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    momone3636

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    momone3636

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    モブおじさんが鈴ちゃんを見守ってるだけの話です。途中まで。恵くんは全く出てきません。

    頑張れモブおじさんモブおじさんは決意した。必ず、鈴ちゃんの純真な笑顔を取り戻すと心に決めた。モブおじさんに名前はない。もちろん自分のことを長々と語る気もない。ただ目指すは鈴ちゃんの幸せ、鈴ちゃんの笑顔を再び目に焼き付けることであった。
    目の前で母親を亡くし泣き崩れる子どもから目が離せなくなったあの時から、モブおじさんの運命は決まってしまった。その子が同級生であり悪友であった内藤の子どもだと葬式の連絡をもらった時に知った。同級生の子ども。それはこんな辺境のど田舎では自分の子どもと言っても過言ではないのではないと思った。モブおじさんの生きる道が決まった瞬間だった。
    毎日太陽よりも早起きをして車を走らせた。まるで近所の住人かのように鈴ちゃんが住んでる地区一帯を清掃し、そのついでと言わんばかりに通学路をとぼとぼ歩いて学校へ行く鈴ちゃんにおはようと声をかけた。毎日毎日挨拶をした。体に対して大きなランドセルを背負った鈴ちゃんは会釈を返してくれたり、ある時は挨拶が戻ってくることもなく静かに泣きながら通り過ぎてしまったりした。おじさんはモブおじさんなので、雨の日も風の日も川が氾濫したときも朝の挨拶のためだけに早起きし、自分の健康管理には何より気をつかい、鈴ちゃんが通り過ぎて行かないかをチェックし続けた。
    鈴ちゃんは学校にはちゃんと行っていたが、年齢を重ねるごとに表情が固く感情が分かりにくくなっていっていた。いつの間にかランドセルは中学指定のバッグへ変わっていた。大人になったなと感動すると同時に、母を亡くしたことで生まれたら危うさは消えていないように思えた。
    モブおじさんの本職は農家だ。花を学校へ届けたりもする。もちろん田舎なんて学校の数が限られているため鈴ちゃんが通ってる学校にも花を届けていた。色とりどりの花達が少しでも鈴ちゃんの心を溶かしてくれますようにと願って鈴ちゃんの学校にだけ毎月違う花を持っていった。閑話休題。
    そんなモブおじさんにも人付き合いというものがある。鈴ちゃんの父親との飲みもそのひとつで、彼は彼で癒すべき1人の対象であった。もちろんモブおじさんの最終目標は鈴ちゃんの笑顔を取り戻すことなので、父親を癒すことも目標への大いなる一歩に繋がっているのだ。内藤は昔からイケメンで、ヒョロガリメガネで影が薄すぎるモブおじさんとは大違いだ。綺麗な奥さんをゲットしたのは知っていたが、モブおじさんはしばらく地元を離れて東京で暮らしていたから鈴ちゃんという天使が生まれていたことは知らなかった。内藤は奥さんを亡くしてから一度酒を飲むと眠るまで飲み続けた。家では全く酒を飲まないと言ってたから、昔からの悪友であるモブおじさんと会う時だけ羽目を外しているようだ。俺でよければいくらでも付き合う、そう告げて背中を叩くと内藤は安心したように笑った。毎回酔っ払っては眠りこけてしまう内藤を車で家まで送った。眠る直前まで奥さんと鈴ちゃんが歌ってる動画や写真を飽きることなく見せてくる。推しのことなら何でも知りたくなるのはモブおじさんの性なので、動画もありがたく拝見した。鈴ちゃんは今とは全く違う生き生きとした顔で笑い、そして歌っていた。
    内藤の家に到着した。家の電気はどこも付けられていないようだ。真っ暗な家を見て鈴ちゃんがいないぞと問い詰めると、鈴は合唱部の人たちと一緒にいるのだと、母親が恋しくなると合唱部の人たちのところに行くようになったと、酔っ払いはそう言って完全に眠った。布団をかけてやる。内藤が風邪をひいてしまったら困るのは鈴ちゃんだからだ。モブおじさんはいつだって推しのことを考えて生きているのだ。

    高校生になった鈴ちゃんを見守っていたモブおじさんに衝撃が走った。〈U〉に鈴ちゃんが現れたのだ。雷に打たれたような衝撃だった。
    モブおじさんは遠い昔に上京してミュージシャン崩れのようなことをやっていたが、田舎に戻ってきてからは〈U〉の中で歌い手の動画編集や編曲をするのが日常だった。くすぶっている歌い手が、自分が編曲することで少しでも日の目を見るならやらないよりは良いという想いがあった。
    その日もフラフラと〈U〉を徘徊していた。そこに偶然にもやってきたのだ、鈴ちゃん、いやベルという名の天使が。どうして鈴ちゃんだと分かったかというのは愚問だ。姿が変わったくらいで推しのことを分からないようでは、モブおじさんの称号は名乗れないのだ。ベロベロに酔っ払った内藤から何度も見せてもらった鈴ちゃんの歌う姿。姿は変わっていても、楽しくて仕方ないと言わんばかりに歌う彼女は美しかった。一曲歌い上げた彼女はすぐにログアウトしてしまったが、あまりの衝撃にモブおじさんはその日眠ることができなかった。いつもなら眠っている時間にPCを開いて〈U〉へとログインする。ベルのアカウントへ飛んだらアーカイブで歌っている映像が残されていた。すぐに動画をダウンロードして動画編集のソフトを立ち上げる。自分の力でベルを有名にするなんてそんな大それたことは考えていない。ただ世界中にこの素晴らしい歌を聞いて欲しかった。誰かを救う曲だと思った。朝日がのぼっても目は冴え渡り手は止まることなく作業を続ける。ポップス、ロック、ジャズ、何に変えてもベルの歌は美しく命に満ちていた。気がつくと涙を流しながら編曲をしていた。母を失い川で泣いていた少女の姿を思い出す。モブおじさんの使命は推しを笑顔にすること。その想いを胸に手を動かし続けた。
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    momone3636

    MOURNINGモブおじさんが鈴ちゃんを見守ってるだけの話です。途中まで。恵くんは全く出てきません。
    頑張れモブおじさんモブおじさんは決意した。必ず、鈴ちゃんの純真な笑顔を取り戻すと心に決めた。モブおじさんに名前はない。もちろん自分のことを長々と語る気もない。ただ目指すは鈴ちゃんの幸せ、鈴ちゃんの笑顔を再び目に焼き付けることであった。
    目の前で母親を亡くし泣き崩れる子どもから目が離せなくなったあの時から、モブおじさんの運命は決まってしまった。その子が同級生であり悪友であった内藤の子どもだと葬式の連絡をもらった時に知った。同級生の子ども。それはこんな辺境のど田舎では自分の子どもと言っても過言ではないのではないと思った。モブおじさんの生きる道が決まった瞬間だった。
    毎日太陽よりも早起きをして車を走らせた。まるで近所の住人かのように鈴ちゃんが住んでる地区一帯を清掃し、そのついでと言わんばかりに通学路をとぼとぼ歩いて学校へ行く鈴ちゃんにおはようと声をかけた。毎日毎日挨拶をした。体に対して大きなランドセルを背負った鈴ちゃんは会釈を返してくれたり、ある時は挨拶が戻ってくることもなく静かに泣きながら通り過ぎてしまったりした。おじさんはモブおじさんなので、雨の日も風の日も川が氾濫したときも朝の挨拶のためだけに早起きし、自分の健康管理には何より気をつかい、鈴ちゃんが通り過ぎて行かないかをチェックし続けた。
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