きっかけなんてそんなもの。「おーい、クリプトー」
後ろから明るく陽気な声で名前を呼ばれた。
...が、振り向く気はまったくおきない。
またか...と溜息をこぼしたがそんなことには気づいていない彼が先程よりも大きな声で俺の名前を呼んだ。
「なぁ、クーリプト」
「」
後ろから手を回され、身体を抱き締められる形になり仕方なく振り返る。
おっやっとこっち向いたなと笑顔で笑いかけてくるコイツの名前はオクタビオ•シルバ。
「おい、抱き着くのはやめてくれっ」
「んだよ、いつも抱き着いてるんだからいい加減慣れろよなぁ」
ひひっといたずらを成功させた子供のような眩しい笑顔を向けられた。
よく言えば愛くるしいとも言える行為だが、毎回会う度に抱き着かれていると俺の身体に負担がきそうなのでそろそろ止めてほしいと思っていた。
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