指先『おつかれ、ちゃんとめしくった?』
三ツ谷からのメールに、大寿は一人しかいない部屋で嘆息した。
(メールでも他人のことばっか気にかけやがって。)
夜、三ツ谷の妹達が寝た後は、起こさないようになるべく電話ではなくメールでやりとりすることが二人の暗黙の決まりになっていた。
大寿は最近変えたばかりのスマートフォンに、慣れた手つきでフリック入力で返信メールを打ち込む。
『食った。そっちは。』
『きょうはまなのりくえすとでちゅうかどん。たいじゅくんはなにたべたの?』
機械音痴の三ツ谷は変換出来ないことと、打ち込み時間を少しでも早くしたいからか全部平仮名で送ってくるため非常に読みづらい。それでも、短くないやりとりで大寿の速読力は格段に上がり、呼んだ瞬間に何が書かれているか分かるようになっていた。
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