めぐる綺羅箱2*カヌレの微笑み
個人的な楽しみを見つけてから、また自分の時間が取れないほどに忙しかった。
あのお菓子屋さんに寄る暇すら作ることができなかった。
一度行ったきりのあのお菓子屋さん。
宝石箱のように輝くお菓子が並ぶあのお店。
帰りに寄ろうと思って、寄れない日々を何日過ごしただろうか。
久々に今日は軽い残業で終わることができそうだから、帰りにあのお菓子屋さんに寄ることにしよう。
まだ太陽の光が残る時間帯に街中を歩くのはいつぶりだろう。
色々買い出ししなければならないものが頭の中に思い浮かぶが、今日は目的がある。
会社から電車で10分。家の最寄駅から自宅方面に向かって、いつもは曲がらない小さな路地を進んだところにあるこじんまりとしたお菓子屋さん『loulaki』。
1974