エレベーター「今日の鍋何味にする?」
「ふむ…塩…だな」
「シメは?」
「ラーメン」
「ん、わかった」
買い物を終え、他愛もない会話をしつつ元就と鹿介の二人はエレベーターに乗り込む。
ボタンを押してる鹿介の横で元就は、エレベーター内の監視カメラが新しいのに取り替えられているのに気付いた。
「ようやっと変えよったか」
「ん、何?あ、やっと変えたのかこれ。全然カメラとして機能してなかったもんなこれ」
以前より壊れているから早く取り替えろとは住人から訴えはあったものの、中々管理人が動かなかったものだから半ば諦めていたが、これで少しはセキュリティも上がるなと二人は安心した。
「鹿介」
元就に呼ばれて鹿介は元就の方を見ると、元就がちょいちょいと自分の横へ来いと誘導している。
「何?どしたの」
鹿介が横に来たのを確認すると元就が監視カメラの方を指さす。
鹿介もその意図を察知したのか、監視カメラのの方をみて
「いぇい」
と、二人揃って監視カメラに向かって写真を撮るかの様にピースをした。
「って、カメラじゃねーんだし何して…っ」
鹿介がへらっと笑って元就の方を向いた時、元就と目が合っていて、そのまま唇を塞がれた。
いつの間にか頭に手が添えられていたものだから避ける事も叶わず、鹿介はそのまま元就を受け入れてしまう。
元就の口付けは軽いものだったのですぐに離れたが、鹿介は顔を真っ赤にさせて
「ばっ、あんた、いきなりっ…」
なんてしどろもどろになっているタイミングで、エレベーターが止まりドアが開いた。
運悪く、開いたエレベーターのその先では、二つお隣の部屋でルームシェアしてる羽柴さん御一行がいたものだから鹿介はさらに焦る。
一方の元就は何事もなかったかの如く普段の表情なものだから鹿介はなお焦る。
すれ違いざま、半兵衛に挨拶され二人は共に返し、官兵衛と一氏は無言だが会釈してエレベーターに乗り込んだ。
秀吉も元就に会釈するが鹿介にはぽん、と肩を叩いてエレベーターに乗り込む。
秀吉の言いたい事が肩越しに伝わって、ますます鹿介は顔を紅く染め、その元凶となった元就の背中を強めに叩いたのだった。