君と微睡む【君と微睡む】
魔界の果て。そこは罪を犯した魂、或いは帰る場所の無い流れ悪魔(もの)たちが最後に行き着くところ。そんな地の底、地獄にも新たなる年は訪れる。そして意外にも「新年らしい」様相を見せるのだから珍妙だ。
しかしそれは年の始まりを厳かに祝う……という趣きでは決してなく、何かにかこつけてお祭り騒ぎをしたい適当な悪魔が多く居るだけのこと。
そしてそれを知って、優れた地獄の統率者はささやかに今日という日の準備を進めていた。年に一度ぐらいは、罪人も、ろくでなしも、多少呆けても良かろうと。
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飾られた鏡餅の丸いシルエットを見つめ首を傾げている少女。デスコ、という呼び声に振り向けばその姉が少女に向けて手を差し伸べた。
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