運命公認楽園行き 飛ぶときがサイコーなら地面に落ちるときだってサイコーだ。
清々しい気分でボードを掴む。走って向かうのは出入り口近く。いつコースから戻ってきてたのか、滑っている間も何度か目の合った相棒には放課後散々練習に付き合ってもらった。できたぞとありがとなくらい言っておきたい。
「おーい、ランガー」
ここらへんに居た筈なのに全然見当たらない。どこ行ったと辺りを見回していると背中側から唐突に名前を呼ばれた。それはもう小さな声だった。聞きなれていなければ絶対拾えなかったと思う。
「おっ居た居た、ってお前何でそんなところ」
「しー、しーっ、静かに……」
ランガの姿は想定より少し外れたところ。今日は一応開催予定無しのビーフコース、その人気のない入り口にあった。機材のそばに座り込んでこっちに来てと手を動かしている。
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