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    ナンナル

    @nannru122

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    ナンナル

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    急に書き出してプロローグで終わります。
    今後の展開は下に書いたから、これだけで流れは全部分かると思う。
    楽しかった( ´͈ ᵕ `͈ )

    失敗から始まる新たな任務の報告書※注意※

    類×司だけど、類くん後半まで出てこない。
    主にプロローグ。
    最後のあとがきに、今後の展開全部メモだけしたので、続き書く必要は無いと思う。見たいこと全部書いた。
    年齢操作、捏造が多いのと、司くんが売られるのでご注意ください。
    ほぼ司くんの視点で終わる。

    雰囲気で読み流してくださいね。
    大丈夫ですか?

    ーーーーー

    ガシャッ、カシャンッ、と鎖が音を立てる。ジタバタと体を捻って暴れさせてみるも、手枷も足枷も一向に外れる気配がなかった。こんなはずではなかったのに。そう何度思ったことか。

    「んぐぅ、…ん、む……」

    布を噛ませられた状態では大声を出す事も叶わない。まぁ、光を遮断された向こう側でもオレと同じ様に呻く声や鎖の音が響いてる状況を察するに、大声を出したとしても助けは来ないのだろうがな。疲れてきこともあって、仕方なく体から力を抜く。手首がジンジンと痺れてきて痛みが走る。くらくらとするのは、先程多く血を抜かれたからだろう。暴れないようにする為だとかなんとか言っていた気がする。荒くなった呼吸を整えるため、ゆっくりと目を閉じて、鼻から深く空気を吸った。

    そもそも何故こんな事になったかと言えば、ある依頼を遂行するためである。普段はどこにでもいる会社員として過ごしているが、たまに怪盗業も行っている。理由は単純。かっこいいからだ。
    というのは冗談で、父さんの跡を継いだだけだ。父さんはかなり有名な怪盗だった。手品や話術の得意な父さんはかっこよかった。盗むのは盗品や密売商品ばかりで、元の持ち主に返す義賊というやつだ。そんな父さんが他界して、妹と二人で暮らしていたオレは、こっそりとその衣装と仕事を引き継いだ。妹の咲希とは離れて暮らしていたし、オレは元々父さんに憧れてショーを通して手品や話術も学んでいた。だからこそ、失敗もなくこなせていたんだ。
    普段自分で調べた宝石しか盗まなかったオレは、今回ある依頼を引き受ける事になった。それは、某企業が裏で行っている密売の証拠を集めること。依頼を引き受けることはした事がなかったが、今回の依頼に関しては引き受けると決めた。何せ、密売されているのは“人”なのだ。それも、妹と同じくらいの少女だと言う。そんな組織を見逃せるはずもなく、二つ返事で返した。
    企業に忍び込むのは容易かった。元々会社員として働いていた事もあり、転職したいと面接を受けたら簡単に採用された。仕事も割と楽にこなせたし、すぐに上司とも仲良くなった。上司から社長へ顔合わせに連れて行かれた時も、自分の仕事の上手さに惚れ惚れしたほどだ。あっという間に社長のお気に入りにまで上り詰めて、密売現場まで紹介された。オレの腰を引き寄せて楽しそうに現場見学させてくる社長を何度殴ろうとして我慢したことか。それも今日までだ。にこにこしたままそれに付き合い、明日も社長室へ来るよう言われたのも笑顔で流して家に帰る。
    夜を待って、御下がりの怪盗衣装に身を包む。

    「ふふん、さっさと証拠を集めて、会社諸共崩壊させてやろう!」

    依頼を達成する為に、家を飛び出した。

    そこまでは良かった。

    侵入も仕事も難なくこなして、後は逃げるだけ。そんな時、何もしていないはずなのに警備装置が作動したんだ。退路があっという間に塞がれて警備隊が向かってくる。慌てて天井の通気口から逃げ出そうとしたのに、その途中で意識を失ったんだ。
    気付いたら、この檻の中に居た。大きな布で光を遮断された檻の中で、座らされている。上から下がる鎖が手枷に繋がれていて、腕を下げる事が出来ない。足枷は檻の下の方に繋がっていて、軽く足を開いて伸ばした状態から動けなかった。ペタンと座り込んだ形で何時間ここに居るのだろうか。肩や腕が居たいし、お尻も座りっぱなしで辛い。怪盗衣装を着たままの姿で逃げる術を探しているが見つからん。

    「……んむ、…く…」

    すんなりと仕事が進んで油断もしていただろう。だが、これはなんとも呆気ないラストだ。せめて咲希が悲しまない最後が良い。ぼんやりと咲希を思い浮かべていれば、足音が近付いてきた。周りの檻から唸り声が響く。足音は真っ直ぐこちらに向かってきて、オレの檻の前で止まった。

    「おはよう、天馬くん」
    「…んんぅ、…んっ…」
    「あぁ、残念だよ、本当に」

    布が捲られて、社長が顔を覗かせる。鍵が開けられ、キィと鈍い音を立てて檻の戸が開いた。中へ入ってきた社長は、オレの方へ近寄ってきて、閉じられない足の間に膝をつく。頬を撫でられて、ぞわりと背が粟立った。

    「君は商品としてでは無く、私の玩具として傍に置いておきたかったのだけどね」
    「……んむ、んんっ、…」
    「本当なら他の商品と同じく、しっかりと調教してから売り出したかったね」

    時間がなかったから、仕方ない。と一言呟いて社長の手が離れていく。“商品”という言葉に、自分がどうなるのか察してしまった。それはそうだ。この会社が行う密売についてずっと調べていたのだから。ガシャッ、ガシャンッ、と鎖が大きく音を立てて足を暴れさせる。腕が痛むが必死に振ると、社長はクスリと笑って牢の扉を閉めた。ギッ、と揺れた牢の鍵がかけられる。

    「良いご主人様に巡り会えると良いね」

    布が下ろされて、光がまた遮断された。瞬間、ゾッとした。立ち上がることも出来ない体を動かして、逃げようとするもビクともしない。ガラガラと牢が動く気配がして、体が強ばった。このままじゃ、どこの誰とも知らん奴に売られてしまう。調教と言っていた事からも、客がまともじゃないことくらい分かる。と言うか、人を買う人間にまともな奴がいる訳が無い。じわりと涙が滲んで、怖くなった。ガラガラガラガラ…と足元が揺れて、どこに連れていかれているのか分からない。ガタガタと体が震えて、必死に頭を回す。手枷を外されたら走って逃げれば良いのか。それとも、いっそ死んだフリでもしたらいいのか…。考えがまとまらないまま、牢が動きを止める。

    「…ふぅ、ふ…ふぅ……」

    呼吸が荒くなる。何故か暑かった。寒気もして、見られているような気になってくる。暖房でもついているのだろうか。呻き声も鎖の音も何も聞こえなくて、くすくす笑う声だけが聞こえてくる。どくん、どくん、と心臓が嫌な音を立てた。バッ、と布が取り払われて、目の前の眩しさに目を強くつむった。おおおぉ!という歓声が聞こえて、そろそろと目を開く。視界に飛び込んできた光景に、息を飲んだ。ズラッと一面の客席にスーツの男達が並び、広いステージの上にはオレがぽつりと牢の中で置いていかれている。司会者がマイクを片手に笑顔でオレへ手を向けた。

    『さぁ、今宵最初の商品は我が社に紛れ込んだネズミの少年です』
    「んむぅ、んんっ…」
    『社長のお気に入りでしたが、是非皆さんに可愛がって欲しいと、今回提供されることとなりました。
    時間が無く未調教となりますが、見目は最高の商品と言えるでしょう!』

    ガシャガシャガシャッ、と足を必死に動かして体を攀じる。冗談じゃない。誰が可愛がられたいと思うものか。今すぐ大声を出して邪魔をしたいが、声も出ない。一人で必死に逃げようとするオレを無視して、どんどん状況は悪化していく。競りが始まって、根はどんどんつり上がっていく。オレを見る客席の男達の目が気持ち悪い。いい加減にしてくれ。オレは、オレはッ…。

    『それでは、126番の方に決まりました』

    カンッ、と木槌が下ろされる。頭が真っ白になって、呆然としたまま会場を見回した。ひゃく、にじゅ…?誰だか全くわからん。ガラガラと牢がまた動き出し、ステージ裏へ運ばれていく。呆気なく、逃げることも叶わず終わってしまった。

    (…………うそ、だろ…)

    こんなにも簡単に、オレの人生は奪われるのか。呆然としたまま揺られ続け、じわりと涙を滲ませる。咲希の笑う顔が、浮かんでは消えていった。どんなやつだったのか見えなかった。けれど、会場の誰もがスーツを着た男達で、あまり聞いてなかったが、落札額もおかしな値段だったはずだ。聞いたことも無いくらいの高額。ガタッ、と薄暗い廊下の隅で牢が止まった。牢の隣にはスーツを着た男が立っている。多分引渡しをするやつなのだろう。ガチャ、ガチャ、と最後の悪足掻きで鎖を外そうともがいてみる。そんな事で外れる訳もなく、ただ手首が痛くなるだけだった。

    「んむ……」

    コッ、コッ、と足音が廊下の奥から聞こえて、顔を上げる。まさか、オレを買ったやつか。どくん、どくん、と心臓を跳ねさせて、必死に廊下の先を見つめる。影が近づいてきて、ゴクリと喉が鳴った。影は二つ。けれど、一つは小さくて子どものようだ。こんな変な会場に子ども連れなんて有り得ないだろう。少しだけ延長された引渡しまでの時間に、ホッと胸を撫で下ろす。コッ、コッ、コッ、コッ、と足音が近付いてきて、その二人が通り過ぎるのを待ちながら、隣の男へ目を向けた。牢の鍵だろう、鍵束を手に持った男を見ながら何とかあれを奪えないか悩んだ。
    コッ、コッ、…とすぐ側まで来た足音がそこで止まった。

    「んん…?」

    不思議に思って顔を上げると、オレの腹くらいまでの身長だろう少年が牢の隣の男へ笑みを向けた。

    「126番の神代です。引渡しに来ました」
    「では、現金をお願い致します」
    「渡してくれるかい」

    一瞬耳を疑った。確かに聞こえた126という番号。そして、少年が後ろの男へ目を向けるとスーツケースが出された。開いたそこにはびっしりと札束が入っていて、瞬きすら出来ない。受け取った男が鍵束を少年に手渡した。

    「調教していないので、暴れる可能性があります」
    「ふふ、大丈夫さ」
    「それでは、失礼します」

    さっさと離れていく男を見送って、少年が牢の鍵を開けた。キィ、と牢の扉が鈍い音を立てて小柄な体が入ってくる。オレの顔を見て、手首に手を伸ばした。

    「随分と暴れたね。
    血が滲んでしまっているよ」
    「……んんむ、んぅ…」
    「あぁ、先に口のそれを取ってあげようか」

    しゅる、と布が取り払われて、唾液でべっとりとしたそれが糸を引く。ずっと布を噛まされていた口は少し痛むが、随分と楽になった。けほけほと咳き込みながら、声を出す。あぁ、話すのも凄く久しぶりな気がするな。

    「…ぇ、と……」
    「ふふ、僕は神代類、君の名前を教えてくれるかい?」
    「…………天馬、司、だ…」
    「なら司くん、手枷と足枷も外すから少し待っていておくれ」

    カチャカチャと手際良く手枷が外されて、かなり楽になった。痛いとは思っていたが、くっきりと跡が残っていて血が滲んでいる。手首を擦りながら、足枷が外されるのをじっと見つめた。きっと悪いやつでは無い。だが、オレもやらなければならん事がある。カシャン、と外されたのを見計らって、オレは勢いよくその小さな体を押し退けた。

    「ッ…すまんッ!!」
    「……っ、…」

    ガタンッ、と牢が揺れて、開いたままの扉を潜る。外で待機している少年の付き添い人は動かなかった。オレの行動に驚いて動けないのだろうか。なにはともあれ、子どもだけなら逃げられる。悪い気はしていても、背に腹はかえられない。タンッ、と地面を蹴ってオレは走り出した。瞬間、体が急に重くなり地面に落ちる。

    「ぅぐッ……」

    よく分からなかった。足が引かれたわけでもない。男が動いた訳でもない。なのに、オレの背中には確かに人が乗っていて、腕が後ろ手に押さえつけられている。しかも動けない。そんなに重くないはずなのに、的確に力の入れずらい場所に乗られていて、押さえつけられていた。

    「あんまり動くと、もっと怪我をしてしまうよ?」

    顔だけ向けると、オレの背にはにこにこと笑う少年が居る。手首の傷に爪を立てられて、思わず引き攣った声が出た。「ぃ、っ…」と顔を歪めるオレを見て、少年の手が頬を撫でる。

    「大人しくついてきてくれるかい?
    君を痛め付けたいわけじゃないんだ」

    ね?と眉を寄せて優しく笑う少年に、オレは頷くしか無かった。なぜだか笑顔がものすごく怖い。完全に不意をついたはずなのに、一瞬で間合いを詰めて来たことも、完璧にオレを組み敷いてることも、信じられなかった。パッと手が離されて、少年がオレの上から退く。ゆっくりと起き上がると、オレのすぐ目の前で両手を広げられた。

    「?」

    なんだ? 何が言いたいんだ? きょとんとしていれば、にこにこしたまま、「抱っこしてくれるかい?」と意味のわからないお強請りをされる。仕方ないので抱き上げれば、物凄く軽かった。しかも細い。子どもとはこんなにも痩せているものだろうか。病弱な咲希ですらもう少しふっくらしていたはずだ。付き添い人の男に案内されるまま、オレは少年、類を抱っこして歩いていく。
    指示されるまま車に乗り込んで、会場には背を向けた。車の中でも膝に乗ったままの類はにこにこしていて、なんというか気が抜ける感じがした。そして疲れていた事もあり、気付いたら寝ていたようだ。起きた時はどこか分からないでかい屋敷の駐車場だった。

    【失敗から始まる新たな任務の報告書】

    とても広い部屋に案内されて、ふかふかのソファーに座らされる。どうやらお坊ちゃまらしい。何故あんな密売会場に居たのかはわからんが、いまだにオレの腕の中でにこにこしている類を危ないとは思えなかった。付き添い人がお茶を二つテーブルに置き、類がひとつを手に取った。口を付けて飲む様は流石お坊ちゃま、綺麗な所作で物音一つしない。

    「それで、司くん」
    「…なんだ」
    「僕は君をお金で買ったわけだけど、司くんと仲良くしたいんだ」
    「…………」

    その無邪気な笑みが、咲希と重なる。なんだか警戒心も薄れてしまって、溜息を吐いた。仲良くしたい、なんて、友だちになれと言われているのだろうか。変なやつだ。お腹を支えていたオレの手をにぎにぎと手で握る様は、どうやら緊張しているみたいに見えた。途端にこの小さな主人が可愛く見えて、こほんと咳払いをする。

    「ま、まぁ、自由にさせてくれるなら、友だちくらいなっても構わんぞ」
    「うんうん、友だちはいらないから、僕の下僕として仲良くしておくれ」
    「それは仲良くしたい相手に使う言葉ではないっ!!」

    つい大きな声が出てしまったが、驚くことも無く類はにこにこしていた。こいつ、こんな可愛い顔して今下僕とか言ったぞ。そんな言葉を知っているのか。どう見ても小学生くらいの少年が?! くら、と頭が揺れて目眩がしてきた。これは、言葉の正しい使い方から教えねばならんのではないか。

    「言っておくが、オレはお前に従うつもりはない」
    「……司くんは僕に従うしかないと思うよ」
    「何故言いきれるんだ?」

    ピク、と肩が跳ねる。目の前の類は相変わらずにこにこしていて、その鮮やかな月色の瞳を細めた。

    「君の妹さん、司くんと同じ綺麗な髪をしていたね」
    「…っ……」

    するりと頬をその小さな手で撫でられる。瞬間、ぞわりと背が粟立った。オレに妹が居ることも言ってないし、髪色が同じな事も知らないはずだ。いや、兄妹だから似ていると予想したのか。背筋を冷たいものが伝い落ちて、視線が泳ぐ。そんなオレの目の前で、くるりと体を反転させた類が膝立ちになって顔を寄せてきた。

    「あの怪盗Tの仕事を引き継いで怪盗をしてる司くんの、たった一人の大事な妹さんだもんね」
    「……な、んで…」
    「ふふ、僕の仕事の手伝いさえしてくれれば、ちゃんと妹さんの所に返してあげる」

    照明の下では鮮やかな藤色の髪をしている類は、先程とは違った子どもらしくない顔をしていた。真剣なその表情に、息を飲む。父さんの事も、咲希の事も知っている。それだけで、身体中の血が抜かれたように冷たくなっていく。震える唇を噛んで、キッと類を睨み返した。

    「…妹に、手は出さないと約束しろっ」
    「司くんが裏切らないと約束してくれるなら、勿論構わないよ」
    「………分かった」

    約束してやろう。苦虫を噛み潰したように眉を寄せて呟く。たった一人の妹より大事なものなどない。オレの返答ににこっと笑みを浮かべた類は、ひょいっと軽く飛び降りた。手を差し出されて、その手を掴めば握手が交わされる。「約束は成立だね」という言葉に、なんとも気が抜けてしまう。さっきまでの、大人顔負けなオーラはどこへやら、というやつだ。

    「それで、何をすればいいんだ」
    「君には僕がお願いする屋敷からそれぞれあるモノを盗んで欲しいんだ」
    「……分かった」

    それくらいなら、やれそうだ。少なくとも、あの会場に居た男達から夜伽の相手をさせられたり、実験に付き合わされるよりもずっとマシだろう。ちょっと言葉は怖いが、子どもの“おともだちごっこ”より楽な仕事もない。黙ったからか、オレの手で遊び始めた類をぼんやりと見つめながらそんな事を思う。そんな類がふと顔を上げて、オレに微笑んだ。

    「そうそう、逃げても良いけど、それなりにお仕置もあるからね」
    「…逃げ切った後の事は考えないんだな」
    「妹くんがの存在があるからね。
    それに、司くんじゃ僕からは逃げられないと思うよ」

    なんとも馬鹿にされたような言い回しにカチンとくる。確かに牢から出る時はあっさり掴まってしまったが、あれはきっと血を抜かれ過ぎてフラフラしていたからだ。本調子であれば、類一人撒くなど容易いはずだろう。

    「随分と自信があるんだな」

    嫌味たらしくそう返してやれば、類がふふ、と笑う。その子どもらしい笑みで、「これでも暗殺者として修行はしてきているからね」と類は答えた。うんうんと頷いていたオレの体がぴしりと固まる。聞き間違えただろうか。今、この無邪気な顔の子どもはなんと言ったか。ギギギ、と錆びたロボットのようにゆっくり類へ顔を向けた。ふわりと微笑む類は、年相応の可愛い顔をオレへ向けている。

    「……あ、あんさ…ぇ…?」
    「司くんの家系が代々怪盗の様に、僕の家系も代々暗殺業をしていてね。
    僕はこの屋敷の次期当主というわけだよ」
    「…………………ぇ、…は…?」
    「だからね、司くん」

    せいぜい頑張っておくれ。
    そんな悪魔の囁きを聞いたオレは、呆然と目の前の新しい小さな主人を見つめるしか無かった。

    これは、オレが小さな主人に買われて仕えた業務の報告書である。

    ―――――

    後書きと言うなのこの後の話。

    ・調教された状態で売られて同い歳類くんに買われて使用人する司くんの話を書こうとして、
    何故かこうなった。全年齢にしようと唐突に思い至った。
    ショタ暗殺者類くん×お金で買われた怪盗司くんの話。

    ―――

    『今後の流れとネタメモ』

    ・逃げる度に簡単に捕まる司くんが見たい。御屋敷から逃げる手段頑張って考えるのにいつも簡単に連れ戻される司くんが見たい。
    後半になってもうちょっとで逃げ出せる!ってなったのに、(逃げていいのか…?)とちょっと不安になって御屋敷に自分から戻っていくのが見たい。
    「ふふ、すっかり僕のそばに居るのが当たり前になっちゃったね〜」って嬉しそうにする類くんが見たい。

    ・屋敷の中では使用人させられる司くんが見たい。類くんの側近として常に傍で仕えてあーだこーだしてるのが見たい。基本言い合いしてるけど仲のいい二人なら可愛い。本当にお世話するだけ。

    ・恋愛感情全くない。(最後はルツ予定)
    なんなら友だちいらないって言ってた類くん、いつもひとりぼっちで寂しそうで、それを見兼ねた司くんがお友達を教える話がみたい。暗殺者なんかやってるから普通のおともだちが作れない類くんに、「オレが類の友だちになってやろう!」ってどどーんと胸張ってほしい。使用人としてでは無く友だちとして類くんの傍にいて一日おともだちする司くんが見たい。そんな司くんに、わわわってなる類くん見たい。尚、その後おともだちの日が増えるし、司くんの事を大事にしてくれる。

    ・夜はお互いに別の仕事する二人が見たい。類くんに頼まれた依頼をこなす怪盗司くんと、暗殺業を頑張るショタ類くん見たい。
    司くんが危ない時にこっそり助けてくれる類くんも見たいし、司くんの情報バレそうな時にばぁん、ってあっさり殺して証拠隠滅する類くんが見たいです。めちゃくちゃ無邪気な顔しててほしい、最強ショタ好き。(ただの趣味の話)
    尚、朝弱い類くんを叩き起す司くんも好きなのでお願い致します。夜のお仕事で遅くまで起きてて朝起きられない類くんと、睡眠時間少なくてもちゃんと朝は起きる司くんの二人が朝から言い争うのが見たい。

    ・元依頼主に捕まる司くん下さい。
    社長さんも有り。元々一番最初の依頼主が司くん狙ってるって話(盛大なネタバレ案件)なので、捕まっちゃう司くんを類くんに助けて欲しいです。とても無邪気な笑顔で殺気ダダ漏れの類くんが司くんの為に容赦なく殺るのが見たい。
    任務の為にハニトラ仕掛ける司くんも見たいので、そういうのも合わせて見たい。ただし、類くんショタなので類くんとの情事は多分大人になるまでないと思われる( ˇωˇ )

    最終的にモブに捕まる司くん辺りでお互いに好きなの自覚してそのままくっつけばいい。
    全部任務終了してサヨナラする時に、咲希ちゃんの元へ帰るルートか、類くんの使用人を続けるルートの2つがあれば良き。
    類くんルートなら、「オレを買ったのはお前だろう」って言ってくれれば良い。
    類くんが成人してからちゃんと恋人としてステップ踏んでください。それまで仲良くやっててください。

    って流れまで思いついたから全部書き出した。
    楽しかった。
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    😍💯😍💯😍💯😍💯😍😍💖💖💖💘💘💘🙏🙏🙏❤🙏🙏🙏💘🇱🇴🇻🇪💖💖❤👍💖😍💯💯💯👍👍💖💖💖💘💘🍑🍑
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    Replies from the creator

    ナンナル

    CAN’T MAKE銀楼の聖女

    急に思い付いたから、とりあえず書いてみた。やつを一話分だけ書き切りました。
    ※セーフと言い張る。直接表現ないから、セーフと言い張る。
    ※🎈君ほぼ居ません。
    ※モブと☆くんの描写有り(性的な事は特になし)
    ※突然始まり、突然終わります。

    この後モブに迫られ🎈君が助けに来るハピエンで終わると思う( ˇωˇ )
    銀楼の聖女『類っ、ダメだ、待ってくれっ、嫌だ、やッ…』

    赤い瞳も、その首元に付いた赤い痕も、全て夢なら良いと思った。
    掴まれた腕の痛みに顔を顰めて、縋る様に声を上げる。甘い匂いで体の力が全く入らず、抵抗もままならない状態でベンチに押し倒された。オレの知っている類とは違う、優しさの欠片もない怖い顔が近付き、乱暴に唇が塞がれる。髪を隠す頭巾が床に落ちて、髪を結わえていたリボンが解かれた。

    『っ、ん…ふ、……んんっ…』

    キスのせいで、声が出せない。震える手で類の胸元を必死に叩くも、止まる気配がなくて戸惑った。するりと服の裾から手が差し入れられ、長い爪が布を裂く。視界の隅に、避けた布が床へ落ちていく様が映る。漸くキスから解放され、慌てて息を吸い込んだ。苦しかった肺に酸素を一気に流し込んだせいで咳き込むオレを横目に、類がオレの体へ視線を向ける。裂いた服の隙間から晒された肌に、類の表情が更に険しくなるのが見えた。
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    ナンナル

    DOODLE魔王様夫婦の周りを巻き込む大喧嘩、というのを書きたくて書いてたけど、ここで終わってもいいのでは無いか、と思い始めた。残りはご想像にお任せします、か…。
    喧嘩の理由がどーでもいい内容なのに、周りが最大限振り回されるの理不尽よな。
    魔王様夫婦の家出騒動「はぁあ、可愛い…」
    「ふふん、当然です! 母様の子どもですから!」
    「性格までつかさくんそっくりで、本当に姫は可愛いね」

    どこかで見たことのあるふわふわのドレスを着た娘の姿に、つい、顔を顰めてしまう。数日前に、オレも類から似たような服を贈られた気がするが、気の所為だろうか。さすがに似合わないので、着ずにクローゼットへしまったが、まさか同じ服を姫にも贈ったのか? オレが着ないから? オレに良く似た姫に着せて楽しんでいるのか?

    (……デレデレしおって…)

    むっすぅ、と顔を顰めて、仕事もせずに娘に構い倒しの夫を睨む。
    産まれたばかりの双子は、先程漸く眠った所だ。こちらは夜中に起きなければならなくて寝不足だというのに、呑気に娘を可愛がる夫が腹立たしい。というより、寝不足の原因は類にもあるのだ。双子を寝かし付けた後に『次は僕の番だよ』と毎度襲ってくるのだから。どれだけ疲れたからと拒んでも、最終的に流されてしまう。お陰で、腰が痛くて部屋から出るのも億劫だというに。
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