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    last_of_QED

    @last_of_QED

    ディスガイアを好むしがない愛マニア。執事閣下、閣下執事、ヴァルアルやCP無しの地獄話まで節操なく執筆します。デ初代〜7までプレイ済。
    最近ハマったコーヒートーク(ガラハイ)のお話しもちょびっと載せてます。

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    POIPOI 72

    last_of_QED

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    R18 執事閣下🐺🦇「うっかり相手の名前を間違えてお仕置きプレイされる主従ください🐺🦇」という有難いご命令に恐れ多くもお応えしました。謹んでお詫び申し上げます。後日談はこちら→ https://poipiku.com/1651141/5571351.html

    #執事閣下
    deacon
    #フェンヴァル
    fenval
    #ディスガイア4
    disgaea4

    呼んで、俺の名を【呼んで、俺の名を】



     抱き抱えた主人を起こさぬよう、寝床の棺へとそっと降ろしてやる。その身はやはり成人男性としては異常に軽く、精神的にこたえるものがある。
     深夜の地獄はしんと暗く、冷たい。人間共の思い描く地獄そのものを思わせるほど熱気に溢れ、皮膚が爛れてしまうような日中の灼熱とは打って変わって、夜は凍えるような寒さが襲う。悪魔であれ、地獄の夜は心細い。此処は一人寝には寒過ぎる。

     棺桶の中で寝息を立てるのは、我が主ヴァルバトーゼ様。俺が仕えるのは唯一、このお方だけ。それを心に決めた美しい満月の夜からつゆも変わらず、いつ何時も付き従った。
     あれから、早四百年が経とうとしている。その間、語り切れぬほどの出来事が俺たちには降り注いだが、こうして何とか魔界の片隅で生きながらえている。生きてさえいれば、幾らでも挽回の余地はある。俺と主は、その時を既に見据えていた。堕落し切った政腐を乗っ取ってやろうというのだ。

     しかし、物事には順序がある。腐っても魔界政腐。占拠など、一気になし得るものではない。今宵は、政拳奪取を掲げこんを詰めるこの人を何とか執務室から引き剥がして来たところだった。同じ旗のもとに集う悪魔たちと酷く目障りな天使が仲間に加わったことで、その指揮を取るヴァルバトーゼ閣下に掛かる負担は日毎に増した。
     そして、閣下を魔界大統領の座に押し上げようと画策する俺から見ても、今日の仕事ぶりは度が過ぎた。見かねて、スリープの呪文を放ったところ余程疲労が祟っていたのか、基礎的なその魔術を跳ね除けることも出来ず、そのまま閣下は眠ってしまわれたのだ。特に最近はこんなことばかりだ。たまにはゆっくり眠っていただきたいものだと眉間のシワを見て思う。

     音を立てぬよう棺桶の蓋を閉めようとしたその時、主の口元がもご、と動いた。

    「ん……アルティ…ナ……」

     微睡の中、主はとある名を口にした。アルティナ?
     気に喰わない。よりによって私の前でその名を呼ぶのですか。貴方はどんな夢を見て、どんな顔でその女に呼び掛けようと言うのです。今まで俺の夢を見てくださったことは一度でもありましたか。俺は何度だって貴方を夢に見ているのに。俺ばかりが、貴方を。

     虚しい。俺を見て欲しい。

     棺の中で眠るその白い首に手を掛ける。力を込め、押さえ付ける。呼吸がままならなくなった喉がくっと跳ね、瞼が開かれる。

    「な、ん…ン…ッ……ゲホッ、ハァッ、ハァ、」
    「ああ、ヴァル様……悪い夢でもご覧になっていたのでしょうか」

     手元を緩めると、苦しそうに咽せながら主人は細く息をし始める。酸素を取り込もうと鳴る喉を、なぞる。

    「何を、する……!」
    「うなされておられたので……強引ながら起こしてしまいました。主人の睡眠を阻害した私へ、どうか罰を」
    「吸血鬼とて夢ぐらい見るというのだっ」

     夢。あの女との、どんな夢を見ておられたのですか? そう聞いてしまいたい自分と、聞きたくない自分がいた。問いを口にするのをぐっと堪えて、狼男は笑う。

    「誰かに影響されでもしましたか? 夢を見て良いのはせいぜい、なり損ないプリニーの小娘までではありませんか、閣下」

     棺桶を塞ぐように主人を見下ろせば、動揺する赤い瞳が揺らぐ。そこに映るのは俺だけで、それが、ああ、この上なく嬉しかった。
     その瞳をもっと良く見たいと顔を近付け、キスを落とす。性急な口付けに互いの歯ががち、とかち合った。嫌がる主を制止して、唇を塞ぐ。舌を差し込み、絡め合い、口内を蹂躙していく。本当に嫌なら力ずくで抵抗すれば良い。弱体化したと言えど、私は到底、貴方には敵わないのだから。貴方には俺を拒絶するだけの力があるはずだ。──貴方は私を、受け入れてくれますか。

     今朝自ずから着せたシャツ。それを今度は剥ぎ取って、上半身を露にさせる。華奢な身体つきと、媚びるようつんと勃った胸の先。わざとらしく音を立て舌で舐め上げれば、俺の下で吸血鬼は喘いだ。

    「今貴方を犯しているのは?」
    「……っ」

     視線を逸らし、必死に声を堪える主人が酷く滑稽だった。どうして貴方は、私を見ない。

    「ねえ、誰ですか、閣下」

     腰元のファスナーを下ろし、下着の上から主人のものに触れると、そこは既に湿り気を帯びていた。ピク、と跳ねる細腰を押さえ付け、起き上がりかけの雄を扱く。その先端からは何かを期待するように液体が滲み出ていた。

    「突然襲われて善がるなんて……そういうご趣味をお持ちでしたか?」
    「ちが、う…ん……っぁ…」
    「ド変態のヴァル様は、後ろもお好き、なんですよね?」

     下着をずらし、竿を扱くのとは反対の手を後孔へと伸ばす。指を差し込む瞬間こそ小さく悲鳴をあげたものの、入口さえ越えてしまえば何のことはない、俺の中指を閣下の穴はすんなりと呑み込んでいった。角度を変えて抜き差しを繰り返せばじき、「良いところ」に当たる。主人が快楽に堕ちてしまうまでにそう時間は掛からなかった。
     組み敷かれた主人が涎を垂らしはしたなく啼く。もう、口元も、自分で制御出来ませんか。次は誰に、何をして欲しいのですか。……そう、悪い顔で聞けば良い。どうして悪魔の俺が、それを聞けないのだろうか。

    「……ひ、ぁあっ ゆるし、」
    「許せません」

     羞恥を煽るよう、吸血鬼の脚を大きく開かせる。自身も雄を取り出すと「集中しろ」と言わんばかりに門へとそれを擦り付ける。面前の男が切なげに声を漏らしたところで、熱い肉棒をずぷり挿入し、躊躇いなく腰を動かし始めた。肉欲は増していき、欲望のままに、打ち付け続けた。

    「は、フェンリッヒ、もうっやめ……」
    「そうです、閣下。ようやく名を呼んでくださいましたね……俺は、此処にいます」

     ヴァルバトーゼの薄い腹を撫でる。挿入した雄の先端の辺りをトントンと指で弾き、腹の何処まで挿入(はい)っているかを思い知らせてやる。腰を引き、打ち付け、その律動を繰り返す。無理矢理入り掻き回す棒状の異物を腸壁がぎゅうと締め付けるのが分かれば、主はそこに俺を感じているのだと興奮が競り上がり、そのまま容赦なく中に精を吐き出した。

    「待、て、どうしたというのだ……今日のお前は何か、おかし、」
    「おかしい? おかしいことなんか、一つだってありませんよ」

     吐精してなお、勃起したままのそれで中を掻き乱す。腰を掴み直し、背後から強く突けば肌と肌の打ち付け合う音が響く。凸凹を擦り合わせ、粟立った体液を纏う隠部からはぐぷ、と卑猥な音が幾度も立った。

    「…も……や、め……フェン…リッヒ……」

     許しを乞う吸血鬼の声が枯れてしまうよりも、快楽に堕ちて無抵抗になる方が早かった。仰向けで痙攣するヴァルバトーゼの股ぐらは自身の精で、そしてその僕によって幾度も吐き出された白濁で淫らに濡れていた。快感を与えられ続け、果て、朦朧とする彼に最早フェンリッヒの声は届かない。
     それでも飽き足りずに主人を犯し続ける狼男は昏い瞳で耳元へ囁く。

    「ああ、どうかそのまま、俺だけを呼んで」


    fin.
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    last_of_QED

    DOODLEガラハイ🐺🦇【stand up!】
    お題「靴擦れ」で書きました。ハイドがストーカーに刺された過去を捏造しています(!?)のでご注意ください。

    ガラさんとハイドには、互いの痛みを和らげてくれる、一歩を踏み出すきっかけになってくれる…そんな関係にあってほしいです。
    【stand up】「ガラ、休憩だ」

     背後から名を呼ばれ、狼男は足を止めた。気配が背中まで迫って来るや否や、声の主はウンザリだとばかり、息を吐く。

    「休憩って……おれたち、さっきまでコーヒートークに居たんだよな?」

     両名は確かに五分前まで馴染みの喫茶店で寛いでいた。ガラハッドとゾボを頼み、バリスタ、それから偶然居合わせたジョルジと街の噂や騒動について会話を交わし別れたばかりだ。にも関わらず再び休憩を所望するこの友人をガラは訝しんだ。傾き始めた陽のせいかハイドの表情は翳り、どこか居心地が悪そうに見えた。

    「具合でも悪いのか?」
    「……ああ、もう一歩も歩けそうにない。助けてくれ」

     かつて、オークに集団で殴られようが、ストーカーに刺されようが、皮肉を吐いて飄々としていた男が今、明確に助けを求めている。数十年に及ぶ付き合いの中でも初めてのことで、ガラは咄嗟にスマートフォンに手を掛けた。「911」をコールしようとした時、その手を制止したのはあろうことかハイド自身だった。
    1434

    last_of_QED

    DONEガラハイ🐺🦇【As you wish, Mr.Hyde.】
    バレンタインのお話🍫Xにてupしたもの。記録用にこちらにも載せておきます✍️
    【As you wish, Mr.Hyde.】 今にも底の抜けそうな紙袋が二つ、どさりとフローリングに下ろされる。溢れんばかりの荷物、そして良く見知った来訪者を交互に見比べて人狼が尋ねた。

    「なんだこれ」
    「かわい子ちゃんたちからの贈り物だ。毎年この時期事務所に届く。……無碍にも出来ないからな、いくつかはこうして持ち帰るんだ」
    「マジかよ……これ全部か……?」

     愕然とする人狼を横目に、ハイドは手が痺れたと笑うだけだった。今日は二月十四日、いわゆるバレンタインデー。氏に言わせれば、これでも送られてきた段ボールの大半を事務所に置いてきたのだという。

    「さすがは天下のハイド様だ……」
    「まあ、悪い気はしない」

     ソファに腰を下ろし、スリッパを蹴飛ばしてしまうと吸血鬼はくじ引きのように紙袋へと腕を突っ込んだ。無作為に取り出したファンレター。封を開き便箋を取り出すと、丁寧にしたためられた文字の列をなぞった。一通り目を通した後で再び腕が伸ばされる。次にハイドが掴み取ったのは厚みのある化粧箱だった。リボンを解けば、中には宝石にも見紛うチョコレートが敷き詰められていた。どれにしようかと迷う指先。気まぐれに選んだ一つを口の中に放り込んだ時、ガラがおもむろに通勤カバンを漁り始めた。
    1853

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    DOODLEディスガイア4に今更ハマりました。フェンリッヒとヴァルバトーゼ閣下(フェンヴァル?執事閣下?界隈ではどう呼称しているのでしょうか)に気持ちが爆発したため、書き散らしました。【悪魔に愛はあるのか】


    口の中、歯の一本一本を舌でなぞる。舌と舌とを絡ませ、音を立てて吸ってやる。主人を、犯している?まさか。丁寧に、陶器に触れるようぬるり舌を這わせてゆく。舌先が鋭い犬歯にあたり、吸血鬼たる証に触れたようにも思えたが、この牙が人間の血を吸うことはもうないのだろう。その悲しいまでに頑なな意思が自分には変えようのないものだと思うと、歯痒く、虚しかった。

    律儀に瞼を閉じ口付けを受け入れているのは、我が主人、ヴァルバトーゼ様。暴君の名を魔界中に轟かせたそのお方だ。400年前の出来事をきっかけに魔力を失い姿形は少々退行してしまわれたが、誇り高い魂はあの頃のまま、その胸の杭のうちに秘められている。
    そんな主人と、執事として忠誠を誓った俺はいつからか、就寝前に「戯れ」るようになっていた。
    最初は眠る前の挨拶と称して手の甲に口付けを落とす程度のものであったはずだが、なし崩し的に唇と唇が触れ合うところまで漕ぎ着けた。そこまでは、我ながら惚れ惚れするほどのスピード感だったのだが。
    ……その「戯れ」がかれこれ幾月進展しないことには苦笑する他ない。月光の牙とまで呼ばれたこの俺が一体何を 3613

    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

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    口の中、歯の一本一本を舌でなぞる。舌と舌とを絡ませ、音を立てて吸ってやる。主人を、犯している?まさか。丁寧に、陶器に触れるようぬるり舌を這わせてゆく。舌先が鋭い犬歯にあたり、吸血鬼たる証に触れたようにも思えたが、この牙が人間の血を吸うことはもうないのだろう。その悲しいまでに頑なな意思が自分には変えようのないものだと思うと、歯痒く、虚しかった。

    律儀に瞼を閉じ口付けを受け入れているのは、我が主人、ヴァルバトーゼ様。暴君の名を魔界中に轟かせたそのお方だ。400年前の出来事をきっかけに魔力を失い姿形は少々退行してしまわれたが、誇り高い魂はあの頃のまま、その胸の杭のうちに秘められている。
    そんな主人と、執事として忠誠を誓った俺はいつからか、就寝前に「戯れ」るようになっていた。
    最初は眠る前の挨拶と称して手の甲に口付けを落とす程度のものであったはずだが、なし崩し的に唇と唇が触れ合うところまで漕ぎ着けた。そこまでは、我ながら惚れ惚れするほどのスピード感だったのだが。
    ……その「戯れ」がかれこれ幾月進展しないことには苦笑する他ない。月光の牙とまで呼ばれたこの俺が一体何を 3613

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    DONEディスガイア4で悪魔一行が祈りに対して抵抗感を露わにしたのが好きでした。そんな彼らがもし次に祈るとしたら?を煮詰めた書き散らしです。【地獄の祈り子たち】



    人間界には祈る習慣があるという。どうしようもない時、どうすれば良いか分からぬ時。人は祈り、神に助けを乞うそうだ。実に愚かしいことだと思う。頭を垂れれば、手を伸ばせば、きっと苦しみから助け出してくれる、そんな甘い考えが人間共にはお似合いだ。
    此処は、魔界。魔神や邪神はいても救いの手を差し伸べる神はいない。そもそも祈る等という行為が悪魔には馴染まない。この暗く澱んだ場所で信じられるのは自分自身だけだと、長らくそう思ってきた。

    「お前には祈りと願いの違いが分かるか?」

    魔界全土でも最も過酷な環境を指す場所、地獄──罪を犯した人間たちがプリニーとして生まれ変わり、その罪を濯ぐために堕とされる地の底。魔の者すら好んで近付くことはないこのどん底で、吸血鬼は気まぐれに問うた。

    「お言葉ですが、閣下、突然いかがされましたか」

    また始まってしまった。そう思った。かすかに胃痛の予感がし、憂う。
    我が主人、ヴァルバトーゼ閣下は悪魔らしからぬ発言で事あるごとに俺を驚かせてきた。思えば、信頼、絆、仲間……悪魔の常識を逸した言葉の数々をこの人は進んで発してきたものだ。 5897

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    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

    last_of_QED

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    呼んで、俺の名を【呼んで、俺の名を】



     抱き抱えた主人を起こさぬよう、寝床の棺へとそっと降ろしてやる。その身はやはり成人男性としては異常に軽く、精神的にこたえるものがある。
     深夜の地獄はしんと暗く、冷たい。人間共の思い描く地獄そのものを思わせるほど熱気に溢れ、皮膚が爛れてしまうような日中の灼熱とは打って変わって、夜は凍えるような寒さが襲う。悪魔であれ、地獄の夜は心細い。此処は一人寝には寒過ぎる。

     棺桶の中で寝息を立てるのは、我が主ヴァルバトーゼ様。俺が仕えるのは唯一、このお方だけ。それを心に決めた美しい満月の夜からつゆも変わらず、いつ何時も付き従った。
     あれから、早四百年が経とうとしている。その間、語り切れぬほどの出来事が俺たちには降り注いだが、こうして何とか魔界の片隅で生きながらえている。生きてさえいれば、幾らでも挽回の余地はある。俺と主は、その時を既に見据えていた。堕落し切った政腐を乗っ取ってやろうというのだ。
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