展示② Moodに合わせて
かつかつと、硬い石の上で踵が鳴る。歩行している足音に続くように影は追いかけ、程よく湿った土の上に靴跡が点点と。日がよく当たる土の上では雑草が生えているが、手入れが行き届いている道には殆どなく。それも数日経てば雑草だらけだ。
用があるのはこの先の木に陰る薄暗い森の中。森の入り口から数メートルはよく人が通るため、土が剥き出しだ。道に沿うのではなく、茂みと茂みの隙間を見つけてはすり抜けた。制服に着いた葉っぱは払い落とし、道から逸れた先を進む。人が来ない場所ではないが、表と比べれば一目瞭然。湿った土においと、生い茂った緑のにおいにすんと鼻を鳴らした。
木の枝に巻き付かせて垂らしているかのような、まるで縄のような房付きの尻尾に腕を組む。スタンドライトのように引っ張ってやろうかと睨んだ。
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