ケーキバースを書いてって言われたから、設定だけ考えた。
ただのネタメモ。ほぼ箇条書きです。
※年齢操作有り
学校帰りに家へ真っ直ぐ帰ろうとしていた類くんが、たまたま目の前を歩いていた小さな男の子に目がいって、髪色が珍しいなぁって思っていたら、車が不自然に道路の途中で止まった。ドアが開いて、中から出てきた男性の腕が子どもの体を掴んだ。たまたま目の前にいた子供が大人の男性に抱えられるのを、類くんが見てしまう。
声が出ないように口を塞がれて車に押し込まれる子どもの姿に、慌ててその車に向かって走るんだけど、エンジンがかかって走り出されちゃう。たまたま手に持っていた試作品の追跡できる機械を投げたら運良く引っかかってくれて、その場では車を見失うけどなんとか追いかけることができる。
機械の反応を追いかけて着いたのはどこかの倉庫みたいな所。そこに車が止まっていて、辺りを見回すと微かに物音が聞こえてくる。その音を頼りに近寄ると、襲われる子どもを見つけた。味を確かめるように首や腕を舐める男の姿にゾッとするも、側にあった鉄パイプを持って、そっと側に近寄る。うわ言のように「甘い、甘い」と男が呟く中、息を殺して鉄パイプを勢い良く振り下ろす。気絶した男を退かすと、震える子供が泣きながら怯えていて、「大丈夫だから、ね…?落ち着いて…」って頑張って宥める類くん。
襲われたのが怖かったのか、類くんの声ですらビクッ、と体を跳ねさせて小さくまるまったその子はぼろぼろ泣きながらガタガタと震える。それでも、そっと子どもの背中に触れて、優しく背を撫でながら優しく優しく声をかけ続けた。
漸く少し落ち着いた男の子が、泣きながら類くんに抱きついてきて、それに少し安堵する。そのまま宥めながらその場を離れて、警察に連絡した。
警察署で言われたのは、男の子が「ケーキ」という第2次性を持っていること。あの男性が「フォーク」の第2次性であること。第2次性を持つ人はそれなりに多いので、驚く程のことでもないけど、子どもが目の前で攫われたことが強く印象に残った類くん。
聴取が終わった少年に会いにいくと、ぎゅぅ、と足にしがみつかれて、暫く一緒に座って、彼の保護者を待つ。
自分が「ケーキ」だと知らなかったその子は、小さな声で「怖かった」とか、「またこんな事になったら…」とか、不安でぼろぼろ泣き出すやつ。歳の近い妹がいるその子は、両親に心配をかけたくないとも言っていた。
そんな彼の話を聞きながら、ずっとあの時の光景が消えない類くんが、「なら、僕が守ってあげる」って言い出す。
「僕が、この先何があっても、君の傍で守ってあげる」って。
それを聞いて、目を丸くさせたその子が、「本当に……?」って聞き返して、それに強く頷き返した。
「絶対に、守ってあげる」って小指を出す類くんに、その子が笑って、「お約束、ね」って小指を絡める。
こうして中学生類くんが、小学生司くんと出会って仲良くなる話。
学校の登下校は一緒について行くし、両親が居ない日はお泊まりするくらい、お互いずっと一緒にいる。両親も、類くんが助けてくれたこともあって、信頼して預けてくれる。
仲良しな二人から、お互い恋心に変わるまで時間はかからないし、司くんが中学生になる頃には、御付き合いも果たしてくれる。周りが認めるほど仲良しな二人。
ある日、いつものように司くんを待っていた類くんが、後ろから襲われる事件が起きる。たまたま学校の校門前で、死ぬことは無かった。犯人は昔警察に突き出したあの男で、逆恨みで襲われるやつ。
目が覚めた時は、病院のベットの上で、泣きながら付き添っていた司くんが、類くんが目覚めたのに気が付いてぼろぼろ泣き出すやつ。
「類が、無事で良かった……」って言いながら類くんを抱き締めた司くんから、ふわりと甘い匂いがした。心臓が早いのは、死にかけたからだろうか。そう思い込もうとするけれど、甘い匂いに頭がくらくらして、なんとか平静を装って、司くんと接して、その後迎えに来た両親と一緒に、司くんは帰っていく。
その日の夜、病院で出された食事は、味がしなかった。
この後、類くんが、司くんを守るために離れようとする。
行き帰りは別々になって、連絡も減る。会おうと言えば断られて、中々会ってくれなくなる。恋人同士なのに、距離だけがどんどん離れて行く類くんに、司くんは意味がわからなくなる。
家に直接尋ねてくる司くんから距離が取りたくて、勝手に一人暮らしも始めて、司くんを避け始める。
そうして1ヶ月、2ヶ月、と時間はどんどん過ぎていって、とうとう耐えきれなくなった司くんが、周りのツテを辿って類くんの家に押しかける。
「なんで何も教えてくれないんだっ……!」って類くんの目の前で、司くんが耐えきれずに泣き出す。そんな司くんに、ここまで自分を想ってくれて嬉しい気持ちと、襲ってしまいそうな自分に対しての恐怖でぐちゃぐちゃになる類くん。正直に言うか悩んで、彼に嫌われたくなくて言い淀んで、でも、何も知らせてくれなかったのが悲しいって泣く司くんに胸が痛んで。このまま彼を騙し続けるわけにはいかない、と、拳を強く握りしめる。
「僕のそばにいたら、僕が君を傷付けてしまうから……」って、泣きながらそう言った類くんに、司くんは漸く事情が分かってぼろぼろ泣き出した。
家の中に、お水や固形食なんかのゴミしかなくて、味が分からなくなったのも伝わって、類くんが、「フォーク」になってしまったのだと、そこで知る。
傍に居たいけど、一緒にいたら何するか分からないからって泣く類くんに、ほんの少しだけ安堵して、司くんがぎゅ、って抱き締める。
「食べたければ食べていいぞ」
そんな言葉が聞こえて、類くんが慌てて司くんを引き離そうとするのに、全然離れてくれなくて、クラクラするほど甘い匂いにどんどん理性が崩れていって…。
我慢してる類くんに、(やはり、類は優しい奴だな…)って嬉しくなった司くんからキスをする。
甘い味に、繋ぎ止めていた理性がぷつんと途切れて、類くんは司くんを床に押し倒した。
「フォーク」になって、グラグラになるのと、
「フォーク」にならずに、司くんの涙を舐めとって、「司くんの涙は甘いね」って笑う類くんもみたい。
ならないやつに関しては、単に相手が恋人なら、何でも甘味なんだよって、笑って言うハッピーエンド。
多分フォークになっても、類くんは司くんを食べないし、抗い続けるんだろうなぁ、とは思う。