空から、鐘の音が降ってきた。
見上げれば空の色が変わり、輝き始めた星達が時折するりと滑り落ちるのが見える。
下を見れば着替えては去っていく星の子達が、門をくぐり消えていく
ここで待ち始めてどれくらいの時間が経っただろうか?
少しだけ冷えた身体をぐっと伸ばせば、背骨のあたりで小気味よい音が響き
それに合わせて、胸の奥から吐き出された息がぼんやりと空中に溶けていった
あとどれくらい、と問う前に正座盤の上で見慣れた背中が光に包まれているのが不意に見えた
「パニカさん!」
思わず立ち上がれば、こちらの声に気付いたパニカさんの表情が明るくなり
手を大きく広げていた
躊躇いなく駆け出して、腕の中に飛び込めば
ぐるりと回されてそのまま強く抱きしめられる。
その温かさに安堵しながら、顔を見上げれば
あまりにも愛しい顔がすぐそこにあって、じんわりと自身の頬に熱が籠っていくのがわかった
「おかえりなさい!」
「ただいま!!!!待っててくれたのか!!」
嬉しさと愛しさと、少しの恥ずかしさが混ざり合ったふわふわした感覚に
思わず笑いを零せば、釣られたように笑みを返してくれるパニカさんがこれ以上なく愛しくて
触れた手をどちらともなく握り合う
「お疲れ様でした」
「迎えに来てくれたんだな!!!!!ありがとう!!!!」
「今日は……っていうか、いつもですけど、オムライス作りますね」
「シキが作るオムライスか!!!楽しみだな!!!」
もう一度強く強く抱きしめられながら、つむじのあたりに落とされるキスをむず痒く思いながら
相手の顔を覗き見れば、パチリとあった目に心臓がぐっと髙鳴るのがわかった。
軽いリップ音と共に落とされた温かい感触に、思わず目頭が熱くなる。
誤魔化すように笑いながら、手を繋いだまま当たり前のように同じ家に帰る幸せを
ただただ感じていた。