夜の遠足「なぁ伊黒ー、明日の模試終わった後、俺ん家泊まりに来ねェ?」
真夏の日差しを遮るパラソルタープの下、寝ころんだゴザの上で青い空を見つめる。この装備は炎天下の屋上でも快適に過ごせるように不死川が家から持ってきた代物だ。口にはしないが、日差しに弱い俺の為でもあるのだろう……つくづくマメな男だ。
「断る。久しく行っていないが、お前の家は人が多すぎる」
小中学生の頃は不死川の家によく遊びに行っていたが、なにせ兄弟が多い家だ、気付くと弟妹どもを交えてゲームをして過ごすパターンになる。「いぐっちいぐっちー」と懐いてくれる子達は可愛いし、気付いたら妹に髪を二つ結びにされていたりするのも面白いのだが……受験生になってからは図書館で勉強をするようになり、それ以来は遠ざかっていた。
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