続ビューティフルドリーマー ② もう、彼の事は乗り越えたと思っていたのに―――。
不二の家から自宅に帰るとゆりは早々に夕飯を済ませ、お風呂に入ることにした。
風呂は、考え事をするのに良かった。
誰にも悟られず、一人で考えを整理することができる。
国光がいなくなってから、私はずっと心に鉛を隠したままでいる。
彼と別れた時はそれこそ、笑顔で送り出すことが出来たが、その後はひどいものだった。
今でも手に取るように、あの時の感情を覚えている。
幸い、高等部になっても中等部からの持ち上がりがほとんどだし、知っている友達もクラスにたくさんいたから、友人関係には悩まなくて済んだ。
でも、みんな知ってた。―――私と国光が、別れた事を。
当たり前だ。生徒会長で、男子テニス部の部長で、成績優秀で品行方正。その上ルックスも良い。そんな人と付き合ってたんだもの。でも別に、彼の肩書があったから私はあの人を好きになったんじゃない。全部、後から付いてきたものだ。
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