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    みゅげ

    レノフィに堕ちました…。
    大人の魔法使い同士、ほど良く気の抜けた間柄同士…いい。

    互いが互いの一番じゃないって理解していながらも、
    ハートだって舞うし、おまえと言われても文句はないし、言っていい人なのには頭抱えます。
    レノ、今何してるかなって思いながらレイタの山脈まで様子を見に行くフィガロ…かわいすぎません?

    瑠璃の空色/みゅげ

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    みゅげ

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    レノフィガwebオンリー、また参加させていただきました!

    このふたりってこんなにいちゃいちゃするかなあ…と思いつつも、公式で〝運命〟とか言っちゃったり、仲良く俳優やってたり、雪国で足湯デートするし。
    本当に思っている以上に、おかしなことになってるな、って思う。ずっとそう思います。

    何を書くかいろいろ悩んだので、今年のレノのお誕生日の後、ふたりきりでしっとりと飲むレノフィの短編をあげます。

    #レノフィガ
    #レノフィ

    神様のひつじ『神様のひつじ』




     窓から差し込む月明かりはほの白く、部屋の主の穏やかな横顔を淡くやわらかく照らす。
     ときに見惚れるほどにすべらかな彼の人のすっきりとした輪郭を、大いなる厄災の光は今宵もひどく艶やかに彩っていた。
    「ほら、これ。この前、西のバザールで見つけた掘り出し物のお酒」
     そう言って小さなデスクの傍ら、のんびりとした仕草ではたはたとレノックスを手招きする人は、いらっしゃい、と呑気な顔でにっこりと笑って、もうすぐおまえの誕生日だからさ、一緒に飲もうと思ってとっておいたんだ、と。
     やわく輝く実りの榛色の瞳でなんとも楽しそうに嘯いた。
    「さて。ここからはお待ちかねの大人の時間だ」
    「フィガロ先生」
    「きみ、今日はだいぶ飲んでいたみたいだけど。まだ飲めるだろう」
    「はい」
     こくりと頷けば、つい先程、レノックスのために魔法でドアを開けてくれたフィガロの美しい指先がぱちりと小さく鳴って、まるでお迎えとでもいうようにふわふわと宙を漂ってきた透明なグラスの中、とろりとほろ苦くも甘い濃密な果実の香りがレノックスの鼻先をくすぐった。
    「どう? なかなかいい香りの酒でしょう。五十年物の逸品だってさ」
    「それはまた……ずいぶんと貴重なものなのでは」
    「さあてね。どうだったかな」
     そうして早くこちらへ来いとばかりに手にしたグラスを揺らすフィガロの顔も、今宵はなんだかひどく楽しそうで、これはいつになく上機嫌な様子だな、と思う。
    「先生」
    「それにしても。俺もメガネ模様をした羊に会いたかったな」
     ひつじ、とつぶやくそばからくるりと優美に回った長い指の先、ぽんっ、ぽんっと白いもこもこが飛び出して、それが途端にとことことレノックスの足下まで駆けてくるから目を瞠った。
    「先生」
     やはりこの人もまた、今夜は少し酔っ払っているのだろう。
     あははと無邪気に笑う白皙の目元をほんのりと赤い色に染めて、そんな自身の膝に乗せた小さな羊をフィガロはなんだかひどく嬉しそうに撫でる。
    「オーエンがさ、羊に変えたおまえがまったく言うことを聞かずに駆け出したとかってぼやいてたんだって。さっきキッチンで会ったカインが楽しそうに教えてくれたよ。羊のレノも足が速くて、がっしりしてたって」
    「……それは。ただ、どうにも彼に変化をさせられていたときの体の感覚と記憶が、自身でも曖昧なもので」
    「ああ。つまり、自分ではいったい何がどうなっているのか、分からなくなってたってことか。それは危ないね」
     そういうことならば。今度また、オーエンにもきつく申し含めておかなければいけないね、などと。
     そんなどうにも心配になるひと言を、相反してほわりとひどく優しい夢見心地の口調でつぶやく。
     
     それはとても静かな夜だった。

     どうぞ、と勧められて遠慮がちに腰かけた清潔なベッドのとなり、膝がぶつかるほどの近くでのんびりとグラスを傾ける人の不思議な色の瞳が白い月の光にキラキラと瞬いて、ともすれば、今、こうして自分と向かい合っているこの呑気な人がとても偉大なる魔法使いであるということを、レノックスは忘れてしまいそうになる。
    「……それでね。今日の飾り付けのための花を、南の国まで採りに行こうってルチルが言ってね。俺も、おまえに一番似合うのは何色の花かな~って考えたりして」
     あらためてじっと見つめれば、そうしてたくさんの物事をひどく楽しそうに笑って話す今宵のフィガロはとても饒舌で――常ならば、ふたり何を話すでもなくのんびりと、ただ同じ酒を傾けてゆったりとした時間を過ごすことの方が多いということを加味しても、やはり今宵のこの人はいつになくとても酔っ払っているのではないかと思う。
    「フィガロ先生」
     だから。
     ゆらゆらと。
     まるでそんな白々と明るい人の隣にいる自分は、その光あふれる遥かな水面を見上げる小さな魚にでもなったかのように。
     このとても静かでほの暗い部屋の窓辺で、天高く燦々と輝く厄災の光を浴びて揺らめく人の横顔は、そんな真白の月の輝きさながらにまぶしくて。
     ひどく。レノックスの目と心を奪うほどに、それはとても綺麗で魅了される――。
    「ん。なあに、レノ。ぼうっとしたりして……ああ、グラスが空いたのか。ほら、どうぞ。まだまだ飲むだろう」
    「はい」
     そうしてその天上人と見紛うほどに整った面立ちで、にっこりと上品に微笑むレノックスの隣人は、相反する鷹揚な仕草でコポコポと豪気に新しい酒を注いだ。
     同時にふわりふわりと品のある香気を漂わせて、白くて細いフィガロの指がとんっと小さくグラスの縁を弾く。
    「ポッシデオ」
    「ん。なんですか、先生。今の魔法は」
    「ん……いや。なんかおまえ、ちょっとぼんやりとしているみたいだから。今宵の主役はもうお疲れかなと思って」
    「そうでしょうか。自分ではまだ全然平気だと思っていましたが」
     そんなレノックスの言葉に、ええ、と少しばかり困ったような顔でこちらを見つめて小さく肩をすくめるフィガロの、とても自然でやわらかく、どこかのんびりと気の抜けた仕草を、何故かひどくくすぐったいと感じる。
     じっとレノックスを見つめて、ぽつりぽつりと滴る雨音のように優しく話す口調もただ静かで心地良く、あらためて、これはずっと変わらずに見ていたい光景だなと思う。
     ……ああ、なるほど。たしかに今宵、自分は少しばかり深く酔っ払っているのかも。



     毎年、遥かな山の草地で羊を追って暮らす短い夏の季節を過ごして、移ろいゆく秋の終わりの声が聞こえる頃には山を下りるレノックスにとって、冬に会う最初の人物とはいつもこの人だった。
     美しい湖のほとり、小さな診療所の重い木の扉をそっと叩けば、いつだってその静かな声は、おはいり、とただ優しく変わらぬ色でレノックスを迎え入れてくれる。



    「それにしたって。おまえ、今日も若い魔法使いを相手に腕相撲大会とかして。ずいぶんとたくさん子供の相手をしていたね」
     ふと気が付けば、いつの間にかするりとベッドの隣に座ったフィガロの長い指が無遠慮にレノックスの片腕を掴み上げたところで、ぼふんと唐突に沈んだ片側に慌てて傾きかけたグラスを戻す。
     ふわりと甘い果実の香りがした。
    「あの子たち、みんな、レノに勝つまで絶対に引かないつもりで挑んできてたから」
    「子供……」
     それはきっと、もしかしなくても。リケやミチルのことのみならず、ルチルやカインのことをも指すのだろう。
    「シノもルチルも。おまえに勝ちたい、勝ちたいとはしゃいで。結局、談話室にいる全員と何度も対戦していただろう、レノ」
     さすがに腕、痛くなったりしてないの、と。ひどく気楽な様子で、とても興味深そうにこちらの腕を揉む。
    「うーん。特に筋肉が張ったりとかはしていないみたいだけど」
    「さすがにこの程度で体を痛めたりはしないですよ」
    「まあ、それもそうか」
     なんだつまらない、とでも言いたげな口調だと思う。
    「……きみがどこか調子を悪くしていたり、小さな怪我でもしていたら、フィガロ先生がなんでも一発で治してあげようかと思っていたのに」
     そうしてこの人はときおり、まるでレノックスに決して返しきれない恩を着せたいとでも言うかのように、妙に意味ありげな冗談をひどく真剣な面持ちで嘯くから困る。
    「だって、おまえへの誕生日祝いにさ、いつも酒ばかり贈っていたのではおまえに飽きられそうだし、呆れられちゃうかなーって」
    「はあ」
    「だから。こうして人知れず、いつも己の体を酷使してばかりいるレノックスに。おまえの体の芯まで届く、俺の痛~い筋肉注射をひとつ。ポッシデオ、とでもすれば……」
     奇妙な沈黙が落ちた。
     じっと見下ろせば、相変わらず隣でにこにこと楽しそうにレノックスの腕を検分している偉大なる魔法使いは、ふわあっと小さなあくびをしたり、ちびちびと酒を煽りながらも、こちらの腕をただひたすらにもちもちと飽きもせずに触っている。
    「…………もしかして。フィガロ先生、けっこう酔っていませんか」
    「……んっ。んー……えぇっと。うん……うん?」
     きょとんと白い顔がレノックスを振り仰いだ。
     それから、ええ~、いや、どうかな、と笑って後ろに寝転がったその人は、じっと自分を見つめるレノックスの視線から逃れて、こてん、と長く大きくその手を広げ、そのままぐんと為すべくしてしなやかな獣のような伸びをした。
     そうして、ぽんと彼の手を離れて転がったグラスから勢いよく零れ落ちた、古き良き時代の素晴らしい美酒を、魔法の言葉ひとつでふわりと一瞬にして集めて、あぶない、あぶない、とまるで他人事のように小さくつぶやく。
    「ぽっしでお」
    「先生……フィガロ様。さすがにちょっと、ふざけすぎですよ」
    「ごめんごめん。ふふ。あんまり羽目を外すと、またミチルに怒られちゃうかな」
    「俺だって。あなたが朝になっても具合が悪そうにしてたら怒ります」
    「ええー。俺って、そんなに酒癖悪い?」
    「まあ。ときおり。それなりに」
    「ええ……」
     そうしてはっきりと告げれば、何か途端にばつが悪くなったらしい偉大なる魔法使いがもそもそと姿勢を正して、……だって。今日は特別な日、だからさあ。なんか楽しくなっちゃったんだよ、などという、どうにも可愛らしいひと言に嘯いて、ふい、とそっぽを向いてしまうから笑ってしまう。



     それは白い月の光よりもなお、白く美しい横顔で。
     夏の間、静かな山の暮らしに単身勤しむレノックスがほのかな寂しさを感じるころ、決まって、遠く遥かな青空の向こうからやって来る優しき隣人の姿――。

     どこまでも、延々と豊かな緑が続いていく山の上、たまに訪れるフィガロの白衣が明るい青空にはためいて、そんな親しき人の突然の来訪を心嬉しく思えば、当の本人は、やれ此処彼処の診療の帰りだの、何処かの山崩れの様子を見に来ただの――本当に何かしらもっともらしい理由を付けなければ、この人は決して自分になど会いには来てくれないものなのだと密やかに寂しく想う心が妙に揺らいで、ざわめいて。
     いつだって隣で浮かれさざめく数多の精霊たちと同様、自分はただ無為にその雄大な姿に心躍らされていた。



    「レノ……レノックス。だっておまえはさ。この魔法舎の人気者だろう」
    「……え?」
     ぽかんと目を瞠る。
     相変わらず、遠くの天からはキラキラと白い厄災の光がふんだんに降り注いで、なんにせよ、この部屋のカーテンを引かない窓辺はいつだって遠く彼方まで続く空を決して遮ることなく、どこまでも無限に広がっていくようだと思う。
     そうしてレノックスのとなり、ころりと小さな子供のように拗ねて寝転がってしまったままのフィガロが、あーあと細い吐息を零して、だからかなあ……なんか、嬉しくて、つまらなくて……とても喜ばしいのに、なんか苦くて。飲み過ぎちゃった、などと、ひどくあてどなく彷徨う寄る辺なき人のようなことを言う。
    「この魔法舎では誰もがきみを――ルチルも、ミチルも。ファウストも――みんなきみをとても大切に想ってるだろう」
    「……はい」
    「だから今日だって、みんなが朝からきみのためにたくさんの準備をして、ルチルだって箒をとばして、この季節、南の国で一等美しい花をきみのためにと摘んできたし、ミチルもリケたちと一緒にネロのキッチンで――」
    「フィガロ様。あなたも、俺のために、皆と同様に祝いの支度をしてくださったでしょう」
    「……うん」
     小さなため息が答える。
     それからもう一度、そっとそちらを見やれば、どこかぼうっと虚空を見上げる彼の人の美しい瞳が、不思議に輝く鈍色の儚い光に瞬いて、やはり本当のこの人とは、かくもひどく繊細で心優しくて、寂しがりな人なのではないかと、不意に想う。
    「ねえ、レノ。俺、いま、もしかしなくても、おまえにとても面倒くさい絡みかた、してる?」
    「ええ、はい……まあ。そうですね。それなりに」
    「ああ、やっぱり……」
     うう、と苦く呻いた長い指が、そっと自身の端整な顔を覆う。
    「最悪だ。こんなはずじゃなかったんだよ、本当に」
    「分かってます。先生は今日はひどく悪酔いしていらっしゃるということで」
    「それも最悪だ。本来の俺はもっとスマートでいつも頼れる南のフィガロ先生、のはずなのに」
    「はい。知っています。俺はいつだってあなたを頼りにしています」
     そうはっきりと告げてから、レノックスはそっと己の傍らに手を伸ばす。
     ぐいと力いっぱいにその体を引き起こした。
     白い窓の向こう、皓々と明るい厄災の光がゆらゆらと燃えるようにして輝く。
     やわらかいフィガロの毛並みが、この手に支えた彼の細い肩越しに甘くふわりと揺れて、硬く骨張ったフィガロの体のすらりと長い足が、とんっと小さなベッドの傍らに着く。
     その偉大なる魔法使いは、ただ虚を突かれたような顔でぽかんとレノックスの瞳を見つめていた。
    「なので、フィガロ先生も、今度はちゃんと俺に会いにレイタの小屋まで来てください」
    「わっ。え……って、レノ、いったい突然なんの話?」
     そうしてなんとなくむにりとそこにあったフィガロの白い頬を掴めば、途端にむっとした様子できろりとレノックスを睨みつける気位の高い男の眼光がじっと鋭くこちらを見据えて、おまえ……それは本当に、俺にお願いをするときにとっていい態度なの、と低く地を這うような声音でレノックスを戒めた。
     それでもそれは思った以上にひどくやわらかく、とても温かくて。
     どうあれ怯まずにただ強く真っ直ぐに見つめ返せば、芳醇な酒の香りに赤くほんのりと染まったその美しい目元のみならず、レノックスの無骨な手のひらの下、次第にそんな肉のうすい頬から形の良い耳元にかけてをも真っ赤に染めていくフィガロの、なんともいえないほどに強い屈辱を感じていそうな瞳がゆらゆらと所在なく揺れだす。
    「レノ、レノックス……っ。おまえ、いったいなんなの」
    「俺は秋には毎年山を下りて、必ず一番最初にあなたのもとへと向かっています」
    「ん……あ、そう」
    「……俺は他の誰かが俺にしてくれることではなく、フィガロ様、あなたが俺にしてくれることについて、あなたと話がしたいです」
    「う、うん。いや、レノ。分かった……わかったからさ」



     ときに山の夜は寂しくて、メエメエとどこか心細げにレノックスにすり寄る羊たちの声にならない声を聞いていると、どうしてあの人は、ああも素直にただレノックスに逢いに来たとだけ言ってくれないものかと、ほんの少しだけ悲しく思う。
     見上げた星空の果てには、ただ静かで何もない夜だけが広がっていた。



     小さな部屋の中、いつの間にか部屋の隅でまあるくなって眠っていた羊たちが、メエエ、メエエとひどく不安そうに鳴きだす。
     とと、と駆け寄ってきては、こつん、こつん、と何故か交互に並んだふたりの膝元へと頭をすり寄せる。
    「俺は。他の誰でもなく、あなたが俺にしてくれるものが欲しいです」
    「レノ。おまえもう、本当に酔っ払ってるでしょ」
    「そうですね。でもフィガロ様、俺は一等あなたに祝われたいです」
    「っ……っ……」
     かっとますます艶やかに赤らんだフィガロの白い頬が、すっぽりと自身を深く包み込んで離さないレノックスの手のひらの下、ぐらぐらとひどく揺れ惑う色にじっと、己を捕まえた男の真剣な瞳を見つめる。
     は、はふっ、と小さな喘ぎに息を呑んだ。
     ふいと目を逸らす。
     足下では、メエ、メェと甘えた声でふたりを見上げる小さな羊たちが慌てたようにぱたぱたと狭い部屋の中を行き交って、もうなんだかますますひどくこの場が混迷してきたな、と思う。
     ……えーっと。それで。そもそも、いったいこれはなんの話だったか。
    「うぅうー……れ、レノ。もう……いいから放して」
    「あなたが大人の会話を楽しもう、と仰ってくださったのに。フィガロ先生」
     とにかく。
     なんだかおかしなことになっているな、とは思ったが、ここはまたひとつ、さらにしっかりと攻めて、圧しておくところではないか、と何故かレノックスの心の指揮官がますます強く頑なに己を鼓舞してくるから目がくらむ。
     そうして不意にレノックスの中、それは天啓のように降ってきた。
    「レノ。たしかにさ、俺はおまえに一緒に会話を楽しもうとは言ったけど、俺に無礼を働けだなんて言ってないだろ」
    「はい。ですがフィガロ様、ならばこのままあなたに口付けをしてもいいですか?」
    「……んっ……っ。……はあ? い、いや。レノ、おまえなんでそんないきなり。は……え。まさか。お、おまえ、俺のことが好きなの?」
    「いえ。特には」
    「え。えぇ……」
     大きくがっしりとした羊飼いの手の下、もぞりもぞりとずっと落ち着かない様子で、どうにか逃げ出そうと悪足掻きをしていたフィガロはぎゅうと眉根に皺を寄せて、おまえ……本当に信じられない、と低く唸った。
    「すみません。やはり、俺も今夜はだいぶ酔っ払っているようです」
    「お、おまえねえ」
     レノックスの腕の中、呆れたように苦笑いをする美しいフィガロの瞳が、はあっと深いため息を零す。
    「……ポッシデオ」
     ぱちんと目の前で小さな火花が弾けた。
     そのまま、あ、と驚いて手を離してしまった自分に、ひどく恨めしい気持ちを感じて眉をひそめる。
    「そんな顔をするなよ、レノ。この悪酔い羊飼いめ。おまえに俺の顔を鷲掴みにして良いなんてこと、俺はまだ許してないんだからな」
     む、とますます深く眉間に皺を寄せて、レノックスは小さく口を噤む。

     遠い空の上では、まるで今日この素晴らしい日に生まれたレノックスを祝うかのように、今も変わらぬ美しい星々がキラキラと無数の光に輝いている。

    「……じゃあ、それはいったいいつになったら許してくださるんですか」
    「え、ええ?」
     そうしてどこか不満げな様子を隠しもしないレノックスに、呆れたようなフィガロの、ああ! もう本当におまえ、少しは酔いを醒ませってば、とかいう真剣なぼやきの声が重ねるように降ってきた。
     だが、今宵はそれもまたなんだかとても心地が良くて、まるでどこまでも深く気心の知れたもの同士の甘い戯れ言のようにも聞こえてしまうから、大概だと思う。
    「いつかあなたが認めてくださるまで。また来年も、その次も。フィガロ様、ずっと俺を祝ってくださいますか」
    「まあ。そのときにまだ、俺にきみとの縁があったらね」



     いつかの遠い夏の日、メエ、メエと穏やかな声音に鳴くたくさんの羊たちを引き連れて、レノックスは青く遥かな空を見上げる。
     強い陽射しは白くまぶしくて、そこには雲ひとつないあざやかな快晴の山の空が、まるで深く永遠に続いていくかのように、孤独な羊飼いの上、ただどこまでもどこまでも広がっていて――だから。



    「……ずっと。俺はあなたを待っています、フィガロ様。あなたとこうして他愛のない話をしている時間が、きっと俺は一等好きなんです」
     自然と言葉があふれた。
     ぱちりぱちりと瞬く綺麗な星の瞳が、ぽかんと目を瞠る。
     そのままそれはレノックスの傍ら、ますます呆れたような口調で、物好きめ、とひどい悪態をついたが、それでもどこか満更でもない様子に、ふんと細い顎を背けて。
     ふわりと。
     ただとても幸せそうに、足下の小さな羊を抱き上げた。





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    みゅげ

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    本当に思っている以上に、おかしなことになってるな、って思う。ずっとそう思います。

    何を書くかいろいろ悩んだので、今年のレノのお誕生日の後、ふたりきりでしっとりと飲むレノフィの短編をあげます。
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     窓から差し込む月明かりはほの白く、部屋の主の穏やかな横顔を淡くやわらかく照らす。
     ときに見惚れるほどにすべらかな彼の人のすっきりとした輪郭を、大いなる厄災の光は今宵もひどく艶やかに彩っていた。
    「ほら、これ。この前、西のバザールで見つけた掘り出し物のお酒」
     そう言って小さなデスクの傍ら、のんびりとした仕草ではたはたとレノックスを手招きする人は、いらっしゃい、と呑気な顔でにっこりと笑って、もうすぐおまえの誕生日だからさ、一緒に飲もうと思ってとっておいたんだ、と。
     やわく輝く実りの榛色の瞳でなんとも楽しそうに嘯いた。
    「さて。ここからはお待ちかねの大人の時間だ」
    「フィガロ先生」
    「きみ、今日はだいぶ飲んでいたみたいだけど。まだ飲めるだろう」
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