【旭郁】ハロウィン 部屋でソファに座っていると、後ろから突然郁弥が抱きついてきた。
「お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞ!」
「……って、もうしてるじゃねーか!」
笑いながら振り向き、視線を重ねてもう一度笑い合う。
「ちょっとやってみたかっただけ」
「まあ、外すっげー盛り上がってたもんな。みんな仮装してさ」
「可愛い女の子、いっぱいいたもんね」
「そうか?」
「すっごい見てたくせに」
含みのある言い方だ。
もしかして郁弥は、旭が仮装女子達にデレデレしていたと。勘違いしているのだろうか。
閃くと同時に驚いた。郁弥以外にときめくという概念が、自分の中に一切なかったものだから。
「気合い入ってんなーって思ってただけだっつうの」
「ふーん……」
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