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    takatowasi

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    お題のやつその2 現パロ光鹿

    #戦国無双
    SamuraiWarriors
    #光鹿

    シャチの抱き枕 夕食後のひと時。
     リビングのソファでゆっくりテレビを観ていた鹿介に光秀が隣に座って話し掛けた。

    「今度休み取れたから旅行に行けるぞ。鹿介」
    「ほんと?よっしゃ!温泉行こう、温泉!」

     昨日、温泉旅行二人で行きたいなと、たまたま旅行番組を観ていた鹿介からお願いされた光秀は、その願いを叶える為に早々に休みを取って願いを約束に変えた。
     光秀は誰かとの会話の内容をしっかりと覚える位に記憶力が良く、特に鹿介との会話の内容は完璧なまでに覚えている。

    「光秀は絶対俺の言ったこと忘れないよなー。俺なんてたまに昨日の昼飯忘れるのに」
    「お前は忘れっぽいからな。ちなみに昨日の昼はきのこの和風パスタだったぞ」

     光秀と旅行に行ける事に鹿介は素直に喜ぶ。
     いつも自分との会話を、何気ない一言すら忘れずに覚えている光秀の事をいつも凄いなと鹿介は思うのだが時々──

    「ところで鹿介」

     きた。と鹿介は一瞬顔が強ばる。
     この話し方で声をかけてきた時の光秀は、だいたい自分が何かしらやらかした時の声のかけ方だった。

    「あれ、俺なんか忘れてる事あったっけ?」

     さしあたって特に話忘れた事も無く、隠してる事も無いので鹿介はいつもの様に返すのだが、光秀にはどうやら思う所があったらしく。

    「一昨日、秀吉達と水族館へ行ったのは覚えているか?」
    「え、あぁ一昨日ね。行ったよ?それがどうかしたのか?」

     鹿介はあらかじめ、光秀には秀吉を中心とした友人達と出掛ける事は全部話している。
     もちろん、出先で何があったかも全部光秀には話していたはずだが、何かしら忘れてる事があったろうかと頭をひねる。
     鹿介の友人達とは光秀とも仲良くしてるので正直な所、光秀が気にする所は特に無く、その件も光秀はすんなり了承してくれていたはずなのだが、何故その事を問われているのかは鹿介にはわからなかった。

    「半兵衛から聞いたんだがな」
    「うん」
    「途中で秀吉と一緒に二人ははぐれたそうだな」
    「え、あ、えーと……」
    (あっちゃー、その事だったかー)

     光秀に問われて鹿介はようやく合点がいった。
     確かに、細かいなと思ったので話さなかった事は確かにあった。
     でも、それが一体光秀の何を刺激したのかはまだ検討がつかない。

    「これが家に届いてだな」

     と、鹿介は光秀が自分の部屋から持ってきた箱を見せてもらった。
     送り状に書かれている送り主は秀吉。
     品名には【抱き枕 シャチ】と書かれている。
     鹿介はそこで初めてその件の一部始終を思い出した。


     水族館であちこちを見て回っていた時、鹿介はある物に目を惹かれ、そこへ向かったのだった。
     それは館内の土産物屋で、そこには一際大きく飾られていた、シャチの抱き枕があった。

    「でっけー、可愛いー」

     と、鹿介はついそれを眺めていたものだから、他の四人とはぐれた事に気付いてない。
     そこに鹿介がいない事に気付いて探しに来たのが秀吉だった。

    「何してんだ?こんな所で」

     秀吉に声をかけられた事でようやく自分がみんなとはぐれた事に気付き、秀吉に謝った。

    「悪ぃ秀吉。すぐに戻るよ」
    「いいって別に。それよりもそれ、欲しいのか?」
    「えっ?いやー、なんつーか…」

     鹿介はその抱き枕を欲しいなとは思ったのだが、それを正直に言うのは少し照れたので言葉を濁した。
     買えないことはないのだが、何より大きいので持って帰るとしたら中々に目立つ代物でもあったのだ。
     そして鹿介はその話題から逸れるように秀吉をそのままお土産選びへと誘い、後の三人が合流するまでの間、秀吉と二人で過ごした。
     というのが、事の一部始終である。


    「でも、俺、これの事は知らねぇよ?確かにはぐれた事は別に話さなくても良いかなって言わなかったけど、この抱き枕は本当に知らない。もちろん、ねだってもないし…」

     そうだ、確かにはぐれた事に関しては省略したのは認めるが、自分でも買えたやつをわざわざ光秀ではなく秀吉にねだるなんて事はしない。
     だからこそ、言って鹿介は気付いた。

    ──光秀の地雷を踏んだ、と。

    「半兵衛に聞いたら、秀吉はそこでは何も買ってないはずなのに、サービスカウンターにいたと聞いてだな。そしたらこれが家に届いていたものだから、お前が何か隠してる事がないかと思ったが、そうか……」

     光秀は鹿介の話を聞いて、合点がいったのだろうか一人頷いているが、その表情は何となくだが怒ってるように鹿介には見えた。

    「ごめん光秀。俺、秀吉に謝ってくる。何か勘違いさせちまったみたいだし、金も払わないと…」
    「お前は悪くない」

     鹿介は秀吉に自分の欲しい物を買わせてしまった事で光秀を怒らせたと思っているので、自分でケジメをつけにいくと告げたのだが、光秀が怒っているのはどうやらそこでは無いらしく、鹿介は少し戸惑った。

    「え、だって俺…」
    「少し出掛けてくる」
    「え?どこに行くの?」
    「少し野暮用が出来た。すぐに戻る」

     そう言って光秀は箱からシャチの抱き枕を取り出し鹿介に手渡す瞬間、光秀は彼の耳元で囁いた。

    「俺が帰って来るまで大人しく待ってろ」

     いつもより低めの声で囁かれた言葉に鹿介は一気に鼓動が早まるのを感じた。
     渡された抱き枕に思わず力が入り、ぎゅうと抱き締めてしまう。
     そして光秀は鹿介にそっと口付けると「いいな」と言ってそのまま部屋を後にする。
     ドアが閉まる音でようやく我に返った鹿介は

    (そういえばシャチって海のギャングって呼ばれたりするんだよな…)

     と、明後日な事を考えて何とか高鳴りつつある鼓動を鎮めようと、抱き枕を抱き締めながらしばらくソファから動かなくなった。
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