お前が死んで、好きだと気付く。『お前が死んで、好きだと気付く。』
ジェノスが死んだ。
買い出しに行ってきますと家を出ていく弟子の後ろ姿も見ずに「おー。いってら。」とテレビを見ながら俺は答えていた。
それから数時間後の事だった。速報が入り、なんとなく見ていた刑事ドラマの画面は、気になるところでニュースキャスターのお姉さんの顔に変わってしまった。
犯人分かんねぇじゃねえか…なんて思ったのもつかの間、「鬼サイボーグ、殉職」の文字が俺の頭を真っ白にした。
俺はスーツに着替えることも無く、半裸のまま現場に走った。現場にはおそらくジェノスを破壊した張本人であろう怪人がいたので、見つけた瞬間に殴って殺した。怒りとか悲しみとか困惑とかの感情がグッチャグチャになったままだったのに、地球が割れないように気を遣って殴ることができた俺の事を誰か褒めてほしい。
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