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    hituji215

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    hituji215

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    3か月くらい前に書いたもの

    #カカナル
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    かかなる 大幅な予定遅れもっと早くに想いを伝えていれば全てうまくいったのだろうか?
    いやしかし、とカカシは首を振る。
    ナルトが面と向かって別れてくれと言うのだから冗談ではなく本気なのだろう。
    それでも――。カカシの願いはひとつだけ。
    もう一度二人の蠟燭に火を灯してくれ。
    深夜、そうっと忍び込んだ部屋でベッドの脇に立つ男はナルトの寝顔を見下ろし祈る。
    予期せぬ突然の別れ。
    あれからオレは道を見失ったままなんだ。
    たしかにオレのせいだ。
    たしかに君のせいだった。
    きっとオレ達はそれぞれの道程の途中で一瞬擦れ違っただけなんだろう。それでもその一瞬を捕まえて永遠にしたくなるほどに、二人でいる時間は夕陽が沈む儚い眺めのように尊いものだった。
    落ちてゆく星が消えるのは熱すぎるからだ。燃え滾る想いが二人を変えてしまった。オレは情熱を過ったのか?
    カカシは目を閉じて瞼の裏にナルトを思い浮かべ抱き締める。
    二人が完全に凍り付いてしまう前に再び火を灯そう。だがそのためにオレは何をすればいい?
    彼は自身に問い掛け、細く開いた眼差しを寝台に向けて短い溜め息と共に首を振り、幾度も浮かんでは消える諦めを受け入れようとする。だがそのたびにもう一人の自分の嘲弄が耳を掠め、瞼を下ろして苦しみに耐えるが道義に反する悪魔の誘いは消えてくれなかった。
    やがてカカシは納得したようにゆっくり、けれど強く頷いた。それは人道から外れ獣が身を潜める闇に踏み出す決意の顕れだった。



    「カカシ先生!おかえりっ」
    玄関の戸が開くなり元気で明るい声のシャワーが降り注ぐ。出迎えてくれた同居人の太陽の笑顔が重責に疲れたカカシを癒してくれる。更に彼は弾む体をぶつけて頬に特大のキスをする。カカシはナルトの贈り物を自然と受け入れ腕を回して抱き返し、悪戯な笑みで見上げてくる唇に愛の挨拶を落とす。
    僅かな隙間も許さない抱擁と火傷しそうなキスの応酬、これが彼らの日常だった。
    六代目としてのカカシは忙しく、せっかく昇格して移り住んだ火影邸へも帰れないことが多かった。だがそこへ恋人を招き、自身も早く帰宅できるように努力をするようになると、独りで住むには寂し過ぎる屋敷は華やかになり、カカシの生活は明るく賑やかなものに変化した。
    愛し愛され、限りない優しさに包まれて、恥ずかしい表現だがそのままの順風満帆な日々が続いていた。
    けれどカカシはナルトを抱く傍ら目を細め苦く寂しい眼差しを廊下から部屋の奥、虚空へ向けていた。
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