向かった。

    ””

    淳ちゃんは頬だけ赤く、あとは青白い面持ちで、二日酔い気味だった。ちょっと姿勢が悪い。
    でも機嫌は良い。ホテルから出て、鋭い冷気で調子が戻ったという。
    直ぐそばのレンタカーの営業所に荷物を預けていると。
    「ちゃんともってきた?」
    「...。ああ、あれですか。」
    目を見て、ゆっくり頷いてくれる。
    自宅でどうやって管理しているのか、心配なんだが。
    責任を持って僕が預かり洗濯すると言っても聞かないのだ。
    奥さんにバレたらどう説明しているのか。
    風呂の手ぬぐいだと言いはっても、紐がまずいでしょう、紐が。

    だいたい俺が洗濯番で、自分でベランダに干すからバレないと言う。

    「子どものハンカチと一緒にアイロンかけるからね。」
    ...。大事にしてくれる分には、ありがたい。贈った甲斐が有る。

    「俺はナカコーくんの事が大好きだからさー。」
    「なるほど、使うのが勿体ないな。」

    僕は、家族へ向けるはずの愛を脇からかすめ取り、生きのびている。

    " 俺の愛の泉はつねに潤沢だから、溢れた分を誰に与えようが支障はない "
    と言うが。

    一盗二卑三妓、、、。
    卑しい。僕のことだ。

    一応籍は入れているとはいえ。

    これから、確かめにいく。
    たとえ余罪を問われ、折檻され、気を失っても、淳ちゃんが娑婆へ引き上げてくれる。



    ※※※
    (続)
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