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    野手 note

    @wantspomera

    aot 戦士隊すき ジークとライナー
    できてないふたりのあれこれ

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    野手 note

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    ★ごくごく短編。ジクライ。寝室。
    寒い夜のふたり、距離感など。なんか切ない感じに仕上がりましたのでご査収ください

    #ジクライ
    jicry
    #ライナー・ブラウン
    linerBrown.
    #ジーク・イェーガー
    siegJäger

    Cold fish 遠くでゆっくりとドアの閉まる音がした。
     シーツの波間でまどろんでいたライナーは薄目を開けた。いま何時だろう。
     ふと目をやると、隣で寝ていたはずのジークの姿がない。手洗いにでも行って、いま戻ってきたのだろうか。
     空気が乾燥して肌寒かった。ライナーは肩までシーツを手繰り寄せた。
     ひたひたと足音が近づいて、ベッドの前で止まった。
     通路に背を向けて寝ていたライナーは、ややあってジークが後ろから潜り込んでくる気配を感じた。木枠が軋む。肌着から官製煙草の匂いが漂った。一服してきたのか。
     別に寝たふりをしたつもりはなかった。ほとんど意識は夢うつつだ。ただなんとなく、どこに行ってたんですかと一言訊くことができなかった。
     体格のよい男2人が寝るにはベッドは狭い。ジークはライナーを背中から抱きすくめ、からだを寄せた。髭が首筋をちくちくと柔らかく刺した。
     ジークの手がライナーの顔の輪郭を撫ぜた。その指先はしっとりとして、すっかり冷えていた。絡んできた足先も氷のようだ。思わずビクリと体がはぜた。
    「ン……」
    「ライナー……つめたくしてごめんな」
     独り言のようなジークの囁きが聞こえた。耳の後ろに口づけがひとつ落とされた。彼にしてはひどく優しいと思った。また煙草の残香がふわりと匂った。
     程なくして、規則正しい寝息が聞こえてきた。

     いま謝ったのは、からだの冷たさに対してだろうか。それとも、俺への態度か。
     このひとも後ろめたい気持ちを抱いたりすることがあるのだろうか。
     ライナーにはわからなかった。抗えない眠気が襲い来た。
    「いえ……」
     ライナーは再び睡りに身を任せた。

    【了】
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    野手 note

    PAST★小説。ジクライ。カプとしては最初に書いたもの。短い。まだ何も起こってない。覆水盆に返らず。伏字は一応決まってはいますが任意のワードを入れてお楽しみください。けちくさいジクさんは私の不徳の致すところです王家なのに
    Don’t cry over spilt coffee いつからか戦士長の部屋でふたり、残務をこなすことが増えた。
     開戦に至る以前から、マーレの軍事会議は「エルディア人に意見を聞いたのが間違いだった」、で終わることが多かった。こちらには自由な発言権がないのに核心に至らない質問をする幹部連中が無能なのだが、なんの戦略もないままではマーレの誇る戦士隊とて戦うべくもない。自然、戦士長と副長たるジークとライナーは議題を持ち帰って検討することになった。
     うず高く積まれたジークの蔵書には貴重な古書も少なくなかったから、過去のユミルの民がいかに戦ってきたか書かれた文献を探し出して研究もした。対巨人砲などの先端技術が導入されつつある今となっては、エルディア帝国時代の資料には役に立たない記述も多かった。しかし、過去には最強かつ最凶の絶対的兵器であった祖先に関する知識を深め、彼らに思いを馳せる機会は、ライナーにとって不思議に心癒される時間だった。
    1873

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    Don’t cry over spilt coffee いつからか戦士長の部屋でふたり、残務をこなすことが増えた。
     開戦に至る以前から、マーレの軍事会議は「エルディア人に意見を聞いたのが間違いだった」、で終わることが多かった。こちらには自由な発言権がないのに核心に至らない質問をする幹部連中が無能なのだが、なんの戦略もないままではマーレの誇る戦士隊とて戦うべくもない。自然、戦士長と副長たるジークとライナーは議題を持ち帰って検討することになった。
     うず高く積まれたジークの蔵書には貴重な古書も少なくなかったから、過去のユミルの民がいかに戦ってきたか書かれた文献を探し出して研究もした。対巨人砲などの先端技術が導入されつつある今となっては、エルディア帝国時代の資料には役に立たない記述も多かった。しかし、過去には最強かつ最凶の絶対的兵器であった祖先に関する知識を深め、彼らに思いを馳せる機会は、ライナーにとって不思議に心癒される時間だった。
    1873