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    rikaryouka

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    花憐日和様のワンドロです。
    まとめたら支部掲載予定です。

    法力「法力」


    謝憐にとっての法力は足の裏に付いた米粒のような存在だ。
    無くても気にはならないけれど、確かに有れば便利だし、窮地に陥っている時など有れば良いのにと考えたこともある。だが、そんな程度。無いことに慣れ過ぎてしまった為、有ることに違和感を感じる。
    それを足の裏の米粒と誰かが揶揄した時には、うまい事を言うと感心したものだった。
    さて、この法力だが、色々を経てようやく謝憐のところへ戻ってきた。
    今までおおよそ800年使わなかった自分自身の法力。自由に使える様になったと言えども中々慣れないものだ。

    清々しい青空を見ながら思う。
    「・・・・・・さすがに怒られる・・・だろうな」
    久しぶりに掌から光弾を出してみたら、山を一つ吹き飛ばして仕舞い、冷や汗が背中を伝った。
    故意ではない。単なる事故だ。
    だが、天界は恐らく今、この件で大いに揉めているだろう。
    霊文から呼び出しが掛かるのは時間の問題だ。
    深く思いため息を吐いて、何がいけなかったのか眉間を揉んで考える。
    「法力のため方?出した勢い?それとも・・・」
    「慣れてないから」
    後ろから声がしてビクリと肩を震わせた。恐る恐る振り返ると、笑いを堪えた鬼王が立っていた。
    「さ、三郎・・・」
    「見事に吹っ飛ばしましたね」
    消え去った山の方角をマジマジと見る。
    すると、謝憐は頭を抱えて座り込んだ。
    「あああ、こんなつもりじゃ」
    「大丈夫です。三郎にお任せください」
    「どうにかなるのか!?」
    何でも出来る絶境鬼王だ。消し飛ばした山の一つや二つ元に戻せるのかもしれない。
    謝憐は淡い期待に胸を膨らませる。
    「はい。流石に山は戻せませんが、貴方の法力を封じることは出来ます」
    元に戻せないと言う言葉に少しがっかりしたが、それは同然だろうと思い直す。
    しかし、どうやって法力を封印するつもりなのか?
    「私の法力を君が封じるのか?」
    「正確には私と貴方とで封じます」
    「???」
    要領を得ない返答に謝憐は首を捻る。
    すると花城は悪戯な顔をして笑みを深くし、白く貝殻の様な耳に唇を寄せた。
    「・・・殿下の修められた道では、どうすると法力を失うのでしたっけ?」
    甘く纏わりつくような声に、謝憐は真っ赤になって耳を抑える。
    「な、な、」
    「ふふっ、勿論、哥哥が望めばのお話です。お気持ちが傾きましたら、いつでもお付き合い致します」
    な、なんていやらしい事を!!
    だけど、それで暫くの間法力を失えば、天界にも言い訳がつくような気もする。だから、別に三郎とこんな昼間から、その、まぐわいたいと思ってる訳じゃなくて、いや、だけど、その、決して嫌では無くて・・・
    むしろ・・・
    「・・・・お願いします」
    頬を紅色に染めならが、蚊の鳴くような声で謝憐は花城の袖を引っ張った。
    「御意に」
    恭しく白魚の様な指先に口付けて、花城は賽子を振った。

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