そこは喩えで済ましとけ 突然ですがここで質問一見冷たくそつが無さそうだけど実際はぼんやりぎみでマイペースな放っておけない相棒が数ヵ月前から交際しているそうな胡散臭く波長が合わず人生で一番ムカつく男の首を抱えていたらどうする。
「ランガお前……ついに?」
「何が?」
「また随分な言い草だね」
「ぎゃっ、喋るな生首成仏しろ!」
「人を死人か何かのように言うんじゃない。失礼だよ」
澄まし顔で何を言うか。どう見たって死人だろう、首から下が無いのだから。
「時々墓には行く。線香もあげる。だから静かに眠っとけ。頼むからソイツは連れていくな」
「拝むな。言われなくともその気は無い」
死ぬには未練が多すぎると生首がうたうとほぼ同時に「来たよ」とランガが呟いた。
腕の中の首を抱え直し見つめる先には豆粒ほどの人影。みるみる近付き跳躍したそれの特徴をひとつあげるなら。首が無かった。
喉から人間らしくない声が飛び出るなか、首無し人間は足を地へ付けこちらへつかつかと。そして首を掴み合体と言うか接続と言うか。ともかくあっさり生き返った。
「ふむ。着脱可能になった時は少々戸惑ったが僕自身の目で直に動きを確認出来るのは良いね、なかなか面白い」
「確かに面白そう。俺もできる?」 「できるんじゃない? 一度試してみようか。僕の真似をして……」
また取れかけた首と真似て首に添った手を止める。何故と見つめてくる目四つへ逆に問いたい。何故試す。
「お前らさあ、化け物なのはスケートだけにしとけよ」
「君こそ言葉は選べば。仮にも友人だろう。確かに人間に理解されない孤独から真実の愛によって解放されたという点では僕は美しき怪物かもしれないが」
「仮じゃねえしそんな良い感じの話はしてない」
頭がおかしいってこういう意味じゃ無かったんだって。