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    momone3636

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    喧嘩をした竜ベル仲直りの話。初竜ベル🎉

    傘/雨に唄えば〈U〉で『雨』が実装されたその日、ベルは竜の城に来ていた。城のバルコニーから〈U〉全体をぼんやり見渡しては、思い出したように気ままなメロディを口ずさむ。肌の上に着地した雨は虹色に色づき、さらに細かな水滴となって地面へと落ちていった。

    「ベル」

    低く唸るような声とともに体に降り注いでいた雨が止んだ。肌を弾いていた水滴の感覚が止まってしまう。少し不満げな顔になるのを止められないままチラリと後ろに視線を向ければ、そこには気まずそうな表情の竜が立っていた。

    「ここは濡れるから、中に入ろう」

    竜の手には傘が握られていた。雨の実装に伴いAsに配られたものだ。まだ通常のサイズしかバリエーションがないため、竜の体は傘に収まりきっていない。さらにそれをベルに差し出してくるものだから、今濡れてしまっているのは竜の方だ。ベルは自分の顔がさらに険しいものになっていくのを止められずに、竜から目を逸らして前を向いた。

    「いや。私のことは放っておいて」

    竜の城に居座り、聞こえるような声量で歌を歌い、あまつさえ心配してくれた竜にこの台詞。自分は本当に可愛げのない女だと胸の奥が自己嫌悪でチクチクと痛んだ。それと同時に、竜の顔を見たことで抑えきれない怒りも再熱してしまう。

    いつも通りの、たわいのない喧嘩だった。恵と恋人同士になって何度も喧嘩はした。頻度は少ないが、一度ムキになるとお互い引くことができずに長引くこともあった。何の変哲もない、いつも通りの喧嘩。今回は恵が先に折れて謝ってくれたが、鈴はまだ心のモヤモヤを取り払うことができずこうしてベルの姿で〈U〉の中へと逃げ込んだ。

    「放っておけるわけない」

    少しだけ呆れを含んだ声とともに、竜が隣に座る気配がする。ベルはどんどん顔をあげれなくなった。喧嘩の原因が何だったのかなんてもうどうでもいい。こんな風に喧嘩を引きずってしまう自分が、年上なのにごめんねの一言も言えない自分が、嫌で仕方なかった。
    雨がさらさらと2人に降り注ぐ。竜のおかげでベルは濡れていないが、竜は傘に入りきれていないため雨に打たれてしまっていた。今回実装された雨は、実際にAsが濡れることも濡れたような見た目に変わることもないが、自分だけ傘で守られてしまっているこの状況が少しだけ申し訳ない。こっそり横目で竜を見ると、雨が竜の体毛に弾かれて無数の虹色が次々と散っていった。全身が虹色の小さな光で彩られている竜の姿は幻想的で美しかった。

    (綺麗なAs…)

    恵はいまだに竜の姿を醜いと言うが、そうは思わない。気高い獣のような、どこか孤独で高貴なAsは恵のためにあるのだと、彼のことを知るたびに強く思うようになった。
    雨に打たれる竜の美しさに引き込まれ見つめていると、バチっと目が合ってしまう。思わず、勢いよく顔を逸らした。そんな自分に更に深く自己嫌悪しつつも、もう顔は固まったように下を向くばかりだ。竜からの視線を感じる。早く謝ってしまえ、と思うのに顔を上げられない不甲斐なさに胸が締め付けられた。

    すると、竜が座っているのとは逆側の方向に、何かが動く気配を感じた。ふわふわしたそれはベルの肩にぴたりとくっついて離れない。背中も心なしかあったかい。顔を上げて見ると、それは竜の尻尾だった。ふわふわとした尻尾がベルの肩を抱きしめるように添えられている。驚いて竜を見れば、少しだけいたずらっ子のように目を細めてベルを見つめていた。
    素直になれない自分を見透かされている。竜のひどく優しい目が全てを物語っているようで、益々居心地が悪くなった。
    慌てて立ち上がろうとするも尻尾がそれを許さない。口を開こうとしたが、竜の慈しむような表情に何も言えなくなってしまう。

    「り、竜、はなして…」

    どうにか言葉を発して尻尾に手を添えると、そっと竜の大きな手が重なってきた。ベルの身体も包み込んでしまえるような大きな手。そのまま引き寄せられ、竜の胸の中へとそっと抱き込まれてしまう。

    「ベル」

    竜の声は子どもをあやすように優しかった。彼はもうベルを、鈴を許してる。許した上でさらに甘やかそうとしている。ベルは諦めて身体の力を抜いた。もふ、と柔らかい竜の毛に顔を埋める。
    僕が悪かったから、どうかこっちを向いて、なんて言葉を髪の毛にキスしながら言うなんて。こんな手管をどこで覚えたんだろう。

    「ベル、大好きだよ」

    額をコツリと付けて笑う竜。雨の音が急に遠のいた気がした。恵を助けに走った数年前のあの日のことを思い出す。あの時も幼かった2人はこうして向かい合い、雨の中で見つめ合って言葉を交わした。竜もきっと同じことを思い出しているんだろう。しばらくの間二人で見つめ合い、そして同時に小さく笑った。

    「私も、竜のことが大好き」

    意地張ってごめんね。大きな牙を避けて、そっと唇を寄せる。雨はいつの間にか止み、〈U〉の空には虹が浮かんでいた。



    傘/雨に唄えば
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    momone3636

    MOURNINGモブおじさんが鈴ちゃんを見守ってるだけの話です。途中まで。恵くんは全く出てきません。
    頑張れモブおじさんモブおじさんは決意した。必ず、鈴ちゃんの純真な笑顔を取り戻すと心に決めた。モブおじさんに名前はない。もちろん自分のことを長々と語る気もない。ただ目指すは鈴ちゃんの幸せ、鈴ちゃんの笑顔を再び目に焼き付けることであった。
    目の前で母親を亡くし泣き崩れる子どもから目が離せなくなったあの時から、モブおじさんの運命は決まってしまった。その子が同級生であり悪友であった内藤の子どもだと葬式の連絡をもらった時に知った。同級生の子ども。それはこんな辺境のど田舎では自分の子どもと言っても過言ではないのではないと思った。モブおじさんの生きる道が決まった瞬間だった。
    毎日太陽よりも早起きをして車を走らせた。まるで近所の住人かのように鈴ちゃんが住んでる地区一帯を清掃し、そのついでと言わんばかりに通学路をとぼとぼ歩いて学校へ行く鈴ちゃんにおはようと声をかけた。毎日毎日挨拶をした。体に対して大きなランドセルを背負った鈴ちゃんは会釈を返してくれたり、ある時は挨拶が戻ってくることもなく静かに泣きながら通り過ぎてしまったりした。おじさんはモブおじさんなので、雨の日も風の日も川が氾濫したときも朝の挨拶のためだけに早起きし、自分の健康管理には何より気をつかい、鈴ちゃんが通り過ぎて行かないかをチェックし続けた。
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